チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

団十郎さんがーーーー逝った

2013年02月04日 13時49分56秒 | 日記
寂しい
哀しみの中の哀しみ
悲しみの中の悲しみ

あの華をもう見ることができない

まだ団十郎さんが海老蔵の名の頃
浴衣の撮影依頼で楽屋に伺った
部屋に通されたときは鏡に向かって化粧を落としていたが
其れがすむと
きちんと向き直りしっかりと目線を下さった

そのとき体中に火が付いたようなかんじになり
もうすっかりのぼせ上がって
しどろもどろのインタビューに自分ながら慌ててしまった

汗がだらだら流れ
海老蔵さんはさりげなく冷房を入れて下さったらしい
浴衣の取材は真冬だったので冷房がつくはずもないのにーー

そのあとは撮影にご自宅まで伺ったけど
このときもしどろもどろ
此の世にこんないい男がいるのかと思った

仕事柄綺麗な男優さんの取材はしているし
撮影にも立ち会っている
さる皇室の宮様にお目にかかっても
こんなに上がることはない

それ以来海老蔵さんのフアンもちろん団十郎さんになっても
バニラ味のアイスクリームがお好きと聞いて
公演の度に帝国ホテルのバニラアイスを届けていたが
楽屋にご挨拶に上がる勇気がなく
いつも部屋子を呼び出してお渡ししていた

ある日歌舞伎のチケットをいただき
その日は予定があったけど無理矢理キャンセルして
指定の席に座って観劇

いつもは自分で購入するので後ろの方のチケットしか手に入らない
しかしこの日はなんと真ん中で前から三番目
もうどきどき

何とも凄かったのは
目線が必ずチャコちゃん先生に来る
あのにらみの目線がーーー

それ以来もうアイスクリームを持っていくこともしなくなったが
芝居遊びの醍醐味はこういう所にあるのかと納得

でも実に誠意のある方で
おおきな会をするときは必ずご夫妻で出席して下さっていた
「きものを通して日本の文化を広げる」
と言うチャコちゃん先生の趣旨に心から賛同して下さっていた

ここ15年ほどはほとんどご連絡もしていなかったが
5年ほど前銀座でばったり遭遇したとき
覚えていて下さって
「たまには楽屋にいらっしゃいよ」
と声を掛けていただいた

最後に拝見したのが助六だった
もちろん楽屋にはおじゃましなかったけどーー

団十郎さんは今まででただ一人気後れする男の人だったなあ

合掌
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