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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

コロナ禍と資本主義 格差危機⑤ 労働者の証言 誇り高らか

2021-06-08 07:20:38 | 新型コロナウイルス
コロナ禍と資本主義 格差危機⑤ 労働者の証言 誇り高らか
3月17日、米上院予算委員会(サンダース委員長)は「米国における所得と富の格差の危機」をテーマとした公聴会を開催しました。
冒頭サンダース委員長は「パンデミック(感染症の世界的大流行)の中で、何百万人もの人々は、食べていくのに苦労している。一方で、一握りのビリオネアたちは、はるかに豊かになっている」と、アメリカの現状を憂えました。



霧米上院予算委員会で開かれた格差危機についての公聴会=3月17日(米上院予算委ホームページから)

組合員減り
公聴会では、元労働長官のロバート・ライシュ氏が証言しました。米国では、富の集中が進み、わずか0・1%の富裕層の富は、米国の9割の人々の富を集めた規模に達している、というのです。
サンダース 労働組合員の減少は、どのように所得格差の拡大をもたらしたのでしょうか。
ライシュ 過去60年間にわたるアメリカのもっとも劇的な変化は、組合に加盟している民間労働者の減少でした。ほとんどの企業で組合がありません。国政のレベルでは、組合の発言権は、とても小さくなっている。労働者階級の発言権がとても小さくなっているのです。深刻な不均衡をもたらしているのだ。
半世紀前のアメリカでは、労働者の3分の1が組合に加入していました。ところが、今では、民間部門の労働者1億1154万人のうち組合加入者は710万人にすぎず、率は6・4%にまで激減したのです。
ライシュ氏は「米国企業の巨大な力に対抗する力が無くなってしまった」と嘆きました。ライシュ氏は、大企業と金融エリートへの政治力の集中が増大したため、彼らが経済のルールづくりに大きな影響力を発揮できるようになったといいます。
反トラスト法(独占禁止法)の緩和で大企業の巨大な市場支配力が高まりました。さらに、大企業の利益を保障する知的財産権が拡大。金融規制は、腐食し続けました。ヘッジファンドのパートナーに巨大な税の抜け穴をつくり、所得税の最高税率を引き下げました。これらの制度変更によって、巨額の富が富裕層に集中する経済システムが出来上がりました。
同じく公聴会で証言した政策研究所のサラ・アンダーソン氏によると、1980年に米大企業の最高経営責任者の平均報酬は、労働者の平均賃金の42倍。それが今では350倍に膨れ上がりました。

勝利を確信
『フォーブス』が集計した2021年版の世界長者番付によると、米通販大手アマゾンの創業者のジェフ・ベゾス氏が4年連続で首位となりました。資産総額は1770億浦ドル(約19兆4000億円)と、前年から640億ドル増えました。ベゾス氏は、「格差危機」をテーマにした議会の公聴会に、サンダース委員長の要請にもかかわらず欠席しました。
一方、会社の妨害にも屈せずアマゾンでの組合結成へ向けてたたかうジェニファー・ベーツ氏は出席。労働者の誇りを掲げて、「アマゾンの数十億ドルの富をつくりだしたのは私たち、労働者だ」と証言しました。
サンダース なぜ、組合を持つことがそんなに重要なのか。
べーツ 私たちには公平さが必要なんです。軽蔑され、不平等な扱いによって人々は職場を離れていった。私たちは、生活できる賃金、安全な職場が必要。これらの問題を会社と話し合う機会が必要。
公聴会の締めくくりの発言をしたサンダース委員長は、こう述べました。
「われわれの目標は、ごく少数の人びとのためにではなく、すべての人々のために経済が機能する国をつくることだ」
組合結成は、4月9日の投票では否決されました。でも、労働者たちのたたかいは続きます。たたかいを支援してきた「小売り・卸売り・百貨店労働組合(RWDSU)」が発表した声明はいいます。
「私たちは、米国におけるアマゾンの倉庫で最初の組合づくりに向けた歴史的なたたかいに彼らは勝利するだろうことを確信している」(この項おわり)
(金子豊弘が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年6月5日付掲載


アメリカでは労働組合への労働者の組織率が低下。6・4%にまで激減。資本家に対して弱い立場に。
そのなか、米通販大手アマゾンで労働組合の結成。たたかいが始まっています。
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