チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

生殖本能

2009年07月10日 09時51分21秒 | 日記
昨日は日本橋のマンダリンホテルで
アフタヌーンテイと洒落こけていたら
其の同じ時間帯で
我がオフイスでは大変なことが起こっていた

6月から育てていた蚕が繭を作り
一昨日から其の繭を割って蛾が飛び出してきた
そして早速交尾

ところがメスの数が少なく
雄の集中交尾にさんざ悩まされ
すっかり疲れたメスは
卵も自力で生めないほど疲れ果てた

破水を終わらせた後はぐったり
それでもオスは雌をめがけて交尾を迫る

タナカとセキドは
可愛そうなメスに産婆よろしく
「ガンバレ頑張れ」とお腹をもむ
其のつど卵がチラホラ出てくる

何せ500個の卵をお腹に労力が必要

「なにやってるの?」
優雅な気分で帰ってきたチャコちゃん先生を
二人はチラリと冷たく見て
作業に没入

へーーと覗き込むと
体が摺れて見るも無残な雌の姿
一方のオスは元気に羽をピロピロさせて
もう居ないメスを探してアピ-ル

雄の動きが激しいので
彼らの居る場所は網を張られている

苦しい苦しいといってるメスの帝王切開をするセキド
なんと頭以外全てにぎっしりの卵が出てきた

次に子孫を残すという生殖本能のスざましさ
彼らは快楽のために交尾を行っているわけではないが
オスの突撃本能に二人はほとほとあきれたようだ

こういう蚕の変容に感謝せず卵も産ませないで
コロシテシマウ人間の無情さ
ますます絹を大事にしなくてはと思う

人間が蚕の改良ばかり手がけたので
蚕はただただ糸を吐く動物になってしまった
きものにして多くの人の目に触れることが
せめてもの蚕に対しての償い

それにしても
雄だけの繭を糸にして男物のきものが出来ているが
其のきものを着た男は
蚕のオスの攻撃本能の気を身にまとい
夜な夜なメスを探すのかしらね

ホホホなんだかあわれ
コメント
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