けいざい四季報 2024 Ⅱ ③ 異常円安 値上げラッシュ再燃の恐れ
【ポイント】
①異常円安が進み政府・日銀が計9兆7885億円の為替介入に追い込まれる
②日銀が「緩和継続」を表明したため、日米金利差を意識した円売り圧力が増大
③異常円安の進行で輸入物価が上がり、値上げラッシュ再燃の恐れが指摘される
異常円安が一段と進み、政府・日銀は為替介入の実施に追い込まれました。
2度の為替介入
円相場は、4月29日の外国為替市場で1ドル=160円台まで下落した後、一転して154円台に急騰しました。政府・日銀が円買いドル売りの為替介入に踏み切ったとの観測が浮上しました。さらに5月2日、円相場は1ドル=157円台半ばから一時153円台まで4円以上も急騰。政府・日銀が再び為替介入に踏み切ったとの見方が強まりました。
財務省は5月31日、外国為替市場で4月26日から5月29日までに計9兆7885億円の為替介入を実施したと発表しました。実施日は8月に公表されますが、4月29日と5月2日だとみられています。介入規模は月次公表ベースで過去最大となりました。
それでも円安の流れは止まっていません。円相場は5月14日には1ドル=156・46円(東京市場17時時点)まで下落。6月26日には1ドル=159・90円(同)となっています。
日本銀行本店=東京都中央区
背景に金融緩和
異常円安の背景にあるのは日銀の金融緩和です。
日銀は4月26日の金融政策決定会合で、短期金利の誘導目標を「0~0・1%程度」に据え置きました。同時に公表した景気予測「経済・物価情勢の展望」では、当面「緩和的な金融環境が継続する」としました。日銀が緩和継続を表明する一方で米国の早期利下げ観測が後退し、日米の金利差が広がった状態が続くとの見方から、金融市場で円売り圧力が増大しました。
6月14日の金融政策決定会合では、「月間6兆円程度」としてきた国債買い入れの減額方針を決めました。具体的な減額計画は7月会合で定めるとしました。短期金利の誘導目標は「0~0・1%程度」で据え置きました。
日銀は3月のマイナス金利政策解除に続き、「量的引き締め」にも移行することになります。国債買い入れの減額によって長期金利に上昇圧力がかかるため、日米金利差拡大を背景に進んできた円安を一定程度抑制する効果を期待する声もありました。しかし具体策が示されなかったことで、同日の為替市場では円安が進みました。
輸入物価が上昇
異常円安の進行によって値上げラッシュ再燃の恐れが高まっています。
主要食品メーカー195社の値上げ動向調査を続けている帝国データバンクは、24年1~10月に値上げが予定される品目のうち、「円安」要因の値上げは29・2%となり、前年同時期(11・5%)に比べて約3倍の水準に拡大したと分析しています。
さらに「34年ぶりの安値となった円ドル為替相場は、2022年半ば~23年前半の値上げラッシュを引き起こした当時の円安水準を超えており、24年4月における円ベースの輸入物価指数は前年同月比6・4%の上昇となるなど影響が顕在化している」と指摘。「今秋にかけて『円安値上げ』の割合がさらに高まる局面も予想される」と警鐘を鳴らしています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年6月27日付掲載
異常円安の背景にあるのは日銀の金融緩和。
日銀が緩和継続を表明する一方で米国の早期利下げ観測が後退し、日米の金利差が広がった状態が続くとの見方から、金融市場で円売り圧力が増大。
異常円安の進行によって値上げラッシュ再燃の恐れが高まっています。
【ポイント】
①異常円安が進み政府・日銀が計9兆7885億円の為替介入に追い込まれる
②日銀が「緩和継続」を表明したため、日米金利差を意識した円売り圧力が増大
③異常円安の進行で輸入物価が上がり、値上げラッシュ再燃の恐れが指摘される
異常円安が一段と進み、政府・日銀は為替介入の実施に追い込まれました。
2度の為替介入
円相場は、4月29日の外国為替市場で1ドル=160円台まで下落した後、一転して154円台に急騰しました。政府・日銀が円買いドル売りの為替介入に踏み切ったとの観測が浮上しました。さらに5月2日、円相場は1ドル=157円台半ばから一時153円台まで4円以上も急騰。政府・日銀が再び為替介入に踏み切ったとの見方が強まりました。
財務省は5月31日、外国為替市場で4月26日から5月29日までに計9兆7885億円の為替介入を実施したと発表しました。実施日は8月に公表されますが、4月29日と5月2日だとみられています。介入規模は月次公表ベースで過去最大となりました。
それでも円安の流れは止まっていません。円相場は5月14日には1ドル=156・46円(東京市場17時時点)まで下落。6月26日には1ドル=159・90円(同)となっています。
日本銀行本店=東京都中央区
背景に金融緩和
異常円安の背景にあるのは日銀の金融緩和です。
日銀は4月26日の金融政策決定会合で、短期金利の誘導目標を「0~0・1%程度」に据え置きました。同時に公表した景気予測「経済・物価情勢の展望」では、当面「緩和的な金融環境が継続する」としました。日銀が緩和継続を表明する一方で米国の早期利下げ観測が後退し、日米の金利差が広がった状態が続くとの見方から、金融市場で円売り圧力が増大しました。
6月14日の金融政策決定会合では、「月間6兆円程度」としてきた国債買い入れの減額方針を決めました。具体的な減額計画は7月会合で定めるとしました。短期金利の誘導目標は「0~0・1%程度」で据え置きました。
日銀は3月のマイナス金利政策解除に続き、「量的引き締め」にも移行することになります。国債買い入れの減額によって長期金利に上昇圧力がかかるため、日米金利差拡大を背景に進んできた円安を一定程度抑制する効果を期待する声もありました。しかし具体策が示されなかったことで、同日の為替市場では円安が進みました。
輸入物価が上昇
異常円安の進行によって値上げラッシュ再燃の恐れが高まっています。
主要食品メーカー195社の値上げ動向調査を続けている帝国データバンクは、24年1~10月に値上げが予定される品目のうち、「円安」要因の値上げは29・2%となり、前年同時期(11・5%)に比べて約3倍の水準に拡大したと分析しています。
さらに「34年ぶりの安値となった円ドル為替相場は、2022年半ば~23年前半の値上げラッシュを引き起こした当時の円安水準を超えており、24年4月における円ベースの輸入物価指数は前年同月比6・4%の上昇となるなど影響が顕在化している」と指摘。「今秋にかけて『円安値上げ』の割合がさらに高まる局面も予想される」と警鐘を鳴らしています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年6月27日付掲載
異常円安の背景にあるのは日銀の金融緩和。
日銀が緩和継続を表明する一方で米国の早期利下げ観測が後退し、日米の金利差が広がった状態が続くとの見方から、金融市場で円売り圧力が増大。
異常円安の進行によって値上げラッシュ再燃の恐れが高まっています。
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