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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

汚染水海洋放出 何が問題か 高橋千鶴子衆院議員に聞く

2021-04-19 07:12:08 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
汚染水海洋放出 何が問題か 高橋千鶴子衆院議員に聞く
政府が漁業関係者をはじめ地元の強い反対の声を無視して、東京電力福島第1原発で増え続ける放射能汚染水を処理した後の高濃度のトリチウム(3重水素)を含む汚染水の海洋放出方針を決定しました。日本共産党国会議員団福島チーム責任者の高橋千鶴子衆院議員に何が問題なのか、聞きました。(聞き手・三木利博 写真・佐藤研二)


高橋千鶴子衆院議員

「薄めて流せ」言うが…
500倍の希釈でも500倍流せば同じ

―「薄めて海に流せばいい」という政府に対し、海洋放出を決定する前日の国会で、放出反対の立場から菅義偉首相らに質問し、「海洋放出しても40年かかる。それだけの時間があれば、(放射性物質が半分に減る半減期が約12年の)トリチウムはもっと減衰し、新たな道も決まる」と指摘しましたね。
高橋 政府の中長期ロードマップで「復興と廃炉の両立」を大原則に、汚染水対策は廃炉と一体としています。そして福島第1原発の廃止措置は終了まで30~40年としています。仮に海洋放出したら何年かかるのか。海洋放出は仕方ないとか、海洋放出すれば目の前からタンクがたった数年でなくなると考える人も多い。でも40年、タンクはなくならないのです。
放出量では、福島第1原発の事故前のトリチウムの年間放出管理基準が22兆ベクレルです。今たまっている総量が860兆ベクレルなので、単純計算で約40年分です。東電の文挟(ふばさみ)誠一副社長に、現在のタンクがなくなるのに何年かかるかとただすと、福島第1原発の廃止措置に要する30~40年を使うと答弁しました。私は、そのくらい時間がかかるのだったら、急いで放出する必要はないと指摘しました。
しかも、放出するトリチウム濃度を1リットル当たり1500ベクレルの水準に下げるというのが政府の方針です。この値は、原子炉建屋への汚染水の流入量の増大を抑えるとして設置された建屋周辺の井戸(サブドレン)からくみ上げた地下水の放出を認めた時(2015年)の政治決着で決められたものです。仮に容量約1千トンのタンク1基分の処理後の水を薄めるのに500基分の海水が必要なのです。
実際、タンクを使うわけではないでしょうが、1基分だけで、今、敷地を埋めるタンク約1000基の半分に当たる量の海水を使う計画です。500倍に薄めても500倍の量を放出したら同じことじゃないかと質問すると、梶山弘志経済産業相は反論できませんでした。



敷地内の汚染水タンク群。奥に並んでいるのは(左から)炉心溶融を起こした1~3号機原子炉建屋=2月5日、福島第1原発(本紙チャーター機から)

「タンクが満杯になる」
燃料デブリ800トン 具体策これから

―政府・東電はタンクの設置場所が足りない、22年秋ごろにはタンクが満杯になるから、放出はやむを得ないといっています。
高橋 タンクの置き場が満杯になるからと、そこだけが強調されていますが、資源エネルギー庁や東電は国会で、炉心溶融で溶け落ちた燃料デブリなどの一時保管施設や廃棄物の保管施設を建設するためのスペースが必要だというのです。そのためのスペースを空けることが大きな理由です。でも、総量800トン程度といわれる燃料デブリは極めて高線量で、取り出しができるのかわかっていません。いったい取り出した後の置き場所などつくれるのかと東電に聞くと、「具体的な検討はこれから」ということです。
結局、これまでの政府・東電の議論は「放出ありき」で説得しようとして、漁業関係者をはじめ国民の納得を得られなかったということではないでしょうか。トリチウムは国内外の原発からも放出されていると強調していますが、そもそもトリチウムの総量規制がなく、原発ごとに基準が違うことや、「京」単位のトリチウムを放出する再処理工場には基準さえないことを指摘してきました。
事故を起こした原子炉を通った汚染水にはトリチウム以外に62種の放射性物質があり、トリチウムの濃度や組成はタンクによって均一ではなく、通常の原発のものとは同一ではありません。現在タンク約1000基の7割に未処理のまま残っているトリチウム以外の放射性物質は2次処理して基準を下回るようにするといっています。以上のことから海洋に放出するのは「汚染水」ではないと政府は言い逃れしていますが、最後まで監視する必要があるのは言うまでもありません。

流さぬ立場で知見集めて
―問題の解決にはどうすればいいですか。
高橋 何より海に流さない立場に立って、科学的知見を集めて対応することで、新たな道も決まると思います。40年の間にタンクも建て替えなくてはいけないこともあるでしょう。その際に大型のタンクにするとか。トリチウムの分離技術の開発なども時間をかけられます。

―国会では漁民の声を代弁していました。
高橋 2月に宮城県に近い新地町沖でクロソイという魚から国基準の5倍のセシウムが見つかり、驚きました。事故から10年にもなるのに。福島県の漁師は原因を突き止めてほしいと言っています。被害の実態が正確に知られていないことがあるのではないでしょうか。
菅義偉首相は、福島の復興なくして日本の復興なしといいます。私は国会で、漁師をしたいという息子のいる漁師の言葉を伝え、「若い人たちが引き継いでいけなければ、復興なんてありえない。若い人に漁師を続けてもよいと言えますか」と求めたのに、首相から答えは最後までありませんでした。船を出してこそ漁師です。賠償では後継ぎはできません。政治の転換を強く思います。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月16日付掲載


東電の本音は、汚染水を貯めるタンクが一杯になることよりも、とりだしたデブリの置き場所の確保を考えているとのこと。
何より海に流さない立場に立って、科学的知見を集めて対応することで、新たな道も決まる。40年の間にタンクも建て替えなくてはいけないこともあるでしょう。その際に大型のタンクにするとか。トリチウムの分離技術の開発なども時間をかけらる。

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勝川准教授のトリチウムの話 2 (パンドラ)
2021-05-13 13:26:19
自然発生したトリチウムが、海水1リットルに約1ベクレル含まれています。これは、海水1リットルの中で、毎秒1つのトリチウムがベータ線を出して、安定な3Heに変化していることを意味します。ちなみに人体には、数十ベクレルのトリチウムが含まれています。今この瞬間も、体の中で、毎秒数十のトリチウム水が、ベータ線を出しているのです。あまり知られていないだけで、実はトリチウムは身近な存在なのです。
人為的につくられるトリチウムについて
地球温暖化のように、人間活動は地球規模で環境に影響を及ぼしています。1960年代には、核実験が盛んに行われました。核実験によって大量のトリチウムが発生し、地球上のトリチウム濃度が増加しました。下のグラフは、東京と千葉に降る雨にふくまれていたトリチウムの含量を示したものですが、核実験が盛んだった1960年代にはトリチウムが100ベクレル/Lにも達した年もありました。その後は核実験が禁止されたことから、徐々に減少し、現在は自然発生する量とほぼ近い水準まで下がっています。1960年代にもトリチウムによる害は観察されていませんので、現在のレベルのトリチウムが、環境や人間に深刻な影響を及ぼすとは考えられません。
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