安倍「働き方改革」 虚像と実像③ 労働時間 「残業代ゼロ制度」の矛盾
政府の「働き方改革」で最も重視している政策の一つが労働時間の問題です。
日本の労働時間は、正社員だけでみると年平均2231時間(総務省「労働力調査」2015年)。世界的にみても異常な長時間です(グラフ)。この是正が早急に求められています。
政府は、6月2日に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」で、労使協定によって労働時間を際限なく延長できる三六(さぶろく)協定の時間外労働規制のあり方について「再検討を開始する」としました。首相自ら議長を務める「働き方改革実現会議」で長時間労働の是正などについて計画をまとめると表明。臨時国会の所信表明演説では「法案を提出する」と強調しました

過労死“促進”
安倍晋三政権が長時間労働の是正をいいだしたのは、「ブラック企業」が社会問題化し、改善を求める国民の世論と運動に迫られたものです。しかし、その具体策は明確には決まっていません。
一方で、先の国会で継続審議となり、安倍政権が具体的に成立を狙う労働基準法改悪案は、長時間労働の是正とはまったく矛盾する内容です。
とくに、管理職の一歩手前の「高度専門職」(年収1075万円以上)について、労働時間規制の適用を除外する「高度プロフェッショナル制度」の創設は、法律の歯止めを外し、無制限の働き方を可能にするものです。
「高度専門職」について、労基法の労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金などの規定を適用しません。つまり、労働者が何時間働いても、残業代も深夜・休日割増賃金も出さなくていいという仕組みです。
実際、東芝過労うつ裁判で労働者の残業時間は認定されただけでも、最長月84時間、60時間以上の残業が5カ月にわたって行われていました。いまでも過労死基準とされる月80時間を超える残業が横行し、労働者を追いつめている実態があります。
安倍政権が成立を狙う労基法改悪案は、この実態から目をそらし、労働時間規制の縛りをなくすもので、過労死を"促進"する内容でしかありません。是正というなら、改悪案を撤回すべきです。

職場に向かう労働者=東京都千代田区
上限法定化を
長時間労働をなくすために必要なことは、残業時間の上限を法律で設定することです。
日本共産党は▽「残業は月45時間・年360時間以内」とした大臣告示の法定化▽残業時間を延長できる三六協定「特別条項」の廃止▽「サービス残業」の根絶めざし、悪質企業の企業名公表と不払い残業代を2倍にして労働者に支払わせる▽終業から始業まで連続して一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」の導入―などを掲げています。
民進党、日本共産党、生活の党(現・自由党)、社民党の4野党は今年4月、残業時間の法規制などを盛り込んだ労基法改正案を共同提出しています。
労働時間規制というなら、こういう措置を労働者は求めています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年10月20日付掲載
「高度専門職」とか「高度プロフェッショナル制度」などの言葉に騙されてはいけません。
「高度」の名前がついていても労働に裁量があるわけじゃないし、しんどい時には休めるわけでもない。
まさに過労死促進法です。
政府の「働き方改革」で最も重視している政策の一つが労働時間の問題です。
日本の労働時間は、正社員だけでみると年平均2231時間(総務省「労働力調査」2015年)。世界的にみても異常な長時間です(グラフ)。この是正が早急に求められています。
政府は、6月2日に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」で、労使協定によって労働時間を際限なく延長できる三六(さぶろく)協定の時間外労働規制のあり方について「再検討を開始する」としました。首相自ら議長を務める「働き方改革実現会議」で長時間労働の是正などについて計画をまとめると表明。臨時国会の所信表明演説では「法案を提出する」と強調しました

過労死“促進”
安倍晋三政権が長時間労働の是正をいいだしたのは、「ブラック企業」が社会問題化し、改善を求める国民の世論と運動に迫られたものです。しかし、その具体策は明確には決まっていません。
一方で、先の国会で継続審議となり、安倍政権が具体的に成立を狙う労働基準法改悪案は、長時間労働の是正とはまったく矛盾する内容です。
とくに、管理職の一歩手前の「高度専門職」(年収1075万円以上)について、労働時間規制の適用を除外する「高度プロフェッショナル制度」の創設は、法律の歯止めを外し、無制限の働き方を可能にするものです。
「高度専門職」について、労基法の労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金などの規定を適用しません。つまり、労働者が何時間働いても、残業代も深夜・休日割増賃金も出さなくていいという仕組みです。
実際、東芝過労うつ裁判で労働者の残業時間は認定されただけでも、最長月84時間、60時間以上の残業が5カ月にわたって行われていました。いまでも過労死基準とされる月80時間を超える残業が横行し、労働者を追いつめている実態があります。
安倍政権が成立を狙う労基法改悪案は、この実態から目をそらし、労働時間規制の縛りをなくすもので、過労死を"促進"する内容でしかありません。是正というなら、改悪案を撤回すべきです。

職場に向かう労働者=東京都千代田区
上限法定化を
長時間労働をなくすために必要なことは、残業時間の上限を法律で設定することです。
日本共産党は▽「残業は月45時間・年360時間以内」とした大臣告示の法定化▽残業時間を延長できる三六協定「特別条項」の廃止▽「サービス残業」の根絶めざし、悪質企業の企業名公表と不払い残業代を2倍にして労働者に支払わせる▽終業から始業まで連続して一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」の導入―などを掲げています。
民進党、日本共産党、生活の党(現・自由党)、社民党の4野党は今年4月、残業時間の法規制などを盛り込んだ労基法改正案を共同提出しています。
労働時間規制というなら、こういう措置を労働者は求めています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年10月20日付掲載
「高度専門職」とか「高度プロフェッショナル制度」などの言葉に騙されてはいけません。
「高度」の名前がついていても労働に裁量があるわけじゃないし、しんどい時には休めるわけでもない。
まさに過労死促進法です。
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