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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

独占パワー⑤ 民主主義パワー強く

2024-07-17 07:18:01 | 経済・産業・中小企業対策など
独占パワー⑤ 民主主義パワー強く

政治経済研究所 合田寛主任研究員

経済のグローバル化と新自由主義の下で巨大企業はその規模をますます大きくし、影響する範囲をますます広げてきました。
とくにマイクロソフト、アップルに加え、半導体ブームで株価を急上昇させたエヌビディアの時価総額はそれぞれ約3兆ドル(約480兆円)規模に達し、フランスの国内総生産(GDP)2・9兆ドルより大きくなっています。これら3企業にアマゾンとメタを加えた世界五大企業の時価総額は、アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海諸国のGDP合計額を上回ります。
企業は国家の規模を超える大きさにまで膨らんでいるのです。今日のグローバル資本主義は歴史上かつてない巨大独占の時代を迎えていると言っても言い過ぎではありません。

富の集中の危険
巨大独占企業は、国内では消費者利益を損ない、労働者を抑圧するとともに、公共部門の民営化を推進します。他方、国外ではグローバルなサプライチェーン(供給網)を形成して途上国・新興国の自然と労働者を支配し、搾取します。そうして得た膨大な利益を最高経営責任者(CEO)や主要株主に分配しています。あくなき開発は気候変動の危機をつくり出しています。極端な格差の拡大は社会の分断と憎悪を生み出し、紛争と戦争を招く原因となっています。
巨大企業は潤沢な資金で政治献金を行い、ロビー活動を強め、国家の政策に影響を与えます。有力シンクタンク、メディア、出版物のスポンサーとなり、社会全体に広く影響力を及ぼしています。
富と権力の集中は、いまや民主的なコントロールが及ばないほどに大きくなっています。
富の極端な集中によって衰えつつある中産階級は、不満を解消するために、ますます急進的な解決策を支持するようになっています。排外的な右翼勢力の急伸はその一方の表れであり、経済の独裁が政治の独裁を生み出す危険をはらんでいます。



アップルの反トラスト法(独占禁止法)違反に関して記者会見で発言する欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員=2021年4月30日(ロイター)

幅広い力を結集
他方で、いまの社会に失望した多くの若者たちが、社会の仕組みを根本から変えたいという要求を表明するようになっています。
独占パワーを抑制し、経済民主主義をはかるためには、第一に、反独占政策を強め、公正な取引や健全な市場競争を実現しなければなりません。
第二に、巨大企業や富裕者に対する課税を強化し、財政の役割を強め、極端な不平等をなくすことです。
第三に、政府や労働者の代表が大企業の経営やガバナンス(統治)に関与し、独占パワーの弊害を取り除くことです。そのためには労働者代表の経営参加や巨大企業株式の公共的所有など、資本主義をのり越える、新しい社会主義への挑戦が課題となります。
グローバルに展開する巨大企業の独占パワーとたたかうためには、グローバルな人々の連帯と協力が欠かせません。労働者のパワー、市民社会のパワーを幅広く結集し、民主主義のパワーを強めれば、独占パワーを追い詰め、圧倒することは不可能ではありません。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年7月14日付掲載


巨大独占企業は、国内では消費者利益を損ない、労働者を抑圧するとともに、公共部門の民営化を推進します。他方、国外ではグローバルなサプライチェーン(供給網)を形成して途上国・新興国の自然と労働者を支配し、搾取します。そうして得た膨大な利益を最高経営責任者(CEO)や主要株主に分配。
富と権力の集中は、いまや民主的なコントロールが及ばないほどに大きく。
独占パワーを抑制し、経済民主主義をはかるためには、第一に、反独占政策を強め、公正な取引や健全な市場競争の実現を。
第二に、巨大企業や富裕者に対する課税を強化し、財政の役割を強め、極端な不平等をなくすこと。
第三に、政府や労働者の代表が大企業の経営やガバナンス(統治)に関与し、独占パワーの弊害を取り除くこと。
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