2011年は、大変な年だった。日本の大地震と大津波、それによる原子力発電所の事故。そして、中東の独裁政権がバタバタと倒れ、今もシリアとイエメンがほぼ内戦状態だ。ギリシャを始めとするユーロ諸国の金融・財政危機が連続し、欧州経済が動揺している。最後は、北朝鮮の独裁者・金正日が死去した。
そんな2011年も年末となり、来年の予想が盛んに行われている。多くの人が、「今年以上に大荒れな展開」を予想している。
ロイターの記事は、「マヤ暦の終了にともない、2012年終末説が流行している」ことに言及しつつ、2012年は「さらに大荒れの展開になるだろう」と予想している。
2012年は、世界の大国の指導者が一斉に交代期を迎える。アメリカ・ロシア・フランスで大統領選挙が行われ、中国でも、胡錦濤から習近平への政権交代が予定されている。あの史上初の黒人大統領・オバマ政権が、早くも二期目の選挙を迎えるのだから、時の流れは早いものだ。
国際情勢ウォッチャーが注目しているのは、イランとイスラエルの対立だ。先日も、ミサイル開発が進むイランの基地でナゾの大爆発が起きて、「イスラエルの仕業ではないか?」と取り沙汰された。なにせ、過去にもイラク・シリア・レバノンに空軍機を送り込み、核開発中の施設を爆撃してきた「実績」のあるイスラエル政府だけに、今度はイランでそれをやっても不思議はないと見られている。記事によると、
>また、西側情報機関がイランの核兵器獲得は予想以上に早いと指摘するなか、一部専門家の間では、イスラエルが来年に対イラン軍事攻撃に踏み切るとの見方もある。
>政治リスクの調査を手掛けるコンサルティング会社ウィキストラットのチーフストラテジスト、トーマス・バーネット氏は「イスラエルによるイラン核施設への攻撃が大きなワイルドカードだ」と指摘。両国ともに一歩も引かない構えを見せている現在の状況は「恐ろしい」と述べた。
ただでさえ中東は危険地帯なのに、イランの核開発なんか、危なっかしくて仕方ない。今年こそは、イランも変わらざるを得ないだろう。
地球の裏側の状況もすごいけど、やはり気になるのは、日本と東アジアだ。
日本の国家予算は、ますます歯止めがきかない大赤字になっている。「日本国債が暴落する日」が、真剣に取り沙汰されるようになってきた。
個人的には、あんまり「国債が暴落する」と大騒ぎしないほうが良いのではないかと思う。金融マーケットでは、いろんな思惑を持った勢力がうごめいている。そりゃ、日本国債にカラ売りを仕掛けて、大儲けを企んでいる連中だっているだろう。それならそれで、ますます金融機関を始めとする国内の勢力が、ガンバッテ買い支えるしかない。そうすれば、外国で悪だくみしている連中は、思惑が外れて大損だ(笑)。
北朝鮮は、独裁者の死去で揺れに揺れている。毎日新聞の報道によると、首都・ピョンヤンでは、金正日の死去した日から、停電が続いているという。さぞかし、真っ暗で、静まり返っていることだろう。市場はすべて閉鎖され、商売がストップしている。
権力闘争のウワサは絶えないらしい。「三代目・金正恩に反対する軍部の勢力が、クーデターを起こそうとしている。背後には中国がいる」というウワサが流れているそうな。奇しくも、週刊現代の記事と一致する話だ(笑)。それによると、ヨーロッパに留学してきた三代目は、国際情勢をよく知っていて、北朝鮮の改革・開放を考えている。それに反対する、北朝鮮政府NO.2の大物・金永春を始めとする軍部の保守派が、中国政府の支持をバックに反乱を起こすのではないか・・・と言われているという。
その中国も、インフレと不動産バブルで社会が動揺している。中国ウォッチャーの意見は、例によって割れている。専門的なエコノミストには、「中国経済は、来年もそれなりの景気を維持するだろう」と、穏健な予想をする向きが多い。確かに、あれだけ勢いよく発展してきただけに、多少のスピードダウンがあっても、急には止まらないだろう・・・というのも分かる。一方、政治や社会を含めた、トータルな面から中国を見ているウォッチャーには、「中国崩壊論」を唱える人が多い。
筆者も、長いこと「中国崩壊論」を唱えてきただけに、なかなか崩壊しないのは残念だ(笑)。それはやっぱり、政府が必死で情報統制したり、内陸部の辺境地帯でせっせとおカネをバラまいて強引に内需拡大したり、長いこと無理を重ねて引っ張ってきたおかげ。でも、その分、矛盾が社会の内部に蓄積されているのも事実。
最近は、東南アジア諸国も中国の海洋侵略に激怒しており、中国離れが進んでいる。中東の独裁政権の崩壊だって、予想以上の急展開で世界中をビックリさせたのだ。来年こそは、そういう「ビックリ」が、東アジアに起きることを期待したい。
このような変化の結果、地球では、独裁国家や全体主義国家がほとんど消滅する。まさしく、驚くべき変容だ。それは、何千年もかけて激しい政治的闘争を繰り広げてきた地球人類にとって、初めての夜明けを意味する。「もう、戦争や革命は起きない」と、いよいよ本当に実感できる年になるだろう。