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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

仮想通貨 金融化の申し子② 通貨本来の属性を欠く

2018-03-15 15:52:08 | 経済・産業・中小企業対策など
仮想通貨 金融化の申し子② 通貨本来の属性を欠く
中央大学名誉教授 高田太久吉さん

仮想通貨は通貨なのでしょうか。

多くは投機対象
通貨は、貨幣の諸機能の中で、購買手段および支払い手段として流通過程で機能している貨幣、もしくはその代理物を意味します。現代の代表的な通貨は、中央銀行が発行する現金通貨と、民間銀行が発行する決済性預金(当座預金・普通預金)です。
仮想通貨は、種々の電子マネーや地域通貨と同様に、限定的とはいえ、すでに通貨の機能を果たしています。しかし、現在、すでに1400種類以上の仮想通貨がつくり出され、その時価総額が何十兆円にも達していても、実際に通貨として利用されているのはごくわずかです。圧倒的多くは、値上がりを期待した投機対象として購入されるか、犯罪的なマネーロンダリングの手段として利用されています。
通貨との関係でいえば、仮想通貨は、一般に利用される通貨が本来備えるべき属性の多くを備えていません。
第一に、仮想通貨には、いかなる意味でも価値評価の基準が存在しません。その「価値」は、純粋に需給の動向によって、言い換えれば、市場での投資家の思惑を反映する瞬間的な相場として決まるだけで、その相場が妥当であるか否かを判断する合理的基準がありません。
第二に、サイバー空間で取引される仮想通貨の「価値」変動は、一般商品の価格とは関係がなく、それ自体は安定した価値保蔵手段の役割を果たすことができません。
第三に、仮想通貨には、発行者も管理者も存在せず、売り手と買い手を仲介する「交換所」と称するサヤ取り業者が存在するだけです。したがって、その「価値」の安定に責任をもつ機関が存在しません。
第四に、仮想通貨の最終的な発行量は、仮想通貨の発行を制御するプログラムによってあらかじめ限界づけられています。ビットコインは、4年ごとに発行額が半減し、総額が2100万ビットコインに達したら、新たな発行が停止します。したがって、仮想通貨は、銀行が発行する預金通貨のような、実際の経済の需要に応じて効率的・弾力的に収縮するメカニズムを備えていません。
第五に、コンピューターの解析能力の革命的な進歩がない限り、新しい仮想通貨を入手すること(マイニング=暗号解読)は、時間・費用・労力の面から加速度的に難しくなります。2018年1月現在、マイニングによって1ビットコインを新たに入手する費用(膨大なコンピューター装置を動かす電気代、冷暖房費など)は、3000~4000ドルと見積もられています。



仮想通貨業者コインチェックが入居するビル=東京都渋谷区

保有は業者集中
また、現在のビットコインの決済処理速度は7回/秒といわれており、集中的な銀行間決済やカード決済(数万回/秒)とは比較になりません。さらに、ビットコインを円やドルなど本来の通貨に交換するためには、1ビットコイン当たり数万円の手数料が必要です。
以上のさまざまな問題から、ビットコインの保有は、暗号技術の専門家や投機業者に集中しており、世界でわずか100人が総額の17%、1000人が40%を保有しているとみられています。これらを総合してみると、仮想通貨は本来の通貨が備えるべき「一般通用性」と「流動性」を欠いており、既存の通貨にとって代わることは考えられません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年3月14日付掲載



仮想通貨が実際に通貨(決済手段)として通用するかといえば否。
価格が安定しないとかありますが、そもそも流通通貨量に限界があるとか、決済処理能力が話にならないぐらい見劣りするから…
コメント
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