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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

米国従属経済 財界とアメリカ⑨ 「くい違い」をなくす

2012-09-11 23:47:58 | 経済・産業・中小企業対策など
米国従属経済 財界とアメリカ⑨ 「くい違い」をなくす

日米の大企業経営者が両国の経済政治問題を協議する日米財界人会議。48回目となった昨年は、米ニューヨークで12月1、2日に開かれました。
会議最終日の2日に採択された共同声明は、環太平洋連携協定(TPP)の参加に向けて協議を開始するとした野田佳彦首相の2010年11月の表明を「勇気ある決断」として歓迎。TPPは「日米経済関係を強化する」もので、「できるだけ早く締結すべく最大限の注意とエネルギーを傾注するよう要請する」と早期締結を求めています。日米財界の圧力に突き動かされる野田首相のもと、TPP参加問題は、緊迫した情勢になっています。

原子力の推進
共同声明はさらに、エネルギー分野で原子力の推進をうたい、原子力技術の開発推進などで両政府間の協力を要請。日本の税制については、法人実効税率の引き下げなどを要求しています。さらに野田政権が強行した消費税の段階的引き上げも求めていました。
日米財界人会議は、日本側の日米経済協議会と米側の米日経済協議会の合同会議で、両協議会の代表が共同議長を務めています。日米経済協議会の現会長は、2009年から経団連の米倉弘昌会長(住友化学会長)が務めています。
日米財界人会議の第1回会議が開かれたのは、1961年の11月のことです。



中国をテーマにパネルディスカッションをする第41回日米財界人会議・全体会議=2004年11月14日、東京都内のホテル

アジア進出へ
会議は、東京で行われ、日本側から日米による発展途上国開発援助に関連して「共産圏諸国の援助攻勢に・対抗して、自由主義諸国が発展途上国の開発を援助することは政治的に重要である。米国のリードによる日米協力」を求めるなどの意見が表明されました。ここには、軍事大国アメリカの力を背景にした大企業のアジア進出の狙いが込められています。一方、アメリカ側からは、当時すでに問題となっていたドル防衛に関連して「いかにして米国の輸出を拡大するかが問題である」(『日米財界人会議40年史』)との問題が提起されていました。
7、8、11日の3日間にわたり開催された第1回会議は、「双方は日米間の貿易と経済交流の一層拡大発展のために、それぞれ努力を続ける必要を確認する」などとした覚書を交換して幕を閉じました。
この日米財界人会議開催のきっかけになったのは、直前に開かれた日米両国の閣僚レベルの日米貿易経済合同委員会でした。両国政府が同委員会に先立って、自国の財界・経済界に経済関係に関する意見を求めたことが始まりでした。
政府間の日米貿易経済合同委員会は、61年6月に開かれた池田勇人首相とケネディ米大統領(いずれも当時)の首脳会談で設置が決まったものでした。首脳会談で発表された日米共同声明では、次のようにうたわれていました。
「大統領と総理大臣は、日米両国の提携が強固な基礎の上に立っていることに満足の意を表明した。両者は、両国間に存するこの提携を強化するために、貿易及び経済問題に関する閣僚級の日米合同委員会を設立し、これによって相互協力及び安全保障条約第2条の目的達成に資することに意見の一致をみた」
つまり日米貿易経済合同委員会は、日米両国間の「くい違いを除くこと」とした日米安全保障条約の第2条を実施するために設置されたものでした。この委員会を契機に始まった日米財界人会議もまた、日米の「くい違い」を取り除くためのものとして開催され続けてきたわけです。
今年の日米財界入会議は11月8、9両日、東京の帝国ホテルで開催される予定です。(この項おわり)
(この項は金子豊弘が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年8月31日付掲載



「なぜ、かくも日本の財界はアメリカに対して卑屈なのか?」。その疑問が、このシリーズですこしでも氷解したでしょうか。
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