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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

年金 あれ?コレ! 無年金者の対策は カラ期間使い老齢年金受給&高齢任意加入の方法も

2022-05-12 06:30:59 | 予算・税金・消費税・社会保障など
年金 あれ?コレ! 無年金者の対策は カラ期間使い老齢年金受給&高齢任意加入の方法も
公的年金を受けられない65歳以上の無年金者は、全国で約55万人を超えます(2020年度後期高齢者医療制度被保険者実態調査)。老後の支えとなる年金を受給するため、今からできる対策はあるでしょうか。くらしの相談室回答者・小川健一さん(年金問題研究家)が、事例をもとに紹介します。



年金問題研究家 小川健一さん

カラ期間使い老齢年金受給
【事例1】
67歳の女性。18歳から職場で5年間、厚生年金をかけた。23歳のとき結婚し、結婚期間は33歳までの10年間。夫は結婚後2年ほど会社に勤め厚生年金に加入し、その後は退職して家業を継いだ。相談者は離婚後、35歳からイギリスに7年ほど留学。自分で年金に加入したのは厚生年金の5年だけだが、老齢年金を受給できるのか。

年金の受給条件は、以前は25年以上の資格期間(厚生年金・国民年金などの保険料納付期間または免除期間)が必要でした。2017年8月に法律改正があり、10年以上の資格期間があれば受給できることになりました。
カラ期間(合算対象期間)といって、年金を受給できる10年の資格を見るとき、期間を合算できる制度があります(別項1)。このカラ期間が使えないか検討してみましょう。
1986年3月までは夫が厚生年金に加入していて妻が未加入であれば、その期間を夫から借りて「カラ期間」として使うことができます。相談者の場合、2年間あるので合計7年ですね。
そのほか、20歳以降の学生だった期間、日本国籍がある人の海外在住期間(20歳~60歳)も「カラ期闇」として使えるので、資格期間に加えられます。相談者には7年の留学期間があります。
合計すると、会社に勤務した5年、夫の厚生年金期問の2年、海外在住の7年で14年になりますね。この三つを合わせれば10年以上になるので、受給権を満たせると思います。2017年8月の法改正時点にさかのぼり老齢年金が受けられます。
実際のカラ期間の認定には、戸籍謄本や大学の在籍証明書、パスポート
等が必要になります。年金事務所でしっかり確認を受けながら、手続きを進めてください。

【別項1】 主なカラ期間
●1961年4月1日~86年3月31日
・厚生年金、共済組合等の加入者の配偶者で、国民年金に任意加入しなかった期間
・学生(夜間制、通信制、各種学校を除く)で、国民年金に任意加入しなかった期間
・海外に住んでいた期間
・国民年金に任意加入したが、保険料未納となっている期間
●1986年4月1日以降
・海外に住んでいた期間のうち、国民年金に任意加入しなかった期間
・91年3月までの学生(夜間制、通信制を除く。年金法で規定された各種学校を含む)で、国民年金に任意加入しなかった期間
・国民年金に任意加入したが、保険料未納となっている期間
(※これらはいずれも20歳以上60歳未満の期間に限る)


高齢任意加入の方法も
【事例2】
68歳の女性。短大卒で20歳から働き、25歳で結婚するまで厚生年金に5年間加入。夫は2年間ホテル勤務をして厚生年金に加入したが、その後、独立してレストランを経営。それ以降は2人とも国民年金に加入した。29歳で離婚した後は、国民年金などに加入せず、今は老齢年金を受けていない。これから受給できる方法はあるか。

現在、年金の資格条件は10年に短縮されました。ご自分で加入した期間のほかにも、カラ期間が使えます。
夫が厚生年金に加入し、妻が專業主婦などの場合は、夫の厚生年金期間を「カラ期間」として借りてくることができます。相談者の場合、結婚していたときは夫の厚生年金期間があるので、2年間はカラ期間として使えると思います。
でも、カラ期間は実際に保険料を納めているわけではないので、年金額には反映しません。
相談者の場合、自分で国民年金に加入した2年分を足すと、合計して9年ですが、10年にはまだ足りません。
年金受給権のない65歳以上70歳未満の人は、「国民年金の高齢任意加入」ができます。(別項2)
相談者はこの制度を利用して、1年間保険料を納めることができるので、早めに手続きを進めてください。
10年に満たない期間をかけ終わり、10年を満たした月の翌月分から老齢年金が受給開始となります。
「面倒だから1年分をまとめて支払ったら、早めに受給できるか」という質問もありますが、それはできません。加入した1年を経過した日にならなければ、受給開始にはなりません。

【別項2】 高齢任意加入
1965年4月1日以前に生まれた人で、65歳までに資格期間(10年以上)を満たせず、老齢年金を受給できない場合、資格期間を満たすまで(最長70歳まで)、国民年金に特例で任意加入できる制度。・申し出をした月からの加入になり、さかのぼっての加入はできない。
・保険料の納付は原則、口座振替で。
・申し込み方法年金手帳、本人確認書類、預貯金通帳、金融機関の届出印などを持参し、市区町村役場の国民年金課で手続きを。(必要書類は事前に窓口で問い合わせてください)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年5月6日付掲載


公的年金を受けられない65歳以上の無年金者は、全国で約55万人を超えます(2020年度後期高齢者医療制度被保険者実態調査)。老後の支えとなる年金を受給するため、今からできる対策はあるでしょうか。
年金の受給条件は、以前は25年以上の資格期間(厚生年金・国民年金などの保険料納付期間または免除期間)が必要でした。2017年8月に法律改正があり、10年以上の資格期間があれば受給できることに。
それでも、10年に満たなくって年金を受給できない人がいる。
それを解決する手立てが「カラ期間」の活用と国民年金の「高齢任意加入」だ。

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