チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 242

2019年10月08日 13時54分14秒 | 日記
着物は芸術かどうかという議論を昼食時に展開していて実に消化が良かった((爆笑)
国宝になったある染織家の取材に行ったところいきなり白手袋を渡された
そして何年か前国宝の染織家が展示して説明をすませたあと,
舞台裏でたたむのを手伝おうとしたら白手袋を渡されたので手伝うのをやめた

「それはきものという認識を持っているので違和感を感じるのですよ、彼らにとっては芸術でありアートなんです」
「だったら着物を作らなければいいでしょう?」
「着物の形がキャンバスなのです」
「マスクしなければいけないのね」
「そうです。息をかけてはいけません」
「紛らわしいですね誤解しますね」
「誤解しているのはチャコちゃん先生です。今や彼らにとって着物は着るものではありません。飾って見るものです」
「しかし着物が芸術であるというのは後の人が決めるのではないの?着物って着てなんぼでしょうに」
「だから着物の形をしたキャンバスにしていると言ってるではないですか!」
「おこらないおこらない」

かなり前の話大きな企画をしてのちに超有名になった染色家の売出しを務めた
企画が最終だんかいに入り、いよいよ明日大舞台となった時
次の企画を予定していたのにしかもそれもポスターも完成しているのに、いきなり某新聞社の企画にその染色家は乗ってしまった!

チャコちゃん先生のおこるまいことか
「あなたの売出しに多くの方が携わったのですよ、そういう義理は感じないのですか?」
「私の芸術性を認めてくれたんです私はそちらに行きたい」
「何をおっしゃってるの、着物は人が着てなんぼの世界、着てしまえばただの着物、それを芸術に見せるのは着る人の感性があるからです!」
「何をいうこの「あま」私の着物は芸術だ!」
といきなりテーブル上にあったガラスの灰皿が飛んできた
見事に避けたチャコちゃん先生後ろに控えていた広告会社の男性のお腹に当たり、窓ガラスを割らずにすんだ。

そういう若い日を思い出し「きものは芸術かーー」と独り言

そこから神奈川まで用があって湘南新宿ラインの座席で外をぼーと眺めながら
「そうなのかなあ」とつぶやく

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