【前回の続きです。】
風車の建つ岸辺越しに、キンデルダイクの花畑を眺めた。
キンデルダイク程の華やかさは無いけど、そのキンデルダイクの3基の風車とワッセナーの家並みまで入れられて、写真を撮るには結構良さ気かもしれない。
裏通りに在るから人があんま通らないのも良いわよね、隠れた撮影ポイントだわ。
「これで風車の周りに花でも咲いてりゃ、最高なのになー。」
同じ事を考えてたのか、風車の周りをグルグル廻りつつルフィが言った。
「春には咲くらしいわよ!七色のチューリップが一面に!」
「七色!?本当か!?虹みてェだな♪♪」
「そう!秋に埋めといた球根が、3月下旬頃になると一斉に開花して、風車の周りにまるで虹の様な花畑が出来上がるでしょうって、ホームページに出てたわよ!」
赤白黄色、ピンクに紫、オレンジに紺色したのも咲くかしら?
風車を取巻く様に咲揃って、岸辺を埋めて。
春風にゆらゆらふわふわ、靡いて揺れる。
運河を挟んで後には、同様に咲揃ったキンデルダイクのチューリップ畑、そして風車が重なり観えて。
きっと此処は、場内でも有数の春のスポットになるわね。
「春か~~、春も良いよなァ~~~、花がきれーでポカポカあったかで♪」
「夏も秋も冬も、どの季節も綺麗よ此処は、きっと!」
そろそろ店が開く頃かと、ミステリアスエッシャーの建つ通りからニュースタッドへ入る。
休憩場所に考えてたチョコレートハウスは、丁度開店の準備をしてる最中だった。
なら待ってようかとその間、出入口前に在ったキャンディショップ『ドロピエ』に入る事に。
黄色でポップい店ん中には、観てるだけでも楽しくなる位、色も形も味もバラエティに富んだキャンディが、どっさりと売られていた。
時季に合せてリースやツリーやブーツの形した物も売ってる……へェェ、全て量り売りなんだ…可愛いから買っちゃおうかなァァ。
「イチゴにメロンにオレンジにチョコにコーヒーにミルク…お!エダムチーズ味だと!どんな味すんだろなァー??」
「そりゃエダムチーズの味がすんじゃないのォ?エダムチーズ味なんだから。」
選んだキャンディを篭に入れ、量りに乗せながら応える――あ、ちょっとオーバー!
「…そーいやよー。エッシャーの横で何か行列出来てただろー?あれって何の行列だったんだろぉなー。」
ミステリアスエッシャーの右横、アムステル運河に面した辺りには、ベンチが数個置かれ、この街では珍しく長い長い行列が出来ていた。
その殆どが家族連れ、寒い外に在りながら結構な賑わいで、近くを通り過ぎてく人の目を集めていた。
「ああ!あれは多分、乗合馬車だわ!エッシャーの建物の裏に、花で飾られた小さいログハウスが在ったでしょ?あそこが受付になってて、そっから馬車乗ってニュースタッドをくるんと1周するイベントみたいよ。」
「馬車!!?なんだよ早く言えよォ~~~!!!俺、馬車乗りてェ!!!乗りに行こうぜ!!!」
「駄目よ!!!時間無いんだから!!!…あの長い行列見たでしょ!?今から並んだら30分以上は絶対待たされるわ!!!」
「え~~~~!!?そんなァァ~~~~!!?だったら何でもっと早く教えてくれなかったんだよォォ~~~~!!?したら真っ先にここ駆けつけて1番乗り出来たかもしんねーのに!!!」
「だからっっ!!!そんなされたら時間潰れちゃうから教えなかったのっっ!!!…そりゃ私も馬車乗りたかったけどさ。あんなに人気有るんじゃちょっと考えちゃうわよ。有料だし。」
諦め付かないルフィは、尚も不平を鳴らす。
そうこうしてる間に、既に前のチョコレートハウスは開店してたので、何とか宥め賺し脅して引き摺り連れてった。
連れてってる途中で間の悪い事に、カッポッカッポッと馬の蹄の音が道に響いて来た。
艶の有る黒い毛並みした2頭の馬が、数人のお客を馬車に乗せて牽く光景を目の当たりにしたルフィは、更にギャンギャン騒ぎ、店に入るまで煩い事この上無かった。
「ナミのアホォォ~~~~~!!!!チョコレートなんて東京にだっていっぱい売ってて珍しくも何ともねェだろォォ~~~~~!!!?」
「けど、チョコレートの滝はあんま無いんじゃないの?」
「ええっっ!!!?チョコレートの滝っっ!!!?」
聞いた途端、我先にと扉を開いて、店内に入ってく。
……………扱い易いと言うか。
扉を開いて店内に1歩入ると、チョコレートの甘ァ~い匂いが鼻腔を擽った。
出入口正面には天井まで届かんばかりの高さから、チョコレートが3段にトロトロと流れ落ちてる『滝』が在った。
うわっっ美味しそう…これはちょっと指突っ込んで舐めたくなるかも。
「な!なァ!!これ…なめて良いのか…!?なめて良いんだよな!??そうだよな!??」
瞳キラキラさせ、後数㎜で触れるトコまで指近付け、ルフィが聞いて来る。
バックに『うずうず』という書き文字でも入れたくなる様な表情だった。
「いや…駄目よ…舐めちゃ駄目よルフィ!!指を入れないでって書いてあるわ…気持ちは解るけど。」
「なめちゃダメなのか!!?じゃ、何の為に置いてあんだよこれ!!?」
「そりゃ多分……店のシンボルなんじゃないの…?」
『目の毒』って語句を、ストレートに実現させたよなシンボルだわよね。
「今日の日付が入った看板が前に置かれてる。此処で記念撮影して下さいって意味みたい。」
「記念さつえい!!?……うああああ!!!…バカだ…俺って大バカだ…!!何でカメラ忘れちまったんだァァ~~~~!!!」
忘れて写真が撮れない事がよっぽど悔しいらしく、床に蹲って頭を抱えてる。
「まー、確かにあんたは大馬鹿だと思うけどさーー。」
「やっぱりひとっ走りしてカメラ取って来る!!!ここで待ってろナミ!!!」
「だからしなくて良いってばっっ!!!寝てるゾロの邪魔しちゃ悪いでしょ!!?」
言うが早いか扉開けて飛び出して行きそうなルフィの腕をがしっっと抑えて止める。
どうにも撮る撮る煩くて仕方なかったんで、滝の前で2人並んで私の携帯で写真を撮った。
店内は右が喫茶、左が売店と2部に分れていた。
中心奥には硝子張りの工房が在って、店員さんがチョコを製作してく過程を見学出来る様なっていた。
売店フロアにはチョコ専門店の名の通り、多種多様のチョコがいっぱいに陳列されてる。
チョコだけでなく、紅茶やアイスやクッキーまで…正に甘党天国、甘いの好きな人には堪んないわね。
喫茶コーナーもやっぱりメインはチョコメニューだったけど、カレーやパニーニなんかの軽食も置かれていた。
ルフィと2人でテーブル席に向おうとした所、先ずカウンターで注文してお金払ってからだと店員さんから説明を受ける。
「んじゃあ…ホットチョコレートを2つ頼むって事で…」
「ナミナミ!!あいつら食ってんの何だ!?」
ルフィが指す先を見ると、右の窓際角の席で、私達より早く入って来てたカップルが、仲良くチョコレートフォンデュを突っついて食べていた。
「チョコレートフォンデュ??」
「生クリーム入れて溶かしたチョコの中に、フルーツやマシュマロやパンを浸して食べんの。美味しいんだってェ~~!」
「ぜひそれを食おう!!!!」
「駄目。却下。だって2,600円もするってんだもん。」
「い~~~いじゃんかよォォ~~~~!!!!ちゃんと俺も半分払うからさァァ~~~~!!!!」
「だったら借金の方先に払え!!…第一、あれは予約しないといけないって、このメニューに書いてあるもの!」
「えええ~~~~~~!!??」
結局2人共、500円の『ホットチョコレート』で落ち着いた。
ルフィは生クリーム付、私はマシュマロ付。
暫し待たされトレーに載って出て来たのは、白い空のカップ・スプーン・絵入の小さ目ポットにたっぷり容れられたホットチョコレート・小皿に盛られたチビマシュマロ数個等々…ルフィの方の小皿には生クリームがこんもり。
2人して1番奥の窓際の席に座った。
ポットからカップにチョコを注ぐ…湯気がほわわわんと立上り、甘い香りが辺りに漂った。
マシュマロを2、3個抓んで中に浮べ、スプーンで掻き混ぜて飲む。
――美味しい……甘ァい…!!カカオが利いてるvv
疲れが取れるわァ~~~!!(←運転してないからちっとも疲れてないけど)
「え!!?お前、マシュマロなんか入れて飲むのか!!?」
「…当り前でしょ?それ用に出されたもんなんだから。マシュマロは熱い飲み物の中に入れると、クリームみたいに溶けるのよ。」
「そそそうなのか!??全然知らなかった!!!俺、ツマミで食えって意味かと思ってたぜ!!!」
「……まァ、抓んで食べても良いのよ、別に。」
前に座ったルフィは、豪快になみなみとカップに注ぎ、皿に盛られた生クリームを、一気にどっぷりと浮かべて飲んだ………甘そうっっ、溢れてるしっっ。
「うあぢっっ!!!あぢっっ!!!――けど美味ェし甘ェ!!!…俺、飲むチョコなんて、ここ来て初めて飲んだ。ココアに似てっけど…やっぱチョコみてェな味すんなァ~~~♪」
「そりゃホットチョコレートだし。」
ルフィは余程気に入ったらしく、熱いと言いつつご機嫌で啜る。
ウソップと2人、生来からの甘党だもんね。
気に入ると思って連れて来た甲斐が有ったわァ。
「ゾロも来りゃ良かったのになァ~。こぉぉんな美味ェもん飲めたのによォ。」
「……むしろ居たら来なかったわよ。甘いの苦手で、誘っても嫌がっただろうし。」
「こぉぉんなに美味ェのにかァ~~??」
熱くて中々飲めないのか、フーフー息吹き掛けつつ聞いて来る。
「居なくて助かったわよっっ!!!居たら此処には入れなかったからっっ!!!……いっそ旅行自体来なきゃ良かったのよ!!来たくなかったんならっっ!!!」
「来たくなかった??……別にんな事は無ェと思うけどなーー。」
「どう見たってそうゆう態度だったじゃない!!!何処行って観ても、何食べたり飲んだりしても、『へェ』とか『まァまァだな』なんて、どーでもいーよーなさ!!!いちいちいちいち人に文句付けて反抗して挙句の果て1人別れてコテージでゴロ寝!!ざけんじゃないわよ!!!何様の積りよ!!?そんな嫌だったんなら何で付いて来たのよあの馬鹿っっ!!!!」
喋ってる内に段々興奮して来てつい、バンッッ!!!とテーブル叩き付けて叫んでしまった。
零されちゃ困るとばかりにルフィが、自分の分の載ったトレーを持上げ避難する。
「……そりゃやっぱ……俺とナミの2人だけで、旅行に行かせたくなかったんじゃねェかァ?」
「……………は?」
「だから、俺とナミを2人っきりで行かせたくなかったんだろ、ゾロは。」
思わず目が点になった様な気がした。
いきなり何を言い出すんだ、こいつは??
天井見上げてのほほんとチョコを啜る表情からは、皆目真意が読み取れない。
「……だったら…今は何で2人っきりにしてる訳!?矛盾してるじゃない!!」
「あーー……これは多分……ゾロなりに、気ィつかってるっつぅか…。」
「気を…遣ってる!??」
「俺じゃすぐケンカになっちまって、甘えさせてやれねェから~~……とか何とか……昨夜俺に言って来た。」
「甘えさせてやるゥゥ!!?何その偉そうな言い分!!?私が何時甘えさせてなんて頼んだっつうのよ!??」
「俺に聞かれてもなァ~~~~。」
ズズズズーーーッと音を立てて飲み切る。
「素直じゃねェからなァ、あいつも♪」
にかっっ♪と歯を剥き出し満面の笑顔、2杯目をカップに注いでまた啜る。
「……何それ?全っっ然、意味不明だわっっ!!」
「ナミは鈍感だからなァァ~~~~♪」
「あんたに言われたくないわよっっ!!!」
怒鳴ってもルフィはニマニマ笑って流す。
その笑ってる瞳から、明らかに愉快がってるのが見て取れた。
……何だかもう、真剣に取り合ってるのが馬鹿みたいに思えて来たんで、いいかげん話を打ち切った。
【その33に続】
写真の説明~、ニュースタッド、チョコレートハウスの横の並木。
毎年クリスマスに合せた様に、赤い小さな実をどっさり付ける。
…何て木でしょうね…?聞いた筈なのに忘れてしまった。(汗)
馬車は楽しいですよ~、車体が高いから、結構見晴らし良いんだ~。
有料ったって500円位だし…ただ、回転が悪いので、割かし行列待ちしてる場合が多いのが難点。
はいはい、書いててもう恥しいの何の…多分読んでる方も恥しいかと……御免なさい。(苦笑)
風車の建つ岸辺越しに、キンデルダイクの花畑を眺めた。
キンデルダイク程の華やかさは無いけど、そのキンデルダイクの3基の風車とワッセナーの家並みまで入れられて、写真を撮るには結構良さ気かもしれない。
裏通りに在るから人があんま通らないのも良いわよね、隠れた撮影ポイントだわ。
「これで風車の周りに花でも咲いてりゃ、最高なのになー。」
同じ事を考えてたのか、風車の周りをグルグル廻りつつルフィが言った。
「春には咲くらしいわよ!七色のチューリップが一面に!」
「七色!?本当か!?虹みてェだな♪♪」
「そう!秋に埋めといた球根が、3月下旬頃になると一斉に開花して、風車の周りにまるで虹の様な花畑が出来上がるでしょうって、ホームページに出てたわよ!」
赤白黄色、ピンクに紫、オレンジに紺色したのも咲くかしら?
風車を取巻く様に咲揃って、岸辺を埋めて。
春風にゆらゆらふわふわ、靡いて揺れる。
運河を挟んで後には、同様に咲揃ったキンデルダイクのチューリップ畑、そして風車が重なり観えて。
きっと此処は、場内でも有数の春のスポットになるわね。
「春か~~、春も良いよなァ~~~、花がきれーでポカポカあったかで♪」
「夏も秋も冬も、どの季節も綺麗よ此処は、きっと!」
そろそろ店が開く頃かと、ミステリアスエッシャーの建つ通りからニュースタッドへ入る。
休憩場所に考えてたチョコレートハウスは、丁度開店の準備をしてる最中だった。
なら待ってようかとその間、出入口前に在ったキャンディショップ『ドロピエ』に入る事に。
黄色でポップい店ん中には、観てるだけでも楽しくなる位、色も形も味もバラエティに富んだキャンディが、どっさりと売られていた。
時季に合せてリースやツリーやブーツの形した物も売ってる……へェェ、全て量り売りなんだ…可愛いから買っちゃおうかなァァ。
「イチゴにメロンにオレンジにチョコにコーヒーにミルク…お!エダムチーズ味だと!どんな味すんだろなァー??」
「そりゃエダムチーズの味がすんじゃないのォ?エダムチーズ味なんだから。」
選んだキャンディを篭に入れ、量りに乗せながら応える――あ、ちょっとオーバー!
「…そーいやよー。エッシャーの横で何か行列出来てただろー?あれって何の行列だったんだろぉなー。」
ミステリアスエッシャーの右横、アムステル運河に面した辺りには、ベンチが数個置かれ、この街では珍しく長い長い行列が出来ていた。
その殆どが家族連れ、寒い外に在りながら結構な賑わいで、近くを通り過ぎてく人の目を集めていた。
「ああ!あれは多分、乗合馬車だわ!エッシャーの建物の裏に、花で飾られた小さいログハウスが在ったでしょ?あそこが受付になってて、そっから馬車乗ってニュースタッドをくるんと1周するイベントみたいよ。」
「馬車!!?なんだよ早く言えよォ~~~!!!俺、馬車乗りてェ!!!乗りに行こうぜ!!!」
「駄目よ!!!時間無いんだから!!!…あの長い行列見たでしょ!?今から並んだら30分以上は絶対待たされるわ!!!」
「え~~~~!!?そんなァァ~~~~!!?だったら何でもっと早く教えてくれなかったんだよォォ~~~~!!?したら真っ先にここ駆けつけて1番乗り出来たかもしんねーのに!!!」
「だからっっ!!!そんなされたら時間潰れちゃうから教えなかったのっっ!!!…そりゃ私も馬車乗りたかったけどさ。あんなに人気有るんじゃちょっと考えちゃうわよ。有料だし。」
諦め付かないルフィは、尚も不平を鳴らす。
そうこうしてる間に、既に前のチョコレートハウスは開店してたので、何とか宥め賺し脅して引き摺り連れてった。
連れてってる途中で間の悪い事に、カッポッカッポッと馬の蹄の音が道に響いて来た。
艶の有る黒い毛並みした2頭の馬が、数人のお客を馬車に乗せて牽く光景を目の当たりにしたルフィは、更にギャンギャン騒ぎ、店に入るまで煩い事この上無かった。
「ナミのアホォォ~~~~~!!!!チョコレートなんて東京にだっていっぱい売ってて珍しくも何ともねェだろォォ~~~~~!!!?」
「けど、チョコレートの滝はあんま無いんじゃないの?」
「ええっっ!!!?チョコレートの滝っっ!!!?」
聞いた途端、我先にと扉を開いて、店内に入ってく。
……………扱い易いと言うか。
扉を開いて店内に1歩入ると、チョコレートの甘ァ~い匂いが鼻腔を擽った。
出入口正面には天井まで届かんばかりの高さから、チョコレートが3段にトロトロと流れ落ちてる『滝』が在った。
うわっっ美味しそう…これはちょっと指突っ込んで舐めたくなるかも。
「な!なァ!!これ…なめて良いのか…!?なめて良いんだよな!??そうだよな!??」
瞳キラキラさせ、後数㎜で触れるトコまで指近付け、ルフィが聞いて来る。
バックに『うずうず』という書き文字でも入れたくなる様な表情だった。
「いや…駄目よ…舐めちゃ駄目よルフィ!!指を入れないでって書いてあるわ…気持ちは解るけど。」
「なめちゃダメなのか!!?じゃ、何の為に置いてあんだよこれ!!?」
「そりゃ多分……店のシンボルなんじゃないの…?」
『目の毒』って語句を、ストレートに実現させたよなシンボルだわよね。
「今日の日付が入った看板が前に置かれてる。此処で記念撮影して下さいって意味みたい。」
「記念さつえい!!?……うああああ!!!…バカだ…俺って大バカだ…!!何でカメラ忘れちまったんだァァ~~~~!!!」
忘れて写真が撮れない事がよっぽど悔しいらしく、床に蹲って頭を抱えてる。
「まー、確かにあんたは大馬鹿だと思うけどさーー。」
「やっぱりひとっ走りしてカメラ取って来る!!!ここで待ってろナミ!!!」
「だからしなくて良いってばっっ!!!寝てるゾロの邪魔しちゃ悪いでしょ!!?」
言うが早いか扉開けて飛び出して行きそうなルフィの腕をがしっっと抑えて止める。
どうにも撮る撮る煩くて仕方なかったんで、滝の前で2人並んで私の携帯で写真を撮った。
店内は右が喫茶、左が売店と2部に分れていた。
中心奥には硝子張りの工房が在って、店員さんがチョコを製作してく過程を見学出来る様なっていた。
売店フロアにはチョコ専門店の名の通り、多種多様のチョコがいっぱいに陳列されてる。
チョコだけでなく、紅茶やアイスやクッキーまで…正に甘党天国、甘いの好きな人には堪んないわね。
喫茶コーナーもやっぱりメインはチョコメニューだったけど、カレーやパニーニなんかの軽食も置かれていた。
ルフィと2人でテーブル席に向おうとした所、先ずカウンターで注文してお金払ってからだと店員さんから説明を受ける。
「んじゃあ…ホットチョコレートを2つ頼むって事で…」
「ナミナミ!!あいつら食ってんの何だ!?」
ルフィが指す先を見ると、右の窓際角の席で、私達より早く入って来てたカップルが、仲良くチョコレートフォンデュを突っついて食べていた。
「チョコレートフォンデュ??」
「生クリーム入れて溶かしたチョコの中に、フルーツやマシュマロやパンを浸して食べんの。美味しいんだってェ~~!」
「ぜひそれを食おう!!!!」
「駄目。却下。だって2,600円もするってんだもん。」
「い~~~いじゃんかよォォ~~~~!!!!ちゃんと俺も半分払うからさァァ~~~~!!!!」
「だったら借金の方先に払え!!…第一、あれは予約しないといけないって、このメニューに書いてあるもの!」
「えええ~~~~~~!!??」
結局2人共、500円の『ホットチョコレート』で落ち着いた。
ルフィは生クリーム付、私はマシュマロ付。
暫し待たされトレーに載って出て来たのは、白い空のカップ・スプーン・絵入の小さ目ポットにたっぷり容れられたホットチョコレート・小皿に盛られたチビマシュマロ数個等々…ルフィの方の小皿には生クリームがこんもり。
2人して1番奥の窓際の席に座った。
ポットからカップにチョコを注ぐ…湯気がほわわわんと立上り、甘い香りが辺りに漂った。
マシュマロを2、3個抓んで中に浮べ、スプーンで掻き混ぜて飲む。
――美味しい……甘ァい…!!カカオが利いてるvv
疲れが取れるわァ~~~!!(←運転してないからちっとも疲れてないけど)
「え!!?お前、マシュマロなんか入れて飲むのか!!?」
「…当り前でしょ?それ用に出されたもんなんだから。マシュマロは熱い飲み物の中に入れると、クリームみたいに溶けるのよ。」
「そそそうなのか!??全然知らなかった!!!俺、ツマミで食えって意味かと思ってたぜ!!!」
「……まァ、抓んで食べても良いのよ、別に。」
前に座ったルフィは、豪快になみなみとカップに注ぎ、皿に盛られた生クリームを、一気にどっぷりと浮かべて飲んだ………甘そうっっ、溢れてるしっっ。
「うあぢっっ!!!あぢっっ!!!――けど美味ェし甘ェ!!!…俺、飲むチョコなんて、ここ来て初めて飲んだ。ココアに似てっけど…やっぱチョコみてェな味すんなァ~~~♪」
「そりゃホットチョコレートだし。」
ルフィは余程気に入ったらしく、熱いと言いつつご機嫌で啜る。
ウソップと2人、生来からの甘党だもんね。
気に入ると思って連れて来た甲斐が有ったわァ。
「ゾロも来りゃ良かったのになァ~。こぉぉんな美味ェもん飲めたのによォ。」
「……むしろ居たら来なかったわよ。甘いの苦手で、誘っても嫌がっただろうし。」
「こぉぉんなに美味ェのにかァ~~??」
熱くて中々飲めないのか、フーフー息吹き掛けつつ聞いて来る。
「居なくて助かったわよっっ!!!居たら此処には入れなかったからっっ!!!……いっそ旅行自体来なきゃ良かったのよ!!来たくなかったんならっっ!!!」
「来たくなかった??……別にんな事は無ェと思うけどなーー。」
「どう見たってそうゆう態度だったじゃない!!!何処行って観ても、何食べたり飲んだりしても、『へェ』とか『まァまァだな』なんて、どーでもいーよーなさ!!!いちいちいちいち人に文句付けて反抗して挙句の果て1人別れてコテージでゴロ寝!!ざけんじゃないわよ!!!何様の積りよ!!?そんな嫌だったんなら何で付いて来たのよあの馬鹿っっ!!!!」
喋ってる内に段々興奮して来てつい、バンッッ!!!とテーブル叩き付けて叫んでしまった。
零されちゃ困るとばかりにルフィが、自分の分の載ったトレーを持上げ避難する。
「……そりゃやっぱ……俺とナミの2人だけで、旅行に行かせたくなかったんじゃねェかァ?」
「……………は?」
「だから、俺とナミを2人っきりで行かせたくなかったんだろ、ゾロは。」
思わず目が点になった様な気がした。
いきなり何を言い出すんだ、こいつは??
天井見上げてのほほんとチョコを啜る表情からは、皆目真意が読み取れない。
「……だったら…今は何で2人っきりにしてる訳!?矛盾してるじゃない!!」
「あーー……これは多分……ゾロなりに、気ィつかってるっつぅか…。」
「気を…遣ってる!??」
「俺じゃすぐケンカになっちまって、甘えさせてやれねェから~~……とか何とか……昨夜俺に言って来た。」
「甘えさせてやるゥゥ!!?何その偉そうな言い分!!?私が何時甘えさせてなんて頼んだっつうのよ!??」
「俺に聞かれてもなァ~~~~。」
ズズズズーーーッと音を立てて飲み切る。
「素直じゃねェからなァ、あいつも♪」
にかっっ♪と歯を剥き出し満面の笑顔、2杯目をカップに注いでまた啜る。
「……何それ?全っっ然、意味不明だわっっ!!」
「ナミは鈍感だからなァァ~~~~♪」
「あんたに言われたくないわよっっ!!!」
怒鳴ってもルフィはニマニマ笑って流す。
その笑ってる瞳から、明らかに愉快がってるのが見て取れた。
……何だかもう、真剣に取り合ってるのが馬鹿みたいに思えて来たんで、いいかげん話を打ち切った。
【その33に続】
写真の説明~、ニュースタッド、チョコレートハウスの横の並木。
毎年クリスマスに合せた様に、赤い小さな実をどっさり付ける。
…何て木でしょうね…?聞いた筈なのに忘れてしまった。(汗)
馬車は楽しいですよ~、車体が高いから、結構見晴らし良いんだ~。
有料ったって500円位だし…ただ、回転が悪いので、割かし行列待ちしてる場合が多いのが難点。
はいはい、書いててもう恥しいの何の…多分読んでる方も恥しいかと……御免なさい。(苦笑)
もし次回、滝を見たとき、あれやこれやと考えているうちに、2歳の息子は本能赴くまま指突っ込むに違いないだろうな~。(苦笑)
チョコレートフォンデュのネタ(?)の中では、オレンジが好きですね。チョコ甘さとオレンジの爽やかな酸味とが巧くマッチしてます。
風邪は一応治りましたが、胃腸をかなりやられまして、病み上がりの今も未だチョットきついかなぁ。
実は先ほど、ホットチョコレート為らぬ、スタ○バッ○スのマシュマロモカを飲みましたところ、まだ復調には至ってないと実感したところです。(汗)
びょりさんはもう大丈夫なんですか?
そうそうそうなんですよ!!ありゃ絶対目の毒ですってば!!
きっと誰か誘惑に負けて指突っ込んだ方が居られるに決まってるわ~!!(笑)
本当、何味なんでしょね…??謎だ…。
あ、私もオレンジがいっちゃん好きです!チョコが甘いから、やっぱ酸味の有る果物が合う様な気がしますよね!
胃腸ですか…そりゃ自分と多分似た症状っすね…きついでしょう?
早く治るようお祈りしてますんで。
そういう時にコーヒー系は拙いですよ~~!!一発でやられます!!御注意を!!(汗)
私も…実はちょっとお腹がね…。(苦笑)
お互い暫し安静にしてましょう。(笑)
コメントども有難う御座いました♪