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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

経済の「日本化」② コロナ後も回復望めず

2020-08-09 07:32:05 | 経済・産業・中小企業対策など
経済の「日本化」② コロナ後も回復望めず
東京工科大学名誉教授 工藤昌宏さん

昨年末に確認された新型コロナウイルスは、瞬く間に世界中に広がり、7日現在、感染者は1881万人を、死者は70万人を超えています。感染は今なお広がり続け、膨大な数の企業を破綻に追い込み、工場や店舗の閉鎖を余儀なくさせています。失業率も世界各国で軒並み跳ね上がっています。各国政府は、経済政策を総動員して対応していますが、コロナの打撃力の前に力不足の感は否めません。

2期連続減
コロナウイルスによる打撃は、ただちにさまざまな経済指標に表れています。
2020年1~3月期、日本の実質国内総生産(GDP)は前期比でマイナス0・6%となりました。19年10~12月期の消費税増税の打撃によるマイナス1・9%という大幅な落ち込みに次いで、2期連続のマイナスということになります。
しかし、実態はさらに深刻です。19年7~9月期には前期比でプラス0%となっていますが、これは10月の消費税増税前の駆け込み消費分を含んだもので、これを除くとマイナスになり、実質的に3期連続のマイナスということになります。
また、内容も良くありません。1~3月期では、個人消費がマイナス0・8%と昨年10~12月期のマイナス2・9%からさらに落ち込み、住宅投資は将来不安を反映してマイナス4・2%、輸出は世界経済の停滞を反映してマイナス6・0%と落ち込んでいます。
GDP関連以外の数値を見ると、さらに事態の深刻さが浮かび上がってきます。
企業倒産件数(廃業を除く)は、昨年12月ごろから急激に増え始め、毎月前年比で10%超の比率で増え続けており、コロナ関連での倒産も今月3日時点で400社を超えています。失業率も2月2・4%、3月2・5%、4月2・6%、5月2・9%と徐々に上昇し、さらに求職活動を中止した人を含めると実際の失業率は10%超に達すると推測されています。



呉製鉄所の休止などについて記者会見する日本製鉄の宮本勝弘副社長(左)と右田彰雄副社長=2月7日、東京都内

4万人超に
厚労省調査では、今年に入って解雇や雇い止めが非正規労働者を中心に拡大しており、その数は7月末には4万人を超えています。
また、今年に入って企業規模にかかわらず希望退職を募集する企業も増えています。雇用悪化に伴って所得環境も悪化し、実質賃金も3月以降マイナス(前年同月比)を記録し続けています。家計の消費支出も、昨年10月の消費税増税を契機にマイナス(前年同月比)に陥り、特に今年に入ると3月マイナス6・0%、4月マイナス11・1%、5月マイナス16・2%と過去に例を見ない落ち込みを示しています。消費支出の落ち込みは、企業の売り上げ、設備投資、雇用に打撃を与えます。
今年6月、国際通貨基金(IMF)は20年の世界の実質GDP成長率をマイナス4・9%、日本についてはマイナス5・8%と予測しました。また、7月に日本政府は20年度の日本の実質GDP成長率をマイナス4・5%、21年度プラス3・4%との予測を発表しました。
しかし、2度にわたる消費税増税やコロナによって奪われた雇用、所得、消費を取り戻すことは容易ではなく、世界市場の回復見通しも立っていません。つまり、仮にコロナが収束しても政府が期待するような日本経済のV字回復は望めないということです。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年8月8日付掲載


個人消費が、3月マイナス6・0%、4月マイナス11・1%、5月マイナス16・2%と過去に例を見ない落ち込み。それが、企業の売り上げ、設備投資、雇用に打撃を。
仮にコロナが収束しても政府が期待するような日本経済のV字回復は望めない。
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