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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

参政党の憲法案を𠮟る 天皇主権国家めざす暴論

2025-07-14 07:08:30 | 参議院選挙(2025年)
参政党の憲法案を𠮟る 天皇主権国家めざす暴論
慶応大学名誉教授 小林節さん

参政党の「新日本憲法(構想案)」について、憲法学者の小林節慶応大学名誉教授に聞きました。(乾 友行)




公表された参政党の「新日本憲法(構想案)」には驚かされました。「時代錯誤」としか評価しようがないものです。
冒頭で日本は天皇主権国家であると宣言しています。
前文で「天皇は、いにしえより(昔から)国をしらす(「統治なさる」の尊敬表現)こと悠久」とし、「これが今も続く日本の國體(こくたい:主権の存在により区別される国家の形態)である」と明記しています。
3条では、内閣の責任において、三権の長の任命、憲法、法律、条約の公布等を天皇が裁可するとされ、4条では、(国民ではなくて) 国が主権を有し、元号は天皇が定め、国歌は君が代であると規定、22条では「統治は、國體を尊重し」と明記するなど、天皇主権国家の姿を明らかにしています。
要するに内閣が主体となって管理する立憲君主制で、明治憲法と同じです。
明治憲法下では、形式上は全権を支配下においた天皇の絶対的権威をかさに着た重臣・高官たちにたいして国民大衆には拒否権が与えられませんでした。
その結果、大日本帝国の暴走を許し、悲惨な敗戦をもたらしました。その歴史的教訓に学んで、現行憲法は、国民主権、平和主義、人権尊重の三大原則を採用し、そのもとで日本は自由民主主義国家として奇跡的な復興をとげました。
参政党の憲法案は、この歴史の教訓に逆行するもので、憲法の人権尊重規定なども消し去っています。
現憲法が97条、99条で強調している「人権尊重擁護義務」もなくなっています。また「家族は思いやりの心をもって互いに助け合う」といった道徳律までが持ち込まれており、夫婦別姓の議論を明文で禁じ(7条)、そもそも現憲法13条の「個人の尊重」という前提が消し去られています。
さらに大問題は、“臣民は命をかけて皇室を守れ”と国民を戦争に動員する道具となった教育勅語の尊重を明記していることです(9条4項)。日本国憲法に反するとして国会議決により正式に廃止された教育勅語を復活させようとは、まさに論外です。
まともな検討の対象にもならない憲法案ですが、参政党がブームのように取り上げられています。巨視的にみれば、一時的現象で、やがて冷めるとみています。
とはいえ、一定の議席を得てしまうと自公の補完勢力になり、参院選後の政治状況によっては国民民主、維新と連携して改憲発議への動きを誘発するかもしれません。その意味では軽視できません。
今回の参院選は大変重要です。自公を少数にするだけでなく、そのあとの政治の激動を考えなければなりません。このとき、戦前から主権在民を主張し、野党共闘をすすめる日本共産党が、1議席でも2議席でも増やすことの意味は大変、重く大きいのです。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2025年7月13日付掲載


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