人間には、「苦しい」とか、「悲しい」とか、そういうネガティブな感情がつきものだ。そういう感情的な苦痛(ペイン)は、それ自体がエネルギー。積もりに積もってくると、一種のエネルギー場ができてくる。エックハルト・トールは、これを「ペインボディ」と呼ぶ。
「ペインボディ」とは、苦痛の感情エネルギーでできた、霊的なエネルギー体。いわば、「霊体の苦痛バージョン」と言える。「過去の感情的な苦痛の記憶」が溜まりに溜まって、オーラのように我々を覆っているというイメージだろうか。人間なら、誰もがそれを抱えて生きている。
ペインボディは、それ自体が一種の生き物でもある。自己防衛本能もしっかり備わっていて、ズル賢い。彼らなりに、生き残ろうと必死。そのためには、栄養分を摂取し続けなければならない。
困ったことに、ペインボディは、ネガティブな思考や感情だけを消化して生きている。つまり、新たな苦痛こそが、ペインボディの栄養源。次々に恐怖を煽り、不安をかき立て、怒りや悲しみを引き起こすのは、このためだ。人間関係を悪くして、他人をも不幸に巻き込む。
ペインボディは、暴力を振るいたがるし、苦痛を受けたがる。SMプレイみたいなものだ。つまり、被害者にも、加害者にもなる。
厄介なことに、これは一個人にとどまらない。民族や国家などの集団も、それぞれに集団ペインボディを抱えている。ひいては、人類全体が、集団ペインボディを肥え太らせてきた。
特に、中東あたりは歴史が古いだけに、殺したり殺されたりを、ほかの地域よりも長くやってきた。それだけ、重いペインボディがこの地域を覆っている。はてしない闘争が続くのは、そのためなのか・・・。
この地上での不幸の原因、それは人類の無意識。ペインボディに思考や感情を乗っ取られ、無意識状態となっていることから生じる。まずは、そこに気づくのが第一歩。
ペインボディは、過去の感情的な記憶でできている。ペインボディをやせ細らせるためには、過去を忘れ、ひたすら「いまに生きる」ことに徹するのが一番。「パワー・オブ・ナウ」とは、まさしく言い得て妙だ・・・。
(参考図書:エックハルト・トール著 『ニューアース』)
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