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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

岸田経済対策の問題点 労働市場「改革」

2023-11-14 07:13:51 | 働く権利・賃金・雇用問題について
岸田経済対策の問題点 労働市場「改革」
岸田文雄首相が発表した総合経済対策は労働分野について、改めて「構造的賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進」を掲げました。2000年代に急速に進んだ非正規雇用拡大で起きているさまざまな問題に手を打たないまま、雇用の維持・確保をますます個々の労働者の自己責任にしようとしています。

産業構造の変化に
「三位一体」の第一の柱は労働者の学び直しを意味するリスキリングです。
政府は5月に決定した「三位一体の労働市場改革の指針」で、日本の労働者は「十分な自己啓発を行わない状況が継続してきた」と主張。デジタル技術の進歩などで産業構造が短期間で変化するようになったので、労働者は変化に対応し絶えず知識や技能の獲得に務めなければならなくなったといいます。
指針はまた、今後重要になるのは、実際の仕事を通じた従来型の学びではなく、社外の民間教育会社などの教育プログラムを受講し高い賃金が獲得できる分野の技能を獲得することだと指摘。高賃金が期待できる分野の学習プログラム受講の補助率・補助額の引き上げや、学習履歴を蓄積しデジタル認証化する方向です。
蓄積される学習履歴は「三位一体」の第二の柱である、「企業ごとの職務給(ジョブ型人事)の導入」につながります。企業は社内外の労働者の学習履歴を使い「最適な人材配置」を実現。そのもとで、年功序列型の給与体系を職務に応じた給与へ転換するといいます。




非正規保護なし
第三の柱「成長分野への労働移動の円滑化」では、ハローワークが保有する「求人・求職情報」を匿名化し民間企業へ提供することが検討されています。
労働者が雇用を確保し続けるには、成長産業の移り変わりや企業の戦略に応じて次々と職場を変え、新たに必要となる知識や技能を習得することが必要になります。給与は年齢や勤続年数ではなく職務で決まるようになり、労働者はより高賃金な職務を社内だけでなく社外の労働者とも競い合うことになります。際限のない椅子取りゲームへの強制参加です。
転職が人生設計に組み込まれた労働者の学び直しに企業が就業時間や資金を充てるとは考えられず、新たな技能獲得のための時間と費用は労働者の持ち出しになる恐れがあります。民間教育会社の活用やハローワークの情報提供は、キャリアコンサルタント業などを兼ねる人材派遣会社の市場拡大につながります。
政府は一方で、ヤマト運輸によるパート労働者、個人事業主の大量雇い止め撤回へ手立てを打つよう国会で求められても「詳細を承知していない」と繰り返すばかり(1日の山添拓参院議員への岸田首相の答弁)。非正規雇用を拡大してきた政治の責任を認めず、非正規労働者の保護にも無関心です。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年11月11日付掲載


2000年代に急速に進んだ非正規雇用拡大で起きているさまざまな問題に手を打たないまま、雇用の維持・確保をますます個々の労働者の自己責任に。
「三位一体」の第一の柱は労働者の学び直しを意味するリスキリング。
蓄積される学習履歴は「三位一体」の第二の柱である、「企業ごとの職務給(ジョブ型人事)の導入」に。
第三の柱「成長分野への労働移動の円滑化」では、ハローワークが保有する「求人・求職情報」を匿名化し民間企業へ提供することが検討。
労働者はより高賃金な職務を社内だけでなく社外の労働者とも競い合うことに。際限のない椅子取りゲームへの強制参加。

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