きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

軍事依存経済 宇宙編④ 米国の戦争体制を支持

2016-02-14 19:07:18 | 平和・憲法・歴史問題について
軍事依存経済 宇宙編④ 米国の戦争体制を支持

無人機を利用した米国の「標的殺害」に対しては、現役の自衛官からさえ、疑問の声が上がってきました。
矢野哲也2等陸佐・陸上自衛隊第3師団司令部法務官(当時)は論文(「米国の無人機による新たな軍事行動について」)で次のように指摘しました。

紛争の原因にも
「標的とされたタリバン指導者が、多くの現地住民の集まる葬式会場に姿を現すことがあったという不確かな情報だけで、その場にミサイルを撃ち込むという行為が、イスラムの神聖な宗教儀式を破壊し、現地住民の反感を煽(あお)るだけでなく、親米国家とされてきたパキスタンを反米勢力の側に追いやりかねない重大な結果をもたらすことは自明の理」
「今や無人機の使用が紛争を終結させる手段ではなく、新たな紛争を引き起こす原因となっていると言われても仕方がない」(2012年10月『防衛研究所紀要15巻』)
論文によれば、無人機による標的殺害を導入したのは米国のブッシュ政権ですが、それを急増させたのはオバマ政権でした。「国防予算の削減を見越した戦争の低燃費化」が最大の動機でした。
ブッシュ政権は04~09年にパキスタン領内で44回の無人機攻撃を承認し、40日に1回の割合で実行しました。オバマ政権に代わると2年以内に、4日に1回の割合で無人機攻撃が行われるようになったといいます。
論文は、「武装無人機」が有人戦闘機に代わって「飛行禁止空域の監視という第一線任務」を担うに至っており、「今後あらゆる武力紛争において無人機による戦闘様相が常態化する」見通しだと指摘。「今後も米国が対テロ戦争を継続していくことは、本来その終着点となるべきはずの標的殺害が、いつのまにか対テロ戦争を継続するための新たな出発点となってしまう悪循環をもたらしかねない」との警告で締めくくっています。懸念はいまや、テロと戦争の連鎖として現実化しています。



人工衛星などを載せて三菱重工業が打ち上げている大型ロケットH2A(JAXAのホームページから)

泥沼化の教訓は
立命館大学の藤岡惇教,授は「戦争の泥沼化から導き出せる本当の教訓は、アフガニスタン戦争やイラク戦争をそもそも行うべきでなかったということです」と話します。
「しかしオバマ政権は根本的な方向を変えず、戦争の手法を見直しただけでした。進めてきたのは、アフガンとイラク自身に戦争を肩代わりさせつつ、従順な同盟国にコストを分担させる政策です」
安倍政権は、宇宙を利用した米国の戦争システムを政治・経済・軍事の全側面から支援する道を突き進んでいます。
象徴的なのは、14年3月28日に国際連合人権理事会が採択した決議に、米国と日本がそろって反対したことです。決議は「武装無人機の使用によって生じる民間人の犠牲に強い懸念を表明」し、国際法の順守や公平な調査を求めるものでした。
安倍政権が15年1月9日に決定した「第3次宇宙基本計画」は、「日米同盟強化に向けた取り組みの一環として、安全保障面での日米宇宙協力を強化していく必要がある」と強調しました。
同計画は、GPS(全地球測位システム)をはじめとする宇宙システムについて、「米国の抑止力の発揮のために極めて重要な機能」を果たしていると手放しで礼賛しました。そのうえで、「米国との衛星機能の連携強化などによりアジア太平洋地域における米国の抑止力を支える」方針を掲げました。
真っ先にあげた具体策は「我が国の準天頂衛星と米国のGPSとの連携を一層強化する」ことです。
全世界の位置を測定するGPS衛星こそは、無人機やミサイルの遠隔操作にも欠かせない、宇宙システムの要です。「新たな紛争を引き起こす原因」と批判される米国の戦争システムを「支える」ことが、安倍政権の宇宙政策の中心課題に据えられているのです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年2月12日付掲載


オバマはブッシュと比べるとソフトなイメージがありますが。無人攻撃機の活用って事では変わっていない。
日本の三菱重工業などの軍需産業が、その一翼を担っている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする