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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変貌する経済 ODA大綱見直し① 「非軍事」の原則危うく

2014-12-21 17:30:11 | 経済・産業・中小企業対策など
変貌する経済 ODA大綱見直し① 「非軍事」の原則危うく

政府開発援助(ODA)は、戦後日本の経済外交の柱です。政府は、ODAのあり方を示す大綱の改定案を10月29日に発表しました。名称も従来の「ODA大綱」から「開発協力大綱」に変更します。今回3回目となる大綱改定は、「アメリカとともに戦争できる国づくり」を狙う安倍晋三内閣のもとで進められています。憲法が要請するODAの根本原則の「非軍事的協力による平和と繁栄への貢献」が危険にさらされています。

二つの閣議決定
大綱改定にあたって、安倍内閣が決定した二つの閣議決定文書が、重要な意味を持っています。
一つは、2013年12月に閣議決定された「国家安全保障戦略」です。この「戦略」は、今日の世界情勢の中で、改めて日米軍事同盟の強化を強調しています。この「国家安全保障戦略」が「ODAの積極的・戦略的活用」を強調したのです。
同戦略の下に安倍内閣は4月、日本の武器輸出を解禁しました。ここには、大綱改定と武器輸出解禁が、まさに表裏一体であることが示されています。
もう一つは、同年6月に閣議決定された「日本再興戦略」(14年6月改定)です。この「日本再興戦略」は、安倍政権の経済政策である「アベノミクス」の第三の矢の政策をまとめた文書です。その柱の一つに「国際展開戦略」が位置づけられています。
その目的は、「新興国を中心にした成長市場」の獲得のため、「わが国企業が持つ技術力を始めとした強みを活(い)かし、積極的に世界市場に展開を図っていく」というもので、世界のインフラ市場を官民一体で獲得することを目標に掲げています。世界のインフラ市場を官民一体で獲得するためODAの「積極的活用」がうたわれています。
この二つの閣議決定を受けて改定案づくりが進められてきましたが、その問題点は、名称変更にも示されています。



東京都内で開かれた開発協力大綱案に関する公聴会=11月15日

世界規模に拡大
大綱の名称を変更した理由について外務省は、次の3点を説明しています。
①対象国の拡大②民間資金など先進国から開発途上国に流入するODA以外の資金との連携③上から下への「援助」ではく、パートナーシップに基づいた「協力」―
ODA対象国については、経済協力開発機構(OECD)が国際的な規定を定めています。1人当たりの国民所得が1万2275ドルを3年連続で上回ると、ODA卒業国となり、支援対象国から外れるのです。
今回の名称の変更は、一定の所得水準はあっても国の規模が小さく、一度の自然災害で年間GDPが吹き飛んでしまうような国への援助も行っていくということを明確にしたものでした。
改定大綱案は、従来のアジア重視に加えて「現在の国際社会における開発課題の多様化・複雑化・広範化、グローバル化の進展等に鑑(かんが)みれば、世界全体を見渡しつつ、世界各地域に対し、その必要性と特性に応じた協力を行っていく必要がある」と強調しています。
これまでアジア重視だった支援対象国をアフリカや中南米など、世界規模に拡大し、多国籍企業の海外展開の「呼び水」としてのODAの役割をいっそう高めることが狙いです。
(つづく)(5回連載の予定です)(金子豊弘)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年12月17日付掲載


単なる経済援助から、多国籍企業の海外展開のための受け皿づくりに変えようということですね。
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