きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変貌する経済 ODA大綱見直し② 「成長」重視の貧困対策

2014-12-22 18:23:29 | 経済・産業・中小企業対策など
変貌する経済 ODA大綱見直し② 「成長」重視の貧困対策

改定大綱案は、現行の政府開発援助(ODA)大綱でそれぞれ別の課題として位置づけられていた「貧困削減」と「持続的成長」の項を、「重点政策」において一つの項目にまとめ、「『質の高い成長』とそれを通じた貧困撲滅」としました。その上で、「世界における貧困削減、とりわけ絶対的貧困の撲滅」のためには、「民間部門の成長等を通じた経済成長の実現が不可欠である」と強調しました。
改定大綱案に対するコメントを発表した経団連は、「貧困撲滅」が「経済成長によって解消できるとの視点を『重点政策』で明確にしている」ことを「優れている点」として高く評価してみせました。
経団連は5月13日、「政府開発援助(ODA)大綱改定に対する経済界の考え方」として提言を発表していました。その中で、「途上国、新興国の持続的成長に貢献することを通じて、わが国の経済成長につなげるという考え方を新大綱の理念に取り込み、これを実現する」ことを強く求めていました。改定大綱案は財界の意向を反映したものといえます。
一方、貧困問題に取り組むNGOは強い批判の声をあげました。
「現大綱では、貧困をなくすための具体的なアプローチとして、貧困層を対象とした直接的な社会開発支援に高い優先順位が与えられています。しかし、新大綱では経済成長に高い優先順位が置かれています」NGO(非政府組織)のネットワーク組織である「動く→動かす」と、国際協力NGOのネットワーク組織である「国際協力NGOセンター(JANIC)」が発表(10月31日)した緊急声明は、このように厳しく指摘しました。



広島被爆の日にシノップで開かれた原発建設反対集会=8月6日、トルコ・シノップ中央市(「FOEJAPAN」の吉田明子さん提供)

社会不安を警告
改定大綱案には、「実施体制」の「官民連携、自治体連携」の項でも次のような記述があります。
「開発協力が触媒的役割を果たすことにより、民間企業の投資を促し、それが当該国の成長と貧困削減につながっている。この過程を通じて、アジアがわが国民間企業の重要な市場、投資先として成長し、日本経済にとって極めて重要な存在となった」「日本経済の力強い成長にもつながるよう、官民連携、自治体連携による開発協力を推進する」
この点についても、NGOの声明は、改定大綱案が「経済成長重視の姿勢が一層鮮明」になっているとして、「富の公正な再分配と、人々が尊厳を持って生きていくために必要な社会サービスを提供する強い公共セクターが必要」「経済成長を優先し格差の拡大を放置することは社会の不安定化につながり、新たな紛争の原因ともなります」と警告を発しています。

原発推進の危険
改定大綱案の指南書となっている「日本再興戦略」(2014年6月に改定)は、「安全性が確認された原子力発電の活用」をうたい、安倍政権も原発輸出も推進する構えです。
原発輸出に資するようなODAは、経済協力開発機構(OECD)基準によって禁止されています。しかし、原発の周辺インフラの整備については、日本からの原発輸出に直接結びついていなければ、禁止されてはいないというのが政府の見解です。外務省は、「より安全な原子力の利用が実現できるのであれば、そこは協力の余地があるのかなと思っております」としています。
これまでも、日本のODAは、大型の経済インフラに占める割合が高く、内外からの批判の声が上がってきましたが、人類の生存とは相いれない原発推進という危険性も加わり、そのいびつさが促進されようとしています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年12月18日付掲載


ODAでもトリクルダウンの論理が展開されるのですね。開発が進み経済が成長すれば、いずれ貧困層にもしたたり落ちるという破たんした論理が。
さらにその中に、原発も潜り込ませるっていうのですから許せません。
コメント
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