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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

LINEと国境③ 新自由主義的な委託

2021-04-16 06:53:58 | 政治・社会問題について
LINEと国境③ 新自由主義的な委託
情報産業研究者 高野嘉史さんに聞く

LINE(ライン)問題の背景には、企業活動のグローバル化によって人件費の安い国・地域へ業務を委託して「効率的」な経営を実現する、新自由主義的な事業活動があります。IT(情報技術)企業も、何段階もの子会社などを経由して業務を海外の事業者へ外部委託しています。



LINEの通信サービスを使えるようにするためのページ

規制届かず
今回問題になったのはLINE株式会社(以下L社)が日本の利用者の個人情報を外国で保管・利用していたことですが、これは米国企業のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などにも共通する問題です。最近では通信会社KDDIでも同様の問題が発生しています。グローバル化する企業活動に規制が追い付いていないことが問題の根底にあります。
また、公正取引委員会による独占禁止法の運用の問題点も浮かび上がりました。
L社は3月1日、検索サービス大手ヤフーを傘下に収めるZホールディングスと経営統合しました。公正取引委員会は昨年8月4日、両社の「ニュース配信事業」、「広告関連事業」、「コード決済(スマホ決済)事業」について重点的に審査し、経営統合を承認しました。付けた条件は、大きなシェアを持つ両社のスマホ決済サービスが市場競争を阻害しないか、経営統合後3年間シェアを報告させることだけでした。
しかし今回、L社の個人情報問題が発覚したとき、ヤフーニュースのトピックスにはこの問題が登場しませんでした。ニュース配信事業のシェアが極めて大きい企業(ヤフー)と、交流サイト(SNS)のシェアが極めて大きい企業(LINE)の経営統合が、深刻な弊害をもたらすことがあらわになりました。市場に及ぼす経営統合の影響を審査するにあたっては、個別の事業のみを取り上げるのではなく、社会的な影響を含めた事業の相関関係の検討が求められます。
さらに、SNSサービスを提供する事業者が法的根拠もなしに利用者の発信するコンテンツ(情報の内容)に介入するのは表現の自由の侵害ではないかという問題もあります。米国の大統領選挙に際してツイッターやフェイスブックはトランプ前大統領の「不適切な」書き込みを削除しました。しかし、私的な企業が法的根拠抜きに実質的規制者として行動してよいものか、という議論もあります。

官民癒着は
欧州連合(EU)が昨年公表した「デジタルサービス法案」は、インターネット上で情報発信や通信販売の基盤を提供するIT企業に対して、コンテンツに関する明確な責任と説明責任を持たせる包括的な規制の枠組みを提案しています。
このような法的枠組みが不十分な中で、個人情報の扱いに懸念のあるL社のサービスを政府・自治体が活用しようとしているのは大きな問題です。政府は「デジタル化推進」の名のもとに、確定申告の相談予約、住民サービス、新型コロナウイルスのワクチン注射の予約などにL社のサービスを使おうとしています。
現在、国会ではデジタル庁の設置が審議されています。同庁の母体になることが想定されている内閣官房IT総合戦略室には、L社やヤフー、ソフトバンクなどの社員が非常勤職員として勤務しています。これらの職員が行政へのLINEの採用などの政策決定に関与しているとすれば、透明性に欠ける官民癒着とのそしりを免れません。
LINE問題を契機に、企業がグローバルに事業を展開していることを前提にして、日本の個人情報保護のあり方、SNSの活用のあり方を見直すべきです。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月15日付掲載


LINE社の個人情報問題が発覚したとき、ヤフーニュースのトピックスにはこの問題が登場しませんでした。ニュース配信事業のシェアが極めて大きい企業(ヤフー)と、交流サイト(SNS)のシェアが極めて大きい企業(LINE)の経営統合が、深刻な弊害。
デジタル庁の事業に、特定の企業が優先的に参入するってことも。
しっかり監視が必要です。

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