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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

コロナ禍と資本主義 見えざる鎖⑤ 労組結成阻む脅しと暴力

2021-07-29 07:13:44 | 新型コロナウイルス
コロナ禍と資本主義 見えざる鎖⑤ 労組結成阻む脅しと暴力
ラナ・プラザビル崩壊事故は世界に衝撃を与えました。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチのブラッド・アダムズ・アジア局長は、「工場での労働者の死の長い記録を考えると、この悲劇は悲しいことに予測可能でした」と強調しました。

命救う問題
「ラナ・プラザ工場の一つ以上で労働組合が組織されていれば、工場が崩壊した日、労働者は建物に入ることを拒否することができたはずです」と、アダムズ局長は強調します。「この悲劇は、バングラデシュで労働組合を組織する権利は、公正な賃金を得ることだけではなく、命を救うことの問題であることを示しています」
ヒューマン・ライツ・ウオッチは、バングラデシュの工場から衣服やその他の製品を購入するグローバル企業はサプライチェーン全体で労働者の安全を維持する責任があると強調します。崩壊した建物の中から欧米の大手アパレル企業のタグが発見され、その責任を問う声が高まりました。多国籍企業によるサプライチェーンの問題点を赤裸々に示すものだったのです。
バングラデシュ衣料品産業労働者組合連合(NGWF)のアミルル・バク・アミンさんは本紙のオンライン取材に、事故を経ても労働環境はわずかしか改善していないと語ります。
「安全性に関しては、NGWFなどの交渉によって、バングラデシュから衣料品を調達する約200の多国籍ブランド企業が、国際的な労働組合や地元の労働組合とアコードと呼ばれる安全協定に合意しました。労働環境がほんの少し改善したと思います」
事故から1カ月後の2013年5月、「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(アコード)」ができ、建物・火災対策・電気系統の3分野で安全性の点検が義務付けられました。
賃金もわずかに上がったものの、「労働者とその家族が生き延びるには不十分です」。
労働組合に関しては、政府が国際労働機関(ILO)条約第87号(結社の自由及び団結権保護条約)と、第98号(団結権及び団体交渉権条約)を批准しました。ところが、そこに待っていたのは、活動家への暴力と脅しの数々でした。
国際労働者の権利フォーラムが2015年に発表した報告書「私たちの声、私たちの安全」には労働者の証言が掲載されています。
報告書は、「労働者にとって、私たちがインタビューした圧倒的な話の筋は、依然として暴力、脅迫、排除であり、夢が『呪い』になり、進歩が『悪夢』に変わる物語だ」と指摘します。



ラナ・プラザ事故から8年の式典で演説するNGWF代表のアミンさん(中央)=4月24日、ダッカ(NGWF提供)

幸福望んで
組合活動家は言います。
「ある工場では、労働組合の登録手順をほぼ完了していたとき、一部の組合指導者が凶悪犯に連れ去られ、脅されました」。他の工場でも、労働者たちは脅されました。「おまえらを9メートルも12メートルもの深い穴へ投げ込むぞ。遺体は二度と見つからんぞ」「彼らは金を握らされ、工場を去り、組合を去ることにしました」
工場外で脅された組合活動家は言います。
「彼らは私を工場の外で脅しました。そのうちの1人は、鋭い武器で私に一発食らわせば、金がもらえるんだ、と」
別の労働者は言います。「ある工場では、経営者が武器を持ったギャングを雇いました。ある日、工場で激しい衝突が起こり、一部の労働者が重傷を負い、その組合運動も失敗に終わりました」
「縫製労働者の前進を妨げるものは何か」という問いに対し、24歳の労働者が答えています。「工場所有者から賄賂を渡され、立場を変える政府の人々がいます。警察は時に、私たちを口汚くののしり、時に、私たちを殴りさえします。警察は私たちを脅し、現場の人は私たちを殴り、嫌がらせをします」
それでも、組合づくりを阻止することはできません。
23歳の労働者はいいます。「私は拷問を恐れていません。私は、間違いなくいつか死ぬから。私を威嚇して利益を得ることはできません」「労働者たちが幸福になることを望んでいるので組合を組織しています」。組合活動家は、死をも覚悟しています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年7月20日付掲載


「ラナ・プラザ工場の一つ以上で労働組合が組織されていれば、工場が崩壊した日、労働者は建物に入ることを拒否することができたはずです」
労働者は一人では資本に対して弱いけど、労働組合に加入すれば対等に交渉できる。
だからこそ、労組結成に際して脅しがかけられる。「おまえらを9メートルも12メートルもの深い穴へ投げ込むぞ。遺体は二度と見つからんぞ」と。
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