人事戦略研究所

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平成17年9月号掲載分

2006年03月31日 | 人事で会社が変わる
社員旅行で会社が変わる
 社員旅行を実施することで会社が変わると言うのは希有な例でしょう。社員旅行は社員
間の個人的なコミュニケーションをよくし、仲間意識が生まれるという効果はあります。
しかし、それが目に見えて会社を変える力にはなりにくいものです。ここで紹介するF社
は社員旅行そのものが会社を変えるのではなく、社員旅行の副産物が会社を変えていると
いう例です。
 小売業のF社は毎年三日間程度の社員旅行を実施しています。これに参加できるのは、
F社に入社してから一年以上の社員です。社員旅行で会社が変わるF社の秘密は三日間と
勤続一年以上の二点にあります。しかも、社員旅行は原則的に参加資格のある社員全員が
参加します。つまり社員の旅行の間、F社の中から勤続一年未満の若手社員しかいなくな
るのです。時には海外旅行も実施されます。こうなれば、若手社員は先輩や上司に携帯電
話をかけることもできなくなります。社員旅行の時期にF社の店頭へ行けば、勤続一年未
満の不慣れな社員しか見ることができません。お店は通常通り営業されますから、先輩社
員が旅行に出かけている間は若手だけで全てのことをこなさなければならない状況に陥る
のです。先輩社員や上司はそのことをわかって敢えて彼らに指示を出します。「旅行の間
も我々がいる時と同じようにお店を運営してください。この間に問題が起これば全てあな
た達の責任です。」お客様はいつもと同じようにショッピングに来られます。商品も毎日
入荷します。中にはクレームを付けるお客様がおられます。小売店ですから、お店を開け
ている以上これらのことの全てをうまくこなさないといけません。若手社員にとってはも
のすごいプレッシャーになります。しかし、逆に何物にも換え難い経験を積むことができ
ます。わずか三日間の経験ながら、それまで先輩や上司に甘えていた社員が自分で考え、
行動するようになるのです。彼らにとってはとても貴重な三日間なのです。

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