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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

改憲の企て 「緊急時」の議員任期延長② 民主政治 徹底に反する

2023-07-22 07:39:53 | 平和・憲法・歴史問題について
改憲の企て 「緊急時」の議員任期延長② 民主政治 徹底に反する
「緊急時」の国会議員任期の延長に関わって議論の焦点となったのが、参議院の「緊急集会」です。
憲法54条2項では、衆議院が解散中の場合、臨時の暫定的措置として参議院の緊急集会で対応し、その後に国民から選ばれた衆議院がその当否を判断する仕組みを定めています。つまり、あれこれの緊急事態を想定し、任期延長のための改憲をせずとも現行憲法のもとで対応可能ということです。
これに対し自民党などは、54条が1項で、衆院解散から40日以内の総選挙、その後30日以内の国会召集を求めていることを根拠加に、緊急集会の開催期間は「最大70日間に限られる」などと主張し、議員任期の延長が必要だと訴えています。
一方で憲法学者からは70日以上でも開催は可能との見解が示されました。

憲法54条
① 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
② 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
③ 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

70日を超えての緊急集会認める
長谷部恭男・早稲田大学大学院教授は、そもそも54条1項が日数を限っているのは、現在の民意を反映していない従前の政府がそのまま政権の座に居座り続けることのないようにとの考慮からであり、「緊急集会の継続期間が限定されているかのように見えるのは、その間接的、派生的な効果にすぎない」と指摘。任期延長は「本末転倒の議論」だと強調しました。
参院憲法審査会で参考人として陳述した土井真一・京都大学大学院教授は「54条2項に、衆議院の解散の日から『70日以内に限り』という文言が直接存在するわけではない」と指摘。緊急事態から通常時へのレジリエンス(復元力)の高い仕組みとして「緊急集会は合理的な制度だ」と強調し、「権力の抑制と均衡の機会はできる限り認めるべきだというふうに解するのであれば70日を超えて緊急集会を認めることはできる」と述べました。
6月7日の参院憲法審では、日本共産党の山添拓議員がこうした参考人の陳述を紹介。その上で、「任期延長による国会は、選挙されていない存在を完全な国会であるかのように扱う点で民主的正統性を欠くばかりでなく、緊急集会と異なり、通常時への復元力も期待できず、民主政治の徹底という憲法の趣旨とは相いれない」と批判しました。

緊急勅令を乱用 国民弾圧の過去
明治憲法下では、政府が帝国議会の閉会中に緊急勅令や緊急財政処分の制度を乱用し、国民弾圧の手段に使いました。政府は敗戦後、新憲法に同様の制度を復活させようとしたものの、連合国軍総司令部(GHQ)との交渉過程で退けられ、代わりに取り入れられたのが参院緊急集会の制度です。
国民の自由と権利を奪い、侵略戦争への道を突き進んだ痛苦の歴史の教訓を忘れてはなりません。
任期延長など合理性を欠く改憲論が持ち出される背景には“改憲ありき”でことを進めようという矛盾があります。
岸田文雄首相は総裁任期中(来年9月まで)の改憲実現を公言しており、国会閉会後の記者会見でも「目の前の任期において憲法を改正する努力をする」と改めて改憲に意欲を示しました。維新・国民は「国民投票の実施を踏まえれば、遅くとも来年7月末までに国会発議をしなければならない」(維新・馬場伸幸代表)、「来年の通常国会には(改憲)発議できるよう働き掛けたい」(国民・玉木雄一郎代表)などと改憲の具体的スケジュールを示すよう迫り、ハッパをかけています。
しかし、国民多数は改憲を優先課題と考えておらず、改憲への企ては狙い通りに進んでいません。民意無視で期限を区切って改憲に固執することは本末転倒であり、矛盾を深めるだけです。(おわり)(この連載は中野侃が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年7月18日付掲載


参院憲法審査会で参考人として陳述した土井真一・京都大学大学院教授は「54条2項に、衆議院の解散の日から『70日以内に限り』という文言が直接存在するわけではない」と指摘。緊急事態から通常時へのレジリエンス(復元力)の高い仕組みとして「緊急集会は合理的な制度だ」と強調し、「権力の抑制と均衡の機会はできる限り認めるべきだというふうに解するのであれば70日を超えて緊急集会を認めることはできる」と。
明治憲法下では、政府が帝国議会の閉会中に緊急勅令や緊急財政処分の制度を乱用し、国民弾圧の手段に使った。政府は敗戦後、新憲法に同様の制度を復活させようとしたものの、連合国軍総司令部(GHQ)との交渉過程で退けられ、代わりに取り入れられたのが参院緊急集会の制度。

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