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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「新しい資本主義」の正体② デジタル化 「国民監視社会」に道

2021-11-20 07:05:09 | 経済・産業・中小企業対策など
「新しい資本主義」の正体② デジタル化 「国民監視社会」に道
岸田文雄政権は「広く関係者の幸せにつながる」「持続可能な資本主義を構築」するといいながら、その実、大企業の利益を最優先にしています。とりわけ危険なのは、医療・介護・教育などの「準公共分野」を、大企業の利益を増やす「成長戦略」の主要な柱に位置付けていることです。

第一に、これらの分野で蓄積される国民の個人情報をデジタル化(コンピューターで処理できる0と1の数列で記号化)し、大企業による利活用を進めようとしています。
岸田政権の「緊急提言」は、▽医療・介護分野で妊産婦・乳幼児・高齢者などの健康状態に関するデータをさまざまな主体が利用できる環境を想定して実証を行う▽教育分野でデジタル教材と学習指導要領をひも付けて、それらを検索できるシステムの開発と実証実験を進める▽将来的に分野横断的なデータ基盤の構築へつなげる―としました。

AIが分析活用
これは、経団連が「新成長戦略」などで政府に迫ってきた施策そのものです。経団連は、▽胎児期から死亡時までの健康状態▽学校・社会教育における学習履歴―などをデータ化し、企業や行政が保有するその他の個人データとひも付けて、データ共通基盤に蓄積することを求めたのです。企業や行政が人工知能(AI)を使って分析・活用するためです。
膨大な個人情報を活用して世界各国の市場を支配した米国や中国のIT(情報技術)企業に対して日本企業が劣後し、「デジタル敗戦」ともいわれる中、政府の後押しで後れを挽回する狙いです。日本医療総合研究所の寺尾正之研究・研修委員は監視社会化の恐れを指摘します。
「健康状態や学習履歴に関する機微な個人情報を営利企業に開放すれば、社会的差別や排除を引き起こす恐れがあります。実際、経団連は学習履歴を企業の『採用、処遇、評価』に使うと明言しています。政府は膨大な個人情報をマイナンバーカードへ集約して一元管理することも狙っており、国民のあらゆる行動を政府が把握する監視社会となる恐れもあります」



オンライン学習教材を紹介する経済産業省のホームページ

公教育の縮小も
第二の危険は、営利企業がつくるデジタル教材を悪用して、公教育を縮小しようとしていることです。
岸田政権の提言案は、▽1人1台のIT端末を活用して新たな学びの環境の整備(ギガスクール構想)を進める▽先端的教育ソフトウエアを導入して「個別最適な学びの充実」に取り組む学校を支援する―としました。
全日本教職員組合の波岡知朗副委員長は批判します。
「『先端的教育ソフト』は企業が営利目的でつくるものです。それを学校で大々的に使わせ、教師の役割を縮小することが『成長戦略』とされています。経済産業省の官僚は『小学校は午前中で終わりにして、学びたい子は塾に行けばいい』とまでいいました。事実上、公教育の民営化が狙われています」
学びの過程も変質するといいます。
「子どもがソフトを使って学習すると、AIが『次はこれをやったら?』と次の課題へ誘導します。できる子は先へ進み、取り残される子は自己責任とされる。『個別最適』の実態は差別・選別です。インターネットを通じてソフトを使った学習履歴はソフト制作企業に蓄積されます。企業はそれを営利目的で使おうとするでしょう。データを十分蓄積できなかった子やデータの提供を拒んだ子は生涯にわたって不利益を被りかねません。総じて、経済政策の中に教育を位置付けること自体が間違っています」
「新しい日本主義」の正体は、公的部門を侵食して大企業の利潤追求の場に変える、新自由主義なのです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月18日付掲載


医療・介護・教育の分野の個人情報をデジタル化して、民間企業に提供するって。
福祉や教育の充実のためでなくって、民間企業の利益のために使われる…。
「子どもがソフトを使って学習すると、AIが『次はこれをやったら?』と次の課題へ誘導します。できる子は先へ進み、取り残される子は自己責任とされる。『個別最適』の実態は差別・選別」

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