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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

Q&Aで考える最低法人税率① G7が合意した15%とは

2021-06-26 07:14:11 | 予算・税金・消費税・社会保障など
Q&Aで考える最低法人税率① G7が合意した15%とは
国際的に創出が検討されている法人税の最低税率について、主要7力国(G7)の財務椙・中央銀行総裁会議(4~5日)で、税率を15%以上とすることが合意されました。その内容と意味をQ&Aで考えます。

 法人税の最低税率ってなに?
 経済協力開発機構(OECD)を中心に約140力国・地域が多国籍企業の税逃れ対策を議論しています。その一つが世界共通の最低法人税率の創出です。7月中の最終合意をめざします。
貿易・投資の自由化によって多国籍企業が国境を越えて「最適地」を探し回るようになり、世界各国は企業誘致のために際限なく法人税負担を減らす「底辺への競争」に突入しました。これに歯止めをかけるのが最低法人税率の狙いです。
G7首脳は13日の首脳宣言で「40年にわたる底辺への競争を覆す」と表明しました。
巨大多国籍企業の母国が「底辺への競争」を批判し、最低法人税率の創出へ動いたことは画期的です。背景には市民社会の活発な運動があります。
国際NGOタックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)などが早くから最低法人税率を提唱してきました。TJNのジェームズ・ヘンリー上級顧問ら専門家グループはG7に書簡(11日)を送り、「最低法人税率へのG7の支持を私たちは称賛する」と述べました。ただし「15%ではあまりに低い」とも指摘し、課税強化を求めています。



税逃れで有名なアマゾンの物流センター=埼玉県川越市

 なぜ15%では低いの?
 現在、日本の法人に課される国税と地方税の税率の合計(法人実効税率)は29・74%。世界の法人実効税率(国内総生産=GDPで加重平均)は25%程度です。公正な税制を求める世界の市民社会からは最低税率を25%にするよう求める声が出ていました。
また、米国のバイデン政権は自国企業が海外で得た利益に課す最低税率を10・5%から21%に引き上げる方針を掲げています。
さらに1980年代までさかのぼれば、世界の法人実効税率(GDP加重平均)は46%を超えていました。
これらに照らすと、最低税率が15%では低すぎることは明らかです。引き上げを求める運動が重要です。他方、史上初の最低法人税率の創出にはさまざまな意義もあります。

 もし最低税率が15%と決まったら、各国は法人実効税率を15%未満に下げられなくなるの?
 税率を強制する仕組みではないので15%未満にすることは可能です。
約140力国・地域が交渉中の最低税率は、多国籍企業の子会社が海外で得た利益に15%未満しか課税されない場合、その子会社の利益に対し企業の母国が15%まで課税する仕組み。「多国籍企業グループが最低限の法人税負担をすることを確保するため」(財務省主税局)のルールだと説明されています。
例えばX国のA社の子会社がY国で5%しか課税されない場合、X国が残り10%を上乗せ課税します。ただし課税されるのは年に約,1000億円以上の売上高がある巨大企業グループだけです。
税率を15%未満にしても、多国籍企業の母国に課税されるので、巨大企業誘致の優遇策としては無意味になるということです。
Y国が国際税制改革の交渉に参加しない租税回避地であっても、X国はやはり15%まで課税します。国際交渉に参加しない国が最低税率から逃れられるわけではありません。
多国籍企業が軽課税のY国に親会社を置き、X国の子会社から使用料などを払ってY国に利益を移すこともあります。その場合、移転される利益にX国が課税できるようにします。(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年6月23日付掲載


巨大多国籍企業の母国が「底辺への競争」を批判し、最低法人税率の創出へ動いたことは画期的。
大企業優遇のトランプでさえ、国内企業の課税は21%でした。バイデンは28%に戻すとしています。
そういう点でみれば、15%はまだ低いと思いますね。
コメント
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