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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「新しい資本主義」の正体③ 経済安全保障 大企業優遇策の口実

2021-11-21 07:20:58 | 経済・産業・中小企業対策など
「新しい資本主義」の正体③ 経済安全保障 大企業優遇策の口実
米国と中国の先端技術の覇権争いが先鋭化する中で、日本国内で「経済安全保障」という議論が盛んに交わされるようになりました。今年6月に閣議決定した「骨太の方針」では、「経済安全保障にかかわる戦略的な方向性として、基本的価値やルールに基づく国際秩序の下で、同志国との協力の拡大・深化を図りつつ」進めると強調されました。今年の「通商白書」も「各国における経済安全保障の強化」に注目し、「米中の技術覇権をめぐる争いなどを背景とし、米中を始めとして、経済安全保障に関する取り組みが強化されており、新型コロナウイルス感染症の拡大によりサプライチェーンのぜい弱性が顕在化したこととも相まって、そうした傾向に拍車がかかっている」と指摘しました。


半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)のロゴ=台湾、1月19日(ロイター)

明確な定義なし
「経済安全保障」という用語は、安全保障と経済の問題が密接に関わる文脈で使用される概念ですが、必ずしも明確な定義があるわけではありません。
岸田文雄内閣の下で新設された経済安全保障担当相に就任した小林鷹之氏は、10月5日の会見で「経済と安全保障がまさに融合していく世の中になっています」と発言したものの、「政府の定義も含めて、また法律をどうしていくかも含めまして、これは今後の検討事項」だとしました。「国の独立、生存、そして繁栄を経済面から確保していくこと。これを経済安全保障という形で定義」していきたいとの考えを表明しました。「独立」、「生存」「繁栄」というだけでは極めて抽象的です。「経済安全保障」という看板さえつければ、巨額利権まみれで、欺隔(ぎまん)に満ちた政策であっても進められる危険があります。
「日本は先端半導体の輸入依存度が高く、先端半導体の製造能力を有していない」として、「新しい資本主義実現会議」が8日に発表した緊急提言には、台湾の半導体企業の日本進出を後押しする文言が盛り込まれました。
「最先端半導体の受託製造でトップシェアを誇る台湾企業の日本進出は、日本の半導体産業の不可欠性と自律性を向上し、安全保障に大きく寄与することが期待される」
翌9日、半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、熊本県での工場建設を正式に発表しました。スマートフォンなどのカメラに使われる画像処理センサーで最大手のソニーグループのソニーセミコンダクタソリューションズも出資。出資比率は20%未満となります。22年に着工し、24年末までの生産開始を目指します。製造するのは自動車などに使われる回路線幅22~28ナノメートル(ナノは10億分の1)のロジック半導体。月間生産能力は300ミリウエハー換算で4万5000枚を計画しています。最先端の半導体ではありません。ソニーGは新工場から画像センサー用半導体などを優先的に調達する方針です。当初の設備投資額は、約70億ドル。日本円に換算すると約8000億円。発表文では、政府が支援策を正式に決定する前の段階から「日本政府から強力な支援を受ける前提で検討しています」と強調していました。政府からの補助金は、半額の4000億円と見込まれています。

「複数年度支援」
「新しい資本主義実現会議」は、こうも提言しています。「先端半導体の国内立地の複数年度に渡る支援、必要な制度整備を早急に進め、強靱(きょうじん)なサプライチェーンを構築する」
政府は、複数年度にわたって、台湾の一つの企業に巨額の税金を注ぎ込む計画です。大企業への「ばらまき資本主義」にほかなりません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月19日付掲載


「経済安全保障」という看板さえつければ、巨額利権まみれで、欺隔(ぎまん)に満ちた政策であっても進められる危険が。
「新しい資本主義実現会議」は、こうも提言。「先端半導体の国内立地の複数年度に渡る支援、必要な制度整備を早急に進め、強靱(きょうじん)なサプライチェーンを構築する」
政府は、複数年度にわたって、台湾の一つの企業に巨額の税金を注ぎ込む計画。

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