ビビッド能里子トーク・サロン

心身両面の指導者として感じたこと

認知症の夫と向き合って

2013年09月23日 | 認知症の夫と向き合って
☆夫の穏やかな精神状態をキープするために
 最近は今のことでもすぐに忘れる、そんなときは絶対に責めずに「何でも
私に言ってね。シッカリした妻がついているのだから」と言うと、彼は私をジッと
見つめてニヤニヤする。臆病で弱虫で、人一倍力がなく、いつもキャーキャー悲鳴
を上げていて、何でも「あなたやって!」と、依存心が強い私を、長年熟知して
いるからだ。人に差し上げるつもりのプレゼントを開けられた時には、本当に
腹が立ったが、グッと我慢した。
 また片づけてくれる食器棚の瀬戸物は、その度に場所を変えるので、どこに
あるか分からないし、急いでいる時はカッカする。
買ってきたものをしまわれて、使う時に見つからないこともよくある。
 そんな時には、一所懸命自分の気持ちを抑えるが、ときにはどうしようもなく
激しいしい感情を持て余すときもある。
 でもこれほど忘れたら、私ならどうなるだろうと思うと、夫が気の毒で
ならない。

 夫にあたるより何かアクションを起こした方がよいので、スタジオへ行って
メチャメチャ踊り狂ったり、音楽を聴いたり、ピアノを叩いたりして発散する
ことにしている。でも、夫は黙っているが、私の感情を理解しているのだと
感じる。以前「高齢者の認知症の会」に参加して、介護をしている方たちの、
色々な実体験を聞くと、夫はふつうの人とあまり変わりないと思うし、今現在は
その程度の状態なので、感謝できるかもしれないと、自分をなだめる。
 ご家族に認知症の方がいて、介護をしている方のご参考になるかも知れないので
私が日頃心がけていることをご紹介しようと思う。


1 同じ事を何度も聞かれても、ふつうに答える。
2 昔話でも、同じ話でも、出来るだけ楽しそうに聴く。
3 何があっても決して責めない。
4 できることは、(蛍光灯の交換、固いものを切る、ゴミ出し、洗濯物を干す
  入れる、食器洗い、1点だけの買い物)頼むようし、共同生活者として
  の意識を持たせ、家事に参加するよう仕向ける。
5 何か手伝ってくれたら、必ず「有難う」とか、「助かるわ」と言う。
6 夫の意見に出来るだけ同調したり、逆らわないようにしたりする。
7「あなたがいないとダメなの、だから元気でいてね」と、感じた時には、
  素直に表現する。
8 その日の出来事など話すようにし、「あなたはどう思う」とか、意見を
  聞いたり、同意を求めたりする。 


 最も注意しているのは、「夫の人格」を認め、傷つけないようにすることだが
これは心理カウンセラーの私だからできるのかも知れないが、実は自分でも大変
努力を要するのは明々白々の事実だ。
 しかし毎日のことだから、実際に介護している人は、時にはどうすることも出来
ない感情を、つい当人にあたってしまうこともあることだろう。
でも、それは受け手にとっては、大変なストレスで、怒りや、凶暴な動作の原因
になるのだと思う。なぜなら、分からないようでも、自分が傷つけられたことは
ハッキリ認識しているからだ。それを認知症の説明会で知り、本当は当人が一番
辛いはずだから、滅多に怒らないようにはしている。


 過去に夫に対する確執も、恨みもないので、そんな意味では私は大変幸せかも
しれない。辛い時には、過去の幸せだったことを思い出すのも、私にはとても
役立つようだ。でも、常用薬、金銭管理、スケジュールの管理、我が家の管理以外
は、ほとんど自分でできるし、宅急便なども受け取ってくれるので、私は外出でき
るから大変助かっているが、これからどのように変化するか分からない。
 でも、あまり先のことに不安を抱かず、今の幸せを感謝するように心がけている
けれど、これはタテマエでなくホンネの私の気持ちだ。
 と書きながら、健気にガンバっている自分が、たまらなく愛しくなった。
いずれにしても、肩の力を抜いて、あまり無理しないで、時には自分にご褒美を
上げたり、ねぎらったり、誰かに聞いてもらったりなどして、できるだけストレス
を溜めないようにすることが、長丁場を乗り切るコツだと私は思っている。
       

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