【前回の続きです。】
陶磁器の博物館だという『ポルセレイン・ミュージアム』は、昨日俺が焼酎を買った店の横に在った。
17~19世紀に、オランダの貿易会社を通じてヨーロッパへ輸出された陶磁器を展示しているっつう事で、所蔵品の質と規模は日本でも有数らしい。
まァ焼物に興味の有る人間が観んなら楽しいんじゃねェかっつうのが正直な感想だ。
4つに分れた展示室には、どう見ても実用的じゃねェだろうっつうサイズの、皿や壺や花瓶なんかが整然と並んでいて、それなりに感心したっつうか勉強になったっつうか。
しかし高さ2mも有るっていう巨大花瓶には度肝を抜かれた。
何活けるってんだ?ラフレシアか??
もっと度肝を抜かれたのが、ベルリンの何とか言う宮殿内に在る1室を再現したっつう『磁器の間』だ。
鏡張り総天然黄金色した壁に、約3,000点もの皿・壺・丼・徳利なんかが隙間無くびっしり飾られてんだぜ。
それが鏡張りの効果で、合せ鏡になって映って無限皿地獄っつか…観ててちょっと眩暈がした。
天井には宗教画めいた絵まで描かれて、さながら大聖堂でも居る気分…いや、金閣寺か秀吉の黄金茶室か?千利休が見たら泣いて怒りそうだ。
金ぴか好きのナミと派手好きデカイ物好きのルフィは、案外気に入って写真を撮ろうとまで言った。
博物館で撮影は拙いだろうと思ったが、案内の女に聞いたら意外にもOKを貰えた――寛容なトコだなァ…。
「すげーよなァ~~~!!!俺んちもラーメンどんぶりや皿なんかで、カベ飾るかな!!」
「止めとけって。地震が来たら目も当てられねェ。おちおち安眠も出来なくなるぞ。」
「大航海時代当時のヨーロッパでは空前の日本ブームが起きてて、輸入された日本の陶磁器は実用品としてより美術品として珍重されてたのね。」
実用品でない器ねェ……俺には解らねェ感覚だなと思った。
昼近くなったんで、バスで昼食予定のレストランに向う事にした。
待ってる間、隣に在った『キューケンホフ』って名前の花屋を覗く。
店の前にずらっと植木鉢が並んでて興味を引かれた。
ぽかぽか暖かそうに、日向で日光浴させられている。
どうやらチューリップの球根が植えてあるらしい。
今から春に咲かせる用意してるって訳か。
「此処にはね、オリジナルのチューリップなんてのも有るのよ。」
「オリジナルのチューリップ??」
「植木鉢に写真が付いてるでしょ?花弁の先がフリンジみたくなってて、結構可愛いのよ。」
屈んでナミが示す写真を見る。
白に淡いピンクの花弁…確かに可憐に思えた。
花の良し悪しは俺にはよく解んねェけどな。
「23年の歳月をかけて開発したんだって。その名も『ハウステンボス』。春になったらそこかしこで沢山咲き出すわ。」
うっとりと植木鉢を見詰てナミが言う。
もう早こいつの目には、春風吹かれて揺れる花が見えてるんだろう。
女ってェのは本当、花が好きな生物だよな。
「ナミナミ!!こっち来てみろ!!面白ェーぞ!!」
1人店ん中入って観てたルフィが叫ぶ。
「なァにルフィ?何か有ったの?」
「ゾロコーナーだ!!ゾロコーナーが有ったんだ!!」
「……ゾロの?」
「……俺の??」
嫌な予感しつつ店内に入る。
ルフィが指で示したそこには、ビー玉くれェのサイズした毬藻が、小瓶やグラスに入れられぎっちりと陳列されていた。
「本当だ~~vプチゾロ101匹大集合ねvv」
「な!?な!?ゾロづくし、ゾロまみれ、ゾロゾロ大行進だろ♪♪」
「誰が毬藻だよ!!!?」
「『ゾロのある暮らし始めませんか?』、1匹630円だってよー。」
「『ゾロは水草の仲間です。日光はあまり好みません。室内で楽しみましょう。』…ああだから室内でゴロ寝したがったのねー。インドア派な生物って言うかー。」
「だから勝手に人の名前に置換えてんじゃねェっつのてめェら!!!!」
ったくこいつら、人見る度に毬藻毬藻サボテンサボテン、失礼極まりねェ。
元はと言えばあの渦潮眉が呼びやがるから…野郎、受験落ちろ、ついでに地獄落ちちまえ。
そうこう騒いでる内に、バスの来る気配がしたんで、停留所へ戻った。
『クラシックバス』の名の通り、茶色の懐かしボンネットバスだ。
クリスマスシーズンに合せて、車体にリースが飾ってあった。
運転手にパスポートを提示する。
俺達3人しか乗って来なかったので、広々とした車内を独占出来た。
ルフィは1番前に、俺とナミは後部の座席に座る。
バスがゆっくりと走り出す、道が石畳のせいかかなりガタガタ振動した。
これはこれで楽しい、ルフィなんか愉快そうに声を上げている。
「…それにしても、もう昼になるってのに、客が少なくねェか?昨日と較べてやけに寂しいっつか…。」
車窓から観る港街には、人影が疎らだ。
なまじっか海に面して広々と開放的なだけに、余計閑散として見えてしまう。
昨日はツリーや帆船をバックに、写真を撮ろうっていう客で人集りが出来てたが、今日は無い。
だからって肩ぶつかるくれェ混み合ってるのは御免だけどな。
「遠方から来るお客さんのが多いみたいだからね。どうしても平日は来る人少ないのよ。…午後過ぎたら観光バス到着するだろから、少しは増えて賑やかなると思うわよ。」
「近くに大都市が無ェってのは苦しいなァ…。」
「それに広大な敷地だから…入ってても散っちゃって、目立たないってのも有るかもね。」
苦笑いながらナミが言った。
確かに広大では有るな、街っつうより『国』だ。
港街を過ぎ、バスは教会の在る広場前のバス停に停まった。
パークの中心って事で、港街よりは比較的人が多く賑やかだった。
未だ昼食を予約した時間まで間が有るって事で、12時から近くでやるっつうショーを観て待つ事にした。
……………予約……??
「…っておい、昼予約してたなんて聞いてねェぞ?」
「そりゃそうよ。言ってないんだから。」
「だからどうしててめェは毎回断り無く…!!!」
「賭けに負けたらコースに文句を付けない約束だったわよねェェェ??」
「――ぐっっ………幾らだよ??」
「安心してvネット予約で割引価格になってるからv2,625円、但しサービス料は別。」
「だから高ェって!!!せめて1,000円台なトコにしてくれよ!!!」
「また貸しにしといてあげるわよ!3倍返しでねv――ルフィーー!!お昼はバイキングで肉食い放題よォーーー!!」
息せき切って先にショーステージ向ってたルフィに、後ろからナミが言葉を投げる。
遠くから「本当かーー!!?」と嬉々として聞き直すルフィの声が響いて来た。
知らぬが仏っつうか……賭け事なんてするもんじゃねェよな…。
テント市場の『ワールドバザール』内に在るステージで、外国人のパフォーマーがヴァイオリンや帽子なんかを使って芸を披露していた。
所謂『大道芸』、素朴だが結構楽しかった。
ルフィに至っちゃ、やんややんやの拍手喝采。
ステージ上ってゲスト出演までしやがった。
ああいうノリの良い馬鹿は、ショーをやる方にとっちゃ有難ェだろうがな。
一輪車に乗ってヴァイオリンを弾いてみせたり、風船使って動物作ってみせたり、中々大した腕前だと感心した。
最初はポツポツとだけしか居なかった観客も、開始後には席をぎっしり埋める程だった。
「芸人さんって凄いわよね!芸だけで世界中回っちゃうんだから!」
「『芸は身を助く』って言うしな。」
「…それは『一芸に秀でている』ケースで言う事だから、今この場で使うのは失礼よ、ゾロ。」
「んあ?そうなのか??」
ショーは20分、昼食までの時間潰しにぴったりだった。
予約した12:30になったんで、その『ア・クールヴェール』って言うレストランに向った。
ナミ曰く、『ホテル・アムステルダム』のメインレストランだそうだ。
世界各地の美味い料理を取り揃えたバイキング、という触込み通り、メニューは豊富でインターナショナルだった。
クリスマスツリーやリースで飾られたスペースには、おでんにサラダにマリネにハンバーグにビビンバにスープにフライにピザにパンにフルーツにデザートにジュースに紅茶に珈琲に…ステーキも有って、注文する度に焼いて、皿に盛って出してくれるらしい。
こんなん見せたらルフィは止っちゃいねェ。
席に案内される前に、即刻スタートしちまった。
「おい……良いのかよ?またピサの斜塔盛りすっぜ?」
窓際の席真向いに座ったナミに耳打ちする。
「体裁悪いからそれは止めろって釘刺しといた。1品取ったらそれ食べ終わってから取りに行けって言っといたわ。」
「…大丈夫なのかよそれでェ??」
ナミとの約束通り、先ずおでんを皿に山盛して持って来た奴は、高速でそれを食い切り、そしてまた席を立ち、新しく料理を取りに行った。
今度はハンバーグを皿に山盛して持って来る、またそれを高速で食う。
そしてまた新しく料理を取りに行く。
今度はビビンバだ、細切りされた肉を飯にたっぷりかけて持って来た、またまたそれを高速で食う。
その間に注文して焼いて貰ったステーキが来たんで、これも高速で食った。
またまた新たな料理求めて旅立つ。
今度はカレーを山盛で、そして高速で食う。
間に再度注文したステーキが出る、これも高速で食う。
またまたまた旅立つ。
今度はピザ、高速で食う。
間に再々度注文したステーキが…高速で食う。
またまたまたまた旅立つ。
今度はフライを……………
…………………………切りが無ェな。
奴が皿によそって去って行く度、大急ぎで料理が追加されてく。
ステーキを注文する度、ウェイターの笑みの引き攣り具合が増す。
ちらりとナミの顔盗み見ると、意外にも涼しい表情をしている。
何処まで我慢するかと、つい緊張しながら見守っちまう。
奴にドクターストップならぬオーダーストップがかけられたのは、デザート系に手を出した時だ――いいかげんにしろとナミの雷が遂に奴の頭上へ落とされた。
…………………………やれやれだ。
「ナミの嘘吐き~~~~!!!食い放題って言ったじゃねェかァ~~~~!!!」
「そりゃ1人3,000円近く払うんだし、元は取らなきゃなと思って或る程度までは黙ってたけど……あんた食い過ぎのやり過ぎ!!!何度も言うけど『加減』を知りなさい!!!」
ポカリと頭を叩かれ、またルフィが不平を言う。
ステーキ10枚…途中で止めてなきゃ、未来永劫前人未踏となる記録を打ち立てていただろう。
周囲に座ってた客達も、こいつの鬼神の如くの食いっぷりに、目を見張って驚いていた。
こういった特殊能力は、是非『大食い選手権』なんかに出て、平和的に利用して貰いたいもんだ。
【その21に続】
…『ポルセレイン・ミュージアム』、私は好きですよ。(汗)
焼物で造形したシャンデリアが綺麗だと思いました。
『磁器の間』…あれは、器に興味薄い方でも1回は観た方が良いです。(ちなみにベルリンのシャルロッテンブルグ宮殿の磁器の間を再現した物です)
観る価値有りです。(笑)
写真の説明~、『ア・クールヴェール』のランチバイキングでの写真。
あんま綺麗に撮れてなくて済みません。(汗)
特にデザート系が美味しかったv
キャラメルアイスとかチョコレートケーキとかプリンとか、姫林檎が出たのが面白い。
陶磁器の博物館だという『ポルセレイン・ミュージアム』は、昨日俺が焼酎を買った店の横に在った。
17~19世紀に、オランダの貿易会社を通じてヨーロッパへ輸出された陶磁器を展示しているっつう事で、所蔵品の質と規模は日本でも有数らしい。
まァ焼物に興味の有る人間が観んなら楽しいんじゃねェかっつうのが正直な感想だ。
4つに分れた展示室には、どう見ても実用的じゃねェだろうっつうサイズの、皿や壺や花瓶なんかが整然と並んでいて、それなりに感心したっつうか勉強になったっつうか。
しかし高さ2mも有るっていう巨大花瓶には度肝を抜かれた。
何活けるってんだ?ラフレシアか??
もっと度肝を抜かれたのが、ベルリンの何とか言う宮殿内に在る1室を再現したっつう『磁器の間』だ。
鏡張り総天然黄金色した壁に、約3,000点もの皿・壺・丼・徳利なんかが隙間無くびっしり飾られてんだぜ。
それが鏡張りの効果で、合せ鏡になって映って無限皿地獄っつか…観ててちょっと眩暈がした。
天井には宗教画めいた絵まで描かれて、さながら大聖堂でも居る気分…いや、金閣寺か秀吉の黄金茶室か?千利休が見たら泣いて怒りそうだ。
金ぴか好きのナミと派手好きデカイ物好きのルフィは、案外気に入って写真を撮ろうとまで言った。
博物館で撮影は拙いだろうと思ったが、案内の女に聞いたら意外にもOKを貰えた――寛容なトコだなァ…。
「すげーよなァ~~~!!!俺んちもラーメンどんぶりや皿なんかで、カベ飾るかな!!」
「止めとけって。地震が来たら目も当てられねェ。おちおち安眠も出来なくなるぞ。」
「大航海時代当時のヨーロッパでは空前の日本ブームが起きてて、輸入された日本の陶磁器は実用品としてより美術品として珍重されてたのね。」
実用品でない器ねェ……俺には解らねェ感覚だなと思った。
昼近くなったんで、バスで昼食予定のレストランに向う事にした。
待ってる間、隣に在った『キューケンホフ』って名前の花屋を覗く。
店の前にずらっと植木鉢が並んでて興味を引かれた。
ぽかぽか暖かそうに、日向で日光浴させられている。
どうやらチューリップの球根が植えてあるらしい。
今から春に咲かせる用意してるって訳か。
「此処にはね、オリジナルのチューリップなんてのも有るのよ。」
「オリジナルのチューリップ??」
「植木鉢に写真が付いてるでしょ?花弁の先がフリンジみたくなってて、結構可愛いのよ。」
屈んでナミが示す写真を見る。
白に淡いピンクの花弁…確かに可憐に思えた。
花の良し悪しは俺にはよく解んねェけどな。
「23年の歳月をかけて開発したんだって。その名も『ハウステンボス』。春になったらそこかしこで沢山咲き出すわ。」
うっとりと植木鉢を見詰てナミが言う。
もう早こいつの目には、春風吹かれて揺れる花が見えてるんだろう。
女ってェのは本当、花が好きな生物だよな。
「ナミナミ!!こっち来てみろ!!面白ェーぞ!!」
1人店ん中入って観てたルフィが叫ぶ。
「なァにルフィ?何か有ったの?」
「ゾロコーナーだ!!ゾロコーナーが有ったんだ!!」
「……ゾロの?」
「……俺の??」
嫌な予感しつつ店内に入る。
ルフィが指で示したそこには、ビー玉くれェのサイズした毬藻が、小瓶やグラスに入れられぎっちりと陳列されていた。
「本当だ~~vプチゾロ101匹大集合ねvv」
「な!?な!?ゾロづくし、ゾロまみれ、ゾロゾロ大行進だろ♪♪」
「誰が毬藻だよ!!!?」
「『ゾロのある暮らし始めませんか?』、1匹630円だってよー。」
「『ゾロは水草の仲間です。日光はあまり好みません。室内で楽しみましょう。』…ああだから室内でゴロ寝したがったのねー。インドア派な生物って言うかー。」
「だから勝手に人の名前に置換えてんじゃねェっつのてめェら!!!!」
ったくこいつら、人見る度に毬藻毬藻サボテンサボテン、失礼極まりねェ。
元はと言えばあの渦潮眉が呼びやがるから…野郎、受験落ちろ、ついでに地獄落ちちまえ。
そうこう騒いでる内に、バスの来る気配がしたんで、停留所へ戻った。
『クラシックバス』の名の通り、茶色の懐かしボンネットバスだ。
クリスマスシーズンに合せて、車体にリースが飾ってあった。
運転手にパスポートを提示する。
俺達3人しか乗って来なかったので、広々とした車内を独占出来た。
ルフィは1番前に、俺とナミは後部の座席に座る。
バスがゆっくりと走り出す、道が石畳のせいかかなりガタガタ振動した。
これはこれで楽しい、ルフィなんか愉快そうに声を上げている。
「…それにしても、もう昼になるってのに、客が少なくねェか?昨日と較べてやけに寂しいっつか…。」
車窓から観る港街には、人影が疎らだ。
なまじっか海に面して広々と開放的なだけに、余計閑散として見えてしまう。
昨日はツリーや帆船をバックに、写真を撮ろうっていう客で人集りが出来てたが、今日は無い。
だからって肩ぶつかるくれェ混み合ってるのは御免だけどな。
「遠方から来るお客さんのが多いみたいだからね。どうしても平日は来る人少ないのよ。…午後過ぎたら観光バス到着するだろから、少しは増えて賑やかなると思うわよ。」
「近くに大都市が無ェってのは苦しいなァ…。」
「それに広大な敷地だから…入ってても散っちゃって、目立たないってのも有るかもね。」
苦笑いながらナミが言った。
確かに広大では有るな、街っつうより『国』だ。
港街を過ぎ、バスは教会の在る広場前のバス停に停まった。
パークの中心って事で、港街よりは比較的人が多く賑やかだった。
未だ昼食を予約した時間まで間が有るって事で、12時から近くでやるっつうショーを観て待つ事にした。
……………予約……??
「…っておい、昼予約してたなんて聞いてねェぞ?」
「そりゃそうよ。言ってないんだから。」
「だからどうしててめェは毎回断り無く…!!!」
「賭けに負けたらコースに文句を付けない約束だったわよねェェェ??」
「――ぐっっ………幾らだよ??」
「安心してvネット予約で割引価格になってるからv2,625円、但しサービス料は別。」
「だから高ェって!!!せめて1,000円台なトコにしてくれよ!!!」
「また貸しにしといてあげるわよ!3倍返しでねv――ルフィーー!!お昼はバイキングで肉食い放題よォーーー!!」
息せき切って先にショーステージ向ってたルフィに、後ろからナミが言葉を投げる。
遠くから「本当かーー!!?」と嬉々として聞き直すルフィの声が響いて来た。
知らぬが仏っつうか……賭け事なんてするもんじゃねェよな…。
テント市場の『ワールドバザール』内に在るステージで、外国人のパフォーマーがヴァイオリンや帽子なんかを使って芸を披露していた。
所謂『大道芸』、素朴だが結構楽しかった。
ルフィに至っちゃ、やんややんやの拍手喝采。
ステージ上ってゲスト出演までしやがった。
ああいうノリの良い馬鹿は、ショーをやる方にとっちゃ有難ェだろうがな。
一輪車に乗ってヴァイオリンを弾いてみせたり、風船使って動物作ってみせたり、中々大した腕前だと感心した。
最初はポツポツとだけしか居なかった観客も、開始後には席をぎっしり埋める程だった。
「芸人さんって凄いわよね!芸だけで世界中回っちゃうんだから!」
「『芸は身を助く』って言うしな。」
「…それは『一芸に秀でている』ケースで言う事だから、今この場で使うのは失礼よ、ゾロ。」
「んあ?そうなのか??」
ショーは20分、昼食までの時間潰しにぴったりだった。
予約した12:30になったんで、その『ア・クールヴェール』って言うレストランに向った。
ナミ曰く、『ホテル・アムステルダム』のメインレストランだそうだ。
世界各地の美味い料理を取り揃えたバイキング、という触込み通り、メニューは豊富でインターナショナルだった。
クリスマスツリーやリースで飾られたスペースには、おでんにサラダにマリネにハンバーグにビビンバにスープにフライにピザにパンにフルーツにデザートにジュースに紅茶に珈琲に…ステーキも有って、注文する度に焼いて、皿に盛って出してくれるらしい。
こんなん見せたらルフィは止っちゃいねェ。
席に案内される前に、即刻スタートしちまった。
「おい……良いのかよ?またピサの斜塔盛りすっぜ?」
窓際の席真向いに座ったナミに耳打ちする。
「体裁悪いからそれは止めろって釘刺しといた。1品取ったらそれ食べ終わってから取りに行けって言っといたわ。」
「…大丈夫なのかよそれでェ??」
ナミとの約束通り、先ずおでんを皿に山盛して持って来た奴は、高速でそれを食い切り、そしてまた席を立ち、新しく料理を取りに行った。
今度はハンバーグを皿に山盛して持って来る、またそれを高速で食う。
そしてまた新しく料理を取りに行く。
今度はビビンバだ、細切りされた肉を飯にたっぷりかけて持って来た、またまたそれを高速で食う。
その間に注文して焼いて貰ったステーキが来たんで、これも高速で食った。
またまた新たな料理求めて旅立つ。
今度はカレーを山盛で、そして高速で食う。
間に再度注文したステーキが出る、これも高速で食う。
またまたまた旅立つ。
今度はピザ、高速で食う。
間に再々度注文したステーキが…高速で食う。
またまたまたまた旅立つ。
今度はフライを……………
…………………………切りが無ェな。
奴が皿によそって去って行く度、大急ぎで料理が追加されてく。
ステーキを注文する度、ウェイターの笑みの引き攣り具合が増す。
ちらりとナミの顔盗み見ると、意外にも涼しい表情をしている。
何処まで我慢するかと、つい緊張しながら見守っちまう。
奴にドクターストップならぬオーダーストップがかけられたのは、デザート系に手を出した時だ――いいかげんにしろとナミの雷が遂に奴の頭上へ落とされた。
…………………………やれやれだ。
「ナミの嘘吐き~~~~!!!食い放題って言ったじゃねェかァ~~~~!!!」
「そりゃ1人3,000円近く払うんだし、元は取らなきゃなと思って或る程度までは黙ってたけど……あんた食い過ぎのやり過ぎ!!!何度も言うけど『加減』を知りなさい!!!」
ポカリと頭を叩かれ、またルフィが不平を言う。
ステーキ10枚…途中で止めてなきゃ、未来永劫前人未踏となる記録を打ち立てていただろう。
周囲に座ってた客達も、こいつの鬼神の如くの食いっぷりに、目を見張って驚いていた。
こういった特殊能力は、是非『大食い選手権』なんかに出て、平和的に利用して貰いたいもんだ。
【その21に続】
…『ポルセレイン・ミュージアム』、私は好きですよ。(汗)
焼物で造形したシャンデリアが綺麗だと思いました。
『磁器の間』…あれは、器に興味薄い方でも1回は観た方が良いです。(ちなみにベルリンのシャルロッテンブルグ宮殿の磁器の間を再現した物です)
観る価値有りです。(笑)
写真の説明~、『ア・クールヴェール』のランチバイキングでの写真。
あんま綺麗に撮れてなくて済みません。(汗)
特にデザート系が美味しかったv
キャラメルアイスとかチョコレートケーキとかプリンとか、姫林檎が出たのが面白い。
ア・クールヴェールはディナーで利用した事がありますが、ランチタイムでも焼きたてステーキがあるのですね。値段からして、ランチはかなりのお得感ありですね。
(宿泊は『ホテルデンハーグ』でしたので、朝食券は『エクセルシオール』のものだったのですが・・・・・・)
そこに座ると意外に狭い気がして拍子抜けしたのですが、よくよく見るとその奥にも席はあるのですよね。
朝食バイキングの内容は、『ヨーロッパ』『デンハーグ』にある「オムレツ(但し型焼)」が無く、その代わりに「スクランブルエッグ」があったのを覚えています。
その他に、大き目の桶(小さめの盥?)に冷奴が泳いでいたのが妙に印象に残りました。
ルフィの良さは素直さだと思うんで…それは書く時外せない設定です。(笑)
ランチは案外お得な値段です、量考えても家族向けに良いかもと。
で、行く前にネットで予約しとけば更に得。(実は店前で割引券配ってるんですけどね~同じ位の価格で)(苦笑)
ちばさん…そうですねー、デンハーグ、ヨーロッパに比較して、ちょっと狭そうに見える気がします。
開放感有る無しが原因かな~と。(汗)
アムステルダムには考えてみれば、去年のクリスマス初めて行きましたねー。
何時か宿泊したいものです、あの部屋の広さには憧れてます。
皆さんコメント有難う御座いました~♪