蘇った男チンネン

三途の川を泳げないから返って来た男から電話があっあ。
今日の試合の結果報告、１秒短縮して１５秒、ポイントは降ろされた。
チンネンよ、よくぞそこまで努力したな、でもまだ諦めるな。
俺は、お前が強かった時の事をはっきり覚えているぞ。
初めてお前を見たのは白夜のカナダだったな。
魚屋とコンビでデカイのと小さいの、スプリンターとクライマー、違いすぎる男達の共通点は礼儀正しさですぐに顔を覚えた。
高崎山軍隊所属で、ハイと言う掛け声は、まさに平成生まれの昭和初期の男、育ててくれた先生に感謝しろ。
そして少しだけ思い出して見ろ、真冬の奈良での頑張り、スイスでの走り、あの走りを俺にもう一度見せてくれよ。
チンネン、走れるように成っただけでも奇跡だろ、生きるチャンスをもらったんだから何があろうと諦めるな、少しでも強く速く成る為には立ち止まってはいかんぞ、走らんか。