2025年度予算 概算要求の焦点⑦ 社会保障 少子化財源口実に歳出減
厚生労働省の2025年度概算要求は、24年度当初予算比4574億円増額し、34兆2763億円となりました。
政府は、26年度から「少子化対策」の財源として子ども・子育て支援金を保険料に上乗せして徴収する一方、保険料の「負担感」の抑制を口実に社会保障費を削減する方針です。このため、昨年12月に決まった「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」に沿った歳出削減をすすめています。
自公政権が年金改定で物価上昇を下回る実質減額を続け、第2次安倍政権以降の12年間に公的年金は実質で7・8%削減。“目減り”した年金額は30兆円を超えています。今年、5年に1度の公的年金の「財政検証」でも給付水準を抑える「マクロ経済スライド」の導入を前提としています。
「いのちまもる総行動」で「医療・介護・福祉従事者の大幅賃上げと人員増を」「保険証廃止の撤回」などを訴える各界からの発言に拍手を送る参加者目=9月26日、東京都千代田区
介護など負担増
高齢化などで増える社会保障費の伸び(自然増)を自公政権は13年度から計約2兆5千億円も削減してきました。
25年度は4100億円の「自然増」を見込んでいますが、医療・介護中心に国民負担増・給付減をすすめようとしています。
75歳以上の後期高齢者医療では22年に窓口2割負担を導入。政府が今年9月に決定した「高齢社会対策大綱」では、窓口負担が3割となっている「現役並み所得者」の範囲を拡大し、さらなる医療費の負担増を高齢者に負わせる方針を打ち出しています。改革工程は引き続き給付のあり方、給付と負担のバランスを含めた「不断の見直し」を求めています。
政府は24年度の報酬改定で訪問介護の基本報酬の引き下げを強行し、その結果、今年1~8月の介護事業所の倒産は前年同時期の1・44倍に激増しています。概算要求では、経験がない介護職員の研修や事業者の経営改善に向けた取り組みなどを支援する予算を計上していますが、人材不足の抜本的な解決にはほど遠い内容です。
医療提供縮減も
公立・公的病院の統廃合、病床削減をすすめる地域医療構想は25年度が最終年度。厚労省は新たな地域医療構想を都道府県に策定させ、医療提供体制をいっそう縮減することを狙っています。
「地域医療提供体制データ分析チーム構築支援事業」には2・4億円を計上。地域医療構想の策定に向けて都道府県が自立的に分析・企画・立案できる体制の整備につなげるなどとしています。「入院・外来機能の分化・連携推進等に向けたデータ収集・分析事業」には4・4億円計上。データを活用し、新たな地域医療構想を策定させる支援ツールを作成します。
「医療・介護分野におけるDXの推進等」には358億円を計上し、トラブル続出で国民の信頼を失った「マイナ保険証」の利活用を盛り込んでいます。国は「医療・介護DX」で、自治体や医療機関、薬局などがバラバラに持っていた情報を共有する「全国医療情報プラットフォーム」を構築。国民の医療や健康などの機微な情報が、民間企業のサービス利用の前提とされ、自治体のみならず医療機関や研究者に二次利用されることになります。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月4日付掲載
高齢化などで増える社会保障費の伸び(自然増)を自公政権は13年度から計約2兆5千億円も削減。
25年度は4100億円の「自然増」を見込んでいますが、医療・介護中心に国民負担増・給付減をすすめようとしています。
政府は24年度の報酬改定で訪問介護の基本報酬の引き下げを強行し、その結果、今年1~8月の介護事業所の倒産は前年同時期の1・44倍に激増。概算要求では、経験がない介護職員の研修や事業者の経営改善に向けた取り組みなどを支援する予算を計上していますが、人材不足の抜本的な解決にはほど遠い内容。
厚生労働省の2025年度概算要求は、24年度当初予算比4574億円増額し、34兆2763億円となりました。
政府は、26年度から「少子化対策」の財源として子ども・子育て支援金を保険料に上乗せして徴収する一方、保険料の「負担感」の抑制を口実に社会保障費を削減する方針です。このため、昨年12月に決まった「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」に沿った歳出削減をすすめています。
自公政権が年金改定で物価上昇を下回る実質減額を続け、第2次安倍政権以降の12年間に公的年金は実質で7・8%削減。“目減り”した年金額は30兆円を超えています。今年、5年に1度の公的年金の「財政検証」でも給付水準を抑える「マクロ経済スライド」の導入を前提としています。
「いのちまもる総行動」で「医療・介護・福祉従事者の大幅賃上げと人員増を」「保険証廃止の撤回」などを訴える各界からの発言に拍手を送る参加者目=9月26日、東京都千代田区
介護など負担増
高齢化などで増える社会保障費の伸び(自然増)を自公政権は13年度から計約2兆5千億円も削減してきました。
25年度は4100億円の「自然増」を見込んでいますが、医療・介護中心に国民負担増・給付減をすすめようとしています。
75歳以上の後期高齢者医療では22年に窓口2割負担を導入。政府が今年9月に決定した「高齢社会対策大綱」では、窓口負担が3割となっている「現役並み所得者」の範囲を拡大し、さらなる医療費の負担増を高齢者に負わせる方針を打ち出しています。改革工程は引き続き給付のあり方、給付と負担のバランスを含めた「不断の見直し」を求めています。
政府は24年度の報酬改定で訪問介護の基本報酬の引き下げを強行し、その結果、今年1~8月の介護事業所の倒産は前年同時期の1・44倍に激増しています。概算要求では、経験がない介護職員の研修や事業者の経営改善に向けた取り組みなどを支援する予算を計上していますが、人材不足の抜本的な解決にはほど遠い内容です。
医療提供縮減も
公立・公的病院の統廃合、病床削減をすすめる地域医療構想は25年度が最終年度。厚労省は新たな地域医療構想を都道府県に策定させ、医療提供体制をいっそう縮減することを狙っています。
「地域医療提供体制データ分析チーム構築支援事業」には2・4億円を計上。地域医療構想の策定に向けて都道府県が自立的に分析・企画・立案できる体制の整備につなげるなどとしています。「入院・外来機能の分化・連携推進等に向けたデータ収集・分析事業」には4・4億円計上。データを活用し、新たな地域医療構想を策定させる支援ツールを作成します。
「医療・介護分野におけるDXの推進等」には358億円を計上し、トラブル続出で国民の信頼を失った「マイナ保険証」の利活用を盛り込んでいます。国は「医療・介護DX」で、自治体や医療機関、薬局などがバラバラに持っていた情報を共有する「全国医療情報プラットフォーム」を構築。国民の医療や健康などの機微な情報が、民間企業のサービス利用の前提とされ、自治体のみならず医療機関や研究者に二次利用されることになります。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月4日付掲載
高齢化などで増える社会保障費の伸び(自然増)を自公政権は13年度から計約2兆5千億円も削減。
25年度は4100億円の「自然増」を見込んでいますが、医療・介護中心に国民負担増・給付減をすすめようとしています。
政府は24年度の報酬改定で訪問介護の基本報酬の引き下げを強行し、その結果、今年1~8月の介護事業所の倒産は前年同時期の1・44倍に激増。概算要求では、経験がない介護職員の研修や事業者の経営改善に向けた取り組みなどを支援する予算を計上していますが、人材不足の抜本的な解決にはほど遠い内容。
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