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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

スポーツ界の今を考える 改革の道のり① 競技団体運営の基準を

2018-11-21 15:31:56 | スポーツ・運動について
スポーツ界の今を考える 改革の道のり① 競技団体運営の基準を
レスリングのパワーハラスメント、日本大学アメリカンフツトボール部の悪質タックル問題など相次ぐ不祥事を受け、スポーツ界はその対応に迫られています。問題の背景、根源に何があるのか。どんな処方箋が求められるか。識者とともに考えます。第1回は日本スポーツ法学会前会長で弁護士の望月浩一郎さんです。(聞き手 和泉民郎)

日本スポーツ法学会前会長 望月浩一郎弁護士
もちつき・こういちろう=1956年、山梨県生まれ。弁護士。日本スポーツ法学会前会長。日本学生野球協会、日本相撲協会などの各種委員を務める。Jリーグ・川崎、我那覇選手のドーピングをめぐる仲裁事件の選手代理人。スポーツ事故訴訟にも関わる。著書に『運動部活動の理論と実践』(共著、大修館書店)など。

―スポーツ界の現状をどう見ていますか。
不祥事には二つの側面があると思います。一つは選手への暴力、パワハラといった指導者のあり方。もう一つはスポーツ団体の運営上の未熟さです。とくに後者は有効な対策が見いだせていないように思います。

―ボクシング連盟の問題はその典型ですね。
ボクシングは山根明前会長による補助金不正流用や「奈良判定」など不正行為や独裁的な体質が間題となりました。こうしたアンフェアな運営は論外ですが、他のスポーツ団体も役員の多くは競技のOBが担っています。競技の専門的な技能、知識はあっても組織運営やマネジメント能力があるとは限りません。
みんなで決めていく経験も乏しい。これらの弱点を克服するには努力を求めるだけでなく、特別な手だてが必要だと感じます。



日本ボクシング連盟の山根明会長(当時)を告発し、記者会見する「日本ボクシングを再興する会」の代表ら=8月8日、東京・霞が関の弁護士会館

国の干渉注意
―国が、スポーツ団体の監督権限強化の法改正を検討しています。

現在、スポーツ議員連盟でも議論されていますが、国がより積極的に関与する方向での議論となっていることには注意が必要です。
私は、国が直接スポーツ団体に干渉することには賛成できません。戦前の文部省による「野球統制令」の問題を考えるべきで、スポーツ団体の自主的な努力を尊重すべきです。ただ、現状でいいわけではありません。競技団体の多くは、中央の事務局ですら数名のスタッフで運営される零細企業です。人もお金もないなかで何ができるかを考える必要があります。

「はずみ車」
―どんなやり方がありますか。

日本スポーツ協会、日本オリンピック委員会が組織運営のあり方、ガバナンスのガイドラインを作成し、構成団体に求める。これをクリアしないといけないという基準をつくることです。
例えば、サッカーのJリーグにはクラブライセンス制度があります。プロのクラブとして最低限必要な条件を示し、認可の有無を決めています。
最初に基準をクリアするのは大変ですが、一度できれば「慣性の法則」でいく部分も大きい。一度にすべてに適用するのが無理ならモデルをつくり、それを「はずみ車」に広げるやり方もあります。

外部の人材も
―ほかにやれることはありますか。

柔道は代表監督の女子代表選手にたいするパワハラ問題をきっかけに連盟の組織改革に進みました。柔道経験がある企業の役員を会長に据えて。
テコンドーやフェンシングは法律家がその運営にかかわっています。外部から人材を招き改革することも一つの方法です。

―組織改革は、暴力、パワハラ指導の解決にもつながりますか。
フェアプレーを運営に貫くことは、スポーツ団体の大事な要件です。それがフェアなスポーツ活動につながります。とくに暴力、パワハラ指導をただすには、精神論でなく科学的な指導者の養成が決定的です。
日本高等学校野球連盟は指導者が学ぶ場として毎年「甲子園塾」を開催し、全都道府県から約50人が参加しています。その指導者は各県に戻り報告会を開くなど、成果を還元しています。
競技団体がこうした努力を強めることと合わせ、私は指導者の交流ができる組織が必要だと思っています。指導者が一人で悩むのではなく、指導方法の情報を得られ、学ぶこともできる。よりよい指導を模索している人は少なくありません。
しかし、その受け皿が少ない。国はそういうところにこそ財政面も含めた援助をすべきです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年11月17日付掲載


スポーツ界で、選手への暴力やパワハラも問題だが、競技団体の運営も未熟な点が残されているという。補助金や運営費の私的流用はもってのほかだが、競技だけでなく運営もフェアさが求められると。
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