チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 472

2022年01月29日 09時44分02秒 | 日記
極めて崩す
どんなことにも言えることだけど、何事も極めて自分が好きな風にする。というのが名人かもしれない

昨日は
「東京に友禅染があるんですか?」
着物初心者さんたちと一緒に高田馬場の工房「高孝」さんのところにお邪魔した
主宰の高橋孝之さんは、東京手描き友禅の組合の理事長もなさっていた時期もあり、昨年の秋は叙勲もされている

と書くと「偉い人」という語感になてくるが、「やんちゃな江戸っ子職人」である
父親の代から続く工房を男兄弟で盛り立てているが、父親が主宰のころは各地から「渡り職人」がやってきて、あらゆる染の技術をそこにいる人たちは習得している

昭和30年代だ
小さいころからライダーにあこがれてる孝之少年は高校の卒業時父親に
「オートバイがすぐ買えるぞ」
とささやかれこの道に入った

渡り職人隊は様々な技術の情報を持っていて、染織技法というのに孝之少年は目を開かされた

糸目友禅、更紗染め、江戸小紋、しけ引き、一珍染、型染、ろうけつ染め、墨流し、素描縞、シルクスクり―ン、草木染などなどすべての技術を身に着け、そして今
「一番楽しいことをしている」
と楽しそうだ

どの着物や帯を見ても喜びが伝わってくる
工房で技術説明を受けた後は、染め上がった反物をみんな我先にと身にまとって楽しむ

複雑な手仕事をさも簡単に見せているので、さわり身にまとう側は遠慮がない
「極めたのち自分流にしていく」
というのは手仕事にだけあるのではなく、着物の着方にもそれが言える
いきなり自分流にしたのではそこに「品」が存在せず、極めたのち自由に着る姿には、そこにストーリーが生まれて美しく見える

楽しい時間はあっという間
工房出たときはもう夕日が傾いていた

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