左前

吃驚した
まだ右腕の痛みが取れていなくて
帯を結ぶのには全身総動員なのだが
ドウモ衿元がぐずついてうまくいかない右腕の働きが悪いのだな
と思いながら着終わって玄関を出たら

ウン？
なんか変
鏡の前にもう一度立つ
アレアレ長襦袢のゑりを左前に合わせているではないか

やり直し
なんで？毎日着ていてもこれだ！

長襦袢左前合わせはこれで二回目
威張れることではないが
きものを３６５日に着ようと決心した頃だ
６時の新幹線に乗るので早起きして手早く着付け
あるきかたが何か不自然と思いながらも寝不足だからかな
と思って途中手洗いに立って鏡の中の自分を見て呆然！
長襦袢の衿合わせが左前

アノ狭い場所で素早く着直したが
このまま京都の問屋さんに顔をだしたらーーーと冷や汗ものだった

実はもう一度ある
これは七五三の着付けの放送のとき
三歳の女の子の長襦袢を左前に着付けてしまった
放送途中からもう局には抗議の電話がわんさか（その頃は生放送）

とうぜんチャコちゃん先生は其の番組を降ろされ
担当者は減俸（申し訳ない）
勿論その後此の局からのお呼びは全くない

若いデレクターが取材にいらっしゃるが
話は途中で必ず消える
チャコちゃん先生永久のブラックリストにあるんだね

奈良時代だったら左前の衿合わせの人ノ方が位はうえなのだけどーー
そんなことを担当者に説明したら余計覚えめでたくなくなった