チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

薄暮の櫻

2014年04月04日 09時38分37秒 | 日記
櫻は澄みを切った青空をを通してみるのが一番美しい
何か心が澄み渡るような気がする
若い頃は友人達と夜桜見物を愉しんだ
今ほど人もいなくて
いくとこいくとこで酒と食事をよばれ
知らない同士一気に仲良くなる

一食一献の恩義を受けて
私たちは精一杯機嫌良くおしゃべりに花を咲かせる
若い女の特権だね
何をしても許してもらえるんだもの

目的は一つ花を愛でる
それだけで気持ちが通じるというのはなんとすてきな日本人

いまは「薄暮の櫻」に心を動かされている
華やかに咲いた昼の櫻から夜桜に移るわずかな時間
櫻の花がホットしている感じがする
そのときの櫻が哀しくて優しい

そう言う風情をきものにしたいと
京都の染色作家と桜並木を散歩した
彼女は大病の後なのでことのほか櫻を眺める思いが深い
健康な足を持つチャコちゃん先生は
ついすたすたと歩く

遅れて作家は一つ一つの花を慈しみながら歩く
そのつど道に落ちた花びらにも静かに目線を走らせている

健康だと見落とすことも多いのだと
其の姿を見ていて思う
病というのは天からの贈り物
病に縁がなく病を知る事もまた天からの教えなのだと有り難かった

薄暮の櫻がどんなきものになるのか楽しみだ
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« おとことおんな | トップ | 花嫁の介添えサン »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事