きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

進む中小企業振興策 東京・墨田区に見る④ 若手の背中を押す塾

2013-12-01 20:49:25 | 経済・産業・中小企業対策など
進む中小企業振興策 東京・墨田区に見る④ 若手の背中を押す塾

中小企業にとって、後継者の養成は大きな課題です。
墨田区では「産業全体の将来を考えると人づくりが急務だ」と若手後継者の育成に重点を置いてきました。2004年度から「フロンティアすみだ塾」を開講しています。区内外の経営者や私立大学教授を講師に1年間、試練を乗り切った体験や経営者としてのあり方を学びます。100人の卒塾生が生まれています。

何事にも挑戦
金属加工業を妻と営む笠原克之さん(48)は、4年前、入塾しました。「経営者の話にふれ異業種の仲間と交流したことで、取引先しか知らない自分の世界の狭さを痛感した」と振り返ります。
卒塾後、一番感じたのが、仕事に向き合う気持ちの変化でした。「部品をつくる際、『不良が出ないようにきちんとつくる』ことを心がけていたのが、『より良いものをつくりたいと意欲的になった。技術的な未熟さから受注を断っていた仕事にも『こうすればできるかもしれない』と挑戦するようになった」と話します。
2008年秋のリーマン・ショック後、受注量が激減し、将来に不安を抱いた気持ちも、努力しながら前向きに向かっていきたいとふっきれたと話します。
菊地智美さん(38)が学んだのは32歳のとき。父親の病気で急きょ、ゴム製の道路接合用部品などをつくる橋梁(きょうりょう)製造会社の経営に携わるようになって間もなくでした。「何をすればいいのか分からずにあせるばかり。経営者としての心構えを学びたかった」と語ります。
「『自分にふりかかってくることで、自分に関係のないことはない』との講師の言葉に、『やってみよう』と何事にも挑戦できるようになりました。同期生同士、経営者としての孤独感や悩みを出し合い、気持ちが軽くなりました」
講義は月に1回、土曜日の午後。その後の飲み会も講師や卒塾生の話を聞ける学びの場になっています。区外の後継者塾との交流合宿も行います。
区は塾の事務局を務めますが、塾の運営を担うのは卒塾生です。各地の後継者塾と交流し、これまでにない発想の催しの開催や新たな発注などにも結びついています。



機械部品を研磨する笠原克之さん

国とは対照的
墨田区の中小企業対策を含む産業観光費(13年度)は、一般会計歳出(1007億8000万円)の2・1%(21億4058万円)。国の一般歳出全体(政策経費)に占める中小企業対策費(復旧・復興経費を除く)の割合0・34%と対照的です。
日本共産党は、中小企業振興基本条例を生かした中小企業振興施策の充実へ尽力してきました。13年度予算要望では、東京スカイツリー関連や北斎美術館など大型開発推進の区政から区民の福祉と生活を守る区政への転換を求めています。
西恭三郎党区議団長は、「区内中小企業は産業空洞化と長引く不況の波にさらされてきた。企業台帳を生かしてその実態や要求を調べ、内発型の製造業活性化対策を強めることが必要だ。スカイツリーへの一極集中を是正し商店街振興策を強めることも求めていく」と話します。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年11月30日付掲載


異業種との交流など、中小企業の後継者を育てる取り組みはいいですねえ。
予算の使い方次第でこんなにも変わるもんなんですね。
コメント
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