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きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

小水力で大きな未来 自然とともに高原町の挑戦 町のための再エネへ

2022-01-06 07:12:42 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
小水力で大きな未来 自然とともに高原町の挑戦 町のための再エネへ
雄大な高千穂峰を仰ぐ宮崎県高原(たかはる)町。豊かな緑と霧島連山のふもとから湧き出る水に恵まれたこの地で、小水力発電に挑戦している人々がいました。高原町を訪れました(手島陽子)



高原町の狭野(さの)地域。川のせせらぎが聞こえ、高千穂峰が見わたせます。狭野土地改良区事務所で、理事長の新地和廣(しんちかずひろ)さんら、小水力発電にかかわる人々が出迎えてくれました。
小水力発電は川や農業用水路を使った小規模発電です。再生可能エネルギーの中でも、自然への負荷が少なく、電気を安定供給できるのが特徴。同地域のパイプライン(農業用水路)の水を利用した小水力発電所第1号は昨年春完成しました。パイプラインの高低差は49メートル、最大使用水量が1秒あたり0・078立方メートルあり、発電する条件としては十分。最大発電出力は19・9キロワット、年間可能発電量9万6189キロワット時、40世帯程度を賄う発電量です。
「20キロキロワットを超えると専門の管理者を置かなくてはならないため、発電量を20キロワット未満に抑えたとです」と新地さん。



写真右上から、中央、左下へ:狭野土地改良地区小水力発電所
小水力発電所内の設備について話す新地さん
高原町のいたるところで、澄んだせせらぎが聞こえます

「水路もったいない」
十数年前の圃場(ほじょう)整備でパイプラインを設置。農閑期に使わないので「もったいない」と、発電を検討してきました。
日本共産党の中村昇町議も、かつて町議会で小水力発電を推進するように質問しました。「気候危機の間題が差し迫る中、再生可能エネルギーを広げることは地球にとっても大切な課題です」と話します。
新地さんは、「ほかの地域では年々、土地改良区の賦課金を値上げしちょるけど、この地域は組合員への負担をなるべく抑えられないかと…。売電収益を財源に充てられたら、値上げを抑えられると考えちょったとです」と。農業は担い手不足。今後かさむ維持管理経費をどう賄うか、気がかりでした。当初は、発電量が少なすぎると断念。2013年、転機が訪れました。
「北原(慎也)さんが東京から移住してきて、『水があるよね。(川などの高低)落差がすごい。やろうよ』と声を上げたのです」。こう話すのは、土地家屋調査士業と測量会社を営む外村昭徳さん。新地さん、北原さんらと地元の自然エネルギー協議会を結成した中心メンバーです。



高千穂峰を背に、(右から)中村町議、外村さんと新地さん、反田吉己・無所属町議、大迫恒作さん、北原さん

使いづらい補助制度
小水力発電の技術は進歩しています。北原さんの情報をもとに、新地さんたちは検討を重ねます。県からの約2200万円の補助金、残り約2200万円は土地改良区が融資を受けて建設に踏み出しました。借金は、おもに農閑期7カ月間の売電収入があれば、20年以内に返済できる見通しです。昨年の10~11月の発電量は月およそ1万3300キロワット時、稼働日数は30日と安定的に電気を供給しています。
現在、FIT(固定価格買取制度)を利用するために経済産業省に申請中です。
外村さんは「いろいろな縛りでがんじがらめ。補助金がなかなか使えないんですよ。近隣の自治体は、火山があって地熱も豊富なのに、ほとんど生かされていません」と訴えます。
自然エネルギー協議会は、大学や企業とも連携して、再エネによる町おこしをいかに進めるかを模索しています。発電所の候補地もおおむね決めており、小水力発電所第2号の建設をめざしています。

FIT(固定価格買取制度) おもに再生可能エネルギーの普及のため、買取価格を法律で定める助成制度。



学童保育さのっこひろばの子どもたち

学童保育にも力注ぐ
小水力を進めるにあたり、どこでも最初に立ちふさがる課題は水利権の問題。狭野地域では、土地改良区の人々との協力関係があり、すぐに解決しました。外村さんは、「CO2排出量削減のために、再エネはメリットが大きいはず。地方が潤うように、さまざまな制度を改善してほしい」と言います。
北原さんは「小水力発電は、地域のそこかしこでポテンシャル(潜在的な力)だらけです。行政による制約のせいで、全然ポテンシャルが生かせていない」と。「いまは、再エネをやろうとすると、金融とか投資とか、もうけの話になっていく。金、金、金となってしまうことに疑問を感じます。資本主義って…どうなんでしょうね」
0歳から中学生まで5人の子どもの父でもある北原さん。13年、東京都から夫婦と子ども4人で移住。音響エンジニアの仕事のかたわら、学童保育づくりを進めました。
貯金を全額つぎ込んで古民家を購入し、遊具などを手作り。現在、月額3000円の学童保育に、25人の小学生が通い、動物を育てたり、そばを手打ちしたりするなど、伸びのびと過ごしています。
「子どもたちの感性を育てるためには、自然と触れ合うことはすごく大きいです。自然とつきあう経験の中で、自分の頭で考える人間に育てたい。エネルギーと食料を自給自足できる町にしたいんですよね」
高原町の人々の模索は続いています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年1月3日付掲載


小水力発電は川や農業用水路を使った小規模発電。再生可能エネルギーの中でも、自然への負荷が少なく、電気を安定供給できるのが特徴。同地域のパイプライン(農業用水路)の水を利用した小水力発電所第1号は昨年春完成。
最大発電出力は19・9キロワット。小さい発電所をたくさん作る。
外村さんは「いろいろな縛りでがんじがらめ。補助金がなかなか使えないんですよ。近隣の自治体は、火山があって地熱も豊富なのに、ほとんど生かされていません」と。
北原さんは「小水力発電は、地域のそこかしこでポテンシャル(潜在的な力)だらけです。行政による制約のせいで、全然ポテンシャルが生かせていない」と。
地域のやる気、人材と行政の後押しが必要。

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九電・玄海原発訴訟 吉井英勝元国会議員の意見陳述から② 過酷事故の警告を再三無視

2021-12-01 07:13:19 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
九電・玄海原発訴訟 吉井英勝元国会議員の意見陳述から② 過酷事故の警告を再三無視
原発の蒸気発生器などでは、熱交換のための多数の細管が、冷却水の流れで生じる振動によって装置と細管が触れ合って減肉することや、ピンホール規模の沸騰蒸気による乾いた金属表面と沸騰水に包まれたぬれた状態の繰り返しで、不純物が結晶化し細管破断事故につながることもあります。


事故を起こした東京電力福島第1原発視察のために、放射線防護服に身を固めた日本共産党の吉井衆院議員(当時)=2011年12月12日

温暖化で高まる災害による危険
より大きな問題は、原子炉が緊急停止した時に、核燃料は崩壊熱で溶融が始まりますから、ただちに冷却水を送り込まなければなりません。その時、送水ポンプを動かすのに必要な電源は、主に外部の火力発電所からの電力です。これがどんな場合でも、断たれないようにしなければなりません。
ところが現実には、外部電源喪失の例はいくつもあります。台風による東京電力鹿島幹線の送電鉄塔倒壊、北陸電力志賀原発の送電鉄塔ががけ崩れで倒壊した事故、東電福島第1原発構内受電鉄塔倒壊などです。今後、地球温暖化によって、豪雨災害、がけ崩れ、超大型台風・竜巻の発生が頻発して、危険性が高まることは必至です。
緊急停止に際して、原子炉補助建屋にあるディーゼル発電機が、内部電源として働くことになっています。福島第1原発事故では、津波で水没して発電できず、内部電源喪失状態になりました。
内部、外部両方の電源喪失、すなわち全電源喪失となると、原発の核燃料から放出される放射性崩壊熱を取り出さないと、核燃料を包んでいる被覆管のジルコニウムが1000℃を超えて溶融し始めます。
ジルコニウムと水蒸気が反応し、軽い水素が破損部分から原子炉圧力容器内、さらに原子炉建屋に流出し、爆発下限界濃度に達したところで水素爆発をおこします。ですから原発停止の事態では、緊急炉心冷却システムが働かないと大変です。



吉井衆院議員が2006年12月に出した質問主意書と安倍首相の答弁書=同年12月(肩書はともに当時)


大津波で冷却水が取水できなくなり、炉心溶融の恐れがあると指摘した吉井衆院議員(当時)の質問を報じた、「しんぶん赤旗」2006年3月2日付

想定できていた東電の原発事故
ところが東京電力福島第1原発は、このシステムを働かせる電源が喪失状態になったので、爆発と放射能汚染という最悪の事態になったのです。
この事態は、全く想定できないことではありませんでした。2006年3月の衆院予算委員会で私は、04年12月のインドネシアのスマトラ沖地震による大津波を踏まえて質問しました。
地震国日本でも巨大地震に伴って大津波が発生すれば、原子炉施設が水没などの被害を受けます。「押し波」だけでなく「引き波」の時には、原発の取水口より低い位置まで水位が下がると、冷却水を取り入れることができなくなって、いくらポンプを回しても、海水が入ってこないから冷却できないことになると追及しました。
この時の経済産業大臣の二階俊博氏は「今後、全省挙げて、ご指摘の原発の津波対策に取り組む」と決意表明しましたが、内閣改造で姿を消すと、「答弁」は消滅扱いとなってしまいました。
私は、その後に誕生した安倍晋三総理に06年12月、質問主意書を出して、丁寧に警告しましたが、安倍総理は「日本の原発は安全」「全電源喪失など起こらないように、安全確保に万全を期す」と、5回も繰り返す答弁書を出しました。その後、結局何の対策も取らず、「3・11東電福島第1原発事故」の大惨事を招いてしまいました。
(おわり)

「科学技術」は幸せのために
吉井英勝さんは、佐賀地裁での意見陳述(10月29日)の中で、科学者の社会的責任について、“科学技術にかかわる者は利益や利害に目がくらんで、その専門知識を活用してはならない”という湯川秀樹、朝永振一郎、坂田昌一の3人の著名な物理学者の教えを深く心に刻んできた、とのべています。
そして「広い常識とバランス感覚」「高い道徳性や倫理性」を身に付け、国会議員として「科学技術を住民生活の安全と国民の幸せに役立たせる」ために活動してきた、と陳述しました。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月27日付掲載


原子炉が緊急停止した時に、核燃料は崩壊熱で溶融が始まりますから、ただちに冷却水を送り込まなければならない。その時、送水ポンプを動かすのに必要な電源は、主に外部の火力発電所からの電力。これがどんな場合でも、断たれないようにしないといけない。
ところが東京電力福島第1原発は、このシステムを働かせる電源が喪失状態になったので、爆発と放射能汚染という最悪の事態になった。
それは、スマトラ沖地震などで予想された事。
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九電・玄海原発訴訟 吉井英勝元国会議員の意見陳述から① 日本は再エネの宝庫

2021-11-30 10:54:31 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
九電・玄海原発訴訟 吉井英勝元国会議員の意見陳述から① 日本は再エネの宝庫
九州電力・玄海原発(4基)の差し止めを求める訴訟の口頭弁論が10月29日、佐賀地裁で開かれました。全電源喪失によって原発の過酷事故が起きることを予見し、原発の危険性を追及してきた、日本共産党の元国会議員、吉井英勝さんが意見陳述しました。その一部(要旨)を上下で紹介します。

私は現在、原発に頼らない再生可能エネルギーによって、放射能もCO2の心配もない社会を実現させることに全力を注いでいます。
電力会社と政府は、原発をなくすと火力に頼ることになる、炭酸ガスを放出するのは困るのではないか―などと言ってきます。原発は、緊急停止などの事故時には近隣の火力発電所からの応援なしには炉心冷却が難しく結局、火力発電を当てにしないと成り立たないシステムです。



ビルの屋上を利用して設置された太陽光発電用パネル

住民自治が基本 地域経済発展で
石炭火力などが稼働時にCO2を排出するのは事実で、石炭火力の廃止にも踏み切る必要があります。それでは日本の電力をどうするのか。
それは省エネルギーで無駄を徹底的に削り、高度成長期型、一極集中、多消費構造の転換が第一。電力は100%再生可能エネルギー(再エネ)に向けて、国として研究・開発・再エネ設置への財政支援などを進める必要があります。
再エネは、地域ごとの地理的状況に応じて選択することが重要で、それに詳しいのは地元住民です。その地域にどんな再エネがむいているか、工事用資材や機材の搬入はどうするか。地域の農林漁業や中小企業に仕事がまわるような仕組みをどうつくっていくか。
地域の手で再エネ発電所をつくる時の支援をどうするか。地域の環境を守り、再エネで脱炭素の地域をつくるために自治体が条例を作り、基金を設けるときに財政支援をどのようにするか。地域の住民の間でよく議論して、住民が主人公になるエネルギーと環境を生み出し、地域経済が持続可能な発展をするように取り組むことが大事です。
私はそのモデルになる地域を見てきました。高知県梼原町、岡山県真庭市、岩手県葛巻町、長野県飯田市など全国にあります。ドイツのフライブルク市、シェーナウ、フライアムト村など、勉強材料が豊かにあります。
しかし大事なことは、地域にどのような再工ネが存在しているかを知ることです。そして、外部から資本力のある勢力が乗り込んできて自然環境の破壊、地域破壊につながる動きは即座にシャットアウトすることです。
地理的条件にあったエネルギーを見いだして、住民が中心になって企業体をみんなで作って取り組む。仕事が地域の中小企業や農林漁業者に回ってくるものにする。ここには住民自治の考え方が基本にあります。憲法の地方自治の立場に立って、エネルギーが民主主義の学校になる道です。



意見陳述の後、原告の人たちと交流する吉井さん(中央、ネクタイの人)=10月29日、佐賀市(「原発なくそう!九州玄海訴訟」弁護団提供)

最近の異常気象 原発の危険露呈
最後に裁判官のみなさんに訴えます。
私は国会議員として、原発事故から住民を守る、地域社会を守る活動に精力を注入してきました。しかし、福島原発事故が起きてしまいました。政府や電力会社の姿勢を見ていると、再び福島事故のような大惨事が起こる可能性があります。
また、最近の異常気象による災害の発生は、原発を一層危険なものにしています。私が国会でその危険性を訴えて警告をしても無視され続けたのは、電力会社が利益のために稼働率を上げることを最優先するからです。こんな危険な原発の運転は、すぐにやめるべきだと思います。
日本は再エネの宝庫です。その技術も能力もあります。再エネの普及は地方の過疎化も阻止できる明るい展望があります。どうか、裁判所が原発を止める判決を出されて、再エネへの大きな流れをつくられることを切にお願いします。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月26日付掲載


原発は、緊急停止などの事故時には近隣の火力発電所からの応援なしには炉心冷却が難しく結局、火力発電を当てにしないと成り立たないシステム。
再エネは決して非効率的なものではなく、地域にやさしくって、地産地消のエネルギー。
地理的条件にあったエネルギーを見いだして、住民が中心になって企業体をみんなで作って取り組む。仕事が地域の中小企業や農林漁業者に回ってくるものにする。
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エネルギーの未来 政府計画案を読む② 原発27基の稼働ねらう

2021-09-11 07:09:57 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
エネルギーの未来 政府計画案を読む② 原発27基の稼働ねらう
菅義偉政権のエネルギー基本計画案は、原発について「実用段階にある脱炭素技術」「長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なべースロード電源」と位置づけ、2030年度の電源構成比を現行計画と同じ20~22%としました。さらに50年を展望して「必要な規模を持続的に活用する」と宣言しました。新型原発の開発を進めることも書かれています。
福島原発事故後、21基の原発が廃炉となり、27基(建設中2基含む)が原子力規制委員会に新規制基準への適合審査を申請しました。これまでに10基が再稼働しましたが、電源構成では約6%(19年度)です。政府案が示す20~22%は、審査中のものも含めて27基すべてをフル稼働させることに椙当します。
この高い目標を実現するために、政府案は再稼働への取り組み強化を掲げています。立地自治体などの理解を得るため、国が前面に立つとともに、規制委員会の審査などへの対策として産業界連携で「再稼働加速タスクフォース」を立ち上げます。定期検査の検査期間短縮や検査間隔延長など稼働率引き上げの取り組みも進めます。
しかし、27基のうち12基は30年までに原則40年という法定運転期間を超過します。すでに4基(高浜1号・2号、美浜3号、東海第2)が60年運転への延長を許可されていますが、8基は電力会社の延長申請もない段階です。政府案が示す電源構成は、電力会社の経営判断を棚上げし、国民世論を無視するものです。



原発ゼロ基本法の制定を求めてパレードする人たち=4月4日、東京都中央区

●また安全神話
政府案には、新増設に関する明文での記述はありませんが、審議会では、産業界などが原発の新増設を書き込むよう強く求めました。自民党の総合エネルギー戦略調査会事務局長の山際大志郎衆院議員・元経産副大臣は、「必要な規模を持続的に活用」という表現で「原子力はゼロにならないことを今回宣言した」と語り、運転期間上限の廃止にも言及しています。(「電気新聞」7月28日付)
「必要な規模を持続的に活用」という表現には、原発の新増設、運転期間上限の廃止など、原発をいつまでも使い続ける狙いが込められています。
政府案は、「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた」原発の稼働を進めるとしています。安倍晋三前政権以来の決まり文句です。炉心溶融物保持装置(コアキャッチャー)など炉心溶融が生じた場合の対応設備もなく、事故時の避難計画が運転要件にもなっていない日本の基準は、欧米より「厳しい」とはとても言えません。規制基準適合を「安全」のお墨付きとするのは、新たな「安全神話」にほかなりません。

●ゼロへの潮流
経済の実態をみれば、原発はビジネスとして成り立たなくなっています。
東芝が米原発メーカーを買収して大赤字を出し、日本企業の原発輸出計画はすべて失敗しました。経済産業省の新しいコスト計算では、原発は太陽光発電や風力発電より高コスト(新設で比較)となりました。
既設原発も、規制基準対応の追加コストが5・5兆円(「東京」3月3日付)となるなど高コスト電源となっています。ちなみに、福島事故前の54基の総建設費は13兆円です。(「赤旗」日曜版11年9月18日号)
福島第1原発事故は、原発が「実用段階にある」技術などではないこと、ひとたび重大事故を起こせば暮らし、生業(なりわい)、文化など地域社会を破壊することを明らかにしました。今、原発は電源としても補助的役割しか担っていません。原発から撤退し、原発ゼロの日本をめざすべきです。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年9月9日付掲載


菅義偉政権のエネルギー基本計画案は、原発について「実用段階にある脱炭素技術」「長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なべースロード電源」と位置づけ、2030年度の電源構成比を現行計画と同じ20~22%としました。さらに50年を展望して「必要な規模を持続的に活用する」と宣言しました。新型原発の開発を進めることも。
しかし、現時点でも原発は電力供給でも補助的な担い手でしかありません。処分の仕方も保存方法も確立していない放射性廃棄物を生み出す原発から一刻も早く撤退し、省エネルギーと再生可能エネルギーで希望ある未来へ向かいましょう。
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エネルギーの未来 政府計画案を読む① 若者の願いに応えず

2021-09-10 07:11:26 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
エネルギーの未来 政府計画案を読む① 若者の願いに応えず
菅義偉政権は3日、エネルギー基本計画(案)に対するパブリックコメントの募集を開始しました。秋に開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)までには基本計画が閣議決定される見込みです。この連載では政府案の問題点について、気候危機と原発という角度から論じます。
(日本共産党原発・気候変動・エネルギー問題対策委員会鈴木剛)

今、エネルギー政策にとって最大の課題は、地球温暖化対策です。温室効果ガス排出量の9割近くをエネルギー起源の二酸化炭素(CO2)が占めているからです。
近年、台風や線状降水帯によってこれまで経験したことのない豪雨が発生しています。九州、中国をはじめ日本各地で洪水や土砂災害が引き起こされるようになりました。
欧米でも、1日で平年の月降水量の1・5倍という集中豪雨・洪水がドイツで発生しています。イタリアでは欧州最高(観測史上)、アメリカでは世界最高(同) とみられる異常高温が観測され、山火事が多発しています。
「未来のための金曜日」運動に参加している若い人たちは、気候危機を自分の未来に直結する問題ととらえています。「あと4年以内に大きく動きださないと、産業革命前に比べて気温の上昇が1・5度を超える」「私が24歳になるとき地球はタイムリミットと言われるとものすごく悲しい気持ちになる」など、切迫感をもって行動しています。
ところが政府案は、こうした気候危機の現実と若者の願いにこたえるものとはなっていません。


表1 各国の温室効果ガス削減目標
  2019年実績2030年目標備考
日本2013年度比▼14%(▼5%)▼46%(▼40%)()内は1990年度比
EU全体1990年比▼28%▼55%
イギリス1990年比▼43%▼68%35年目標▼78%
ドイツ1990年比▼35%▼65%
アメリカ2005年比▼2%(+2%)▼50~52%(▼48~50%)()内は1990年度比
(資料)環境省公表資料、国立環境研「温室効果ガスインベントリ」の「付属書1国のガス別分野別温室効果ガス排出量」など


表2 電源構成の現状・目標(%)
電源2019年度2030年度
現行目標新目標
再工ネ1822~2436~38
原子力620~2220~22
火力石炭322619
LNG372720
石油など732
その他001


●低すぎる目標
地球温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定(2015年)は、気温上昇を1・5度以内に抑えることを目標としました。そのためには世界の温室効果ガス排出量を、30年に45%削減(10年比)し、50年に実質ゼロ(カーボンニュートラル)とすることが求められています。
日本は安倍政権以来、「30年度26%減、50年度80%減」(13年度比)を目標としていましたが、頻発する異常気象や世論に押されて昨年10月、「50年カーボンニュートラル」を表明しました(世界で123番目)。また、今年4月にアメリカが主催した気候サミットで、30年度に13年度比46%削減という目標を表明しました。
しかし、途上国を含む世界全体で10年比45%削減を達成するためには、歴史的に大量の温室効果ガスを排出してきた先進国には、より大きな削減が求められます。欧州連合(EU)は55%減(1990年比)、ドイツは65%減(同)、イギリスは68%減(同。2035年には78%減)、バイデン政権でパリ協定に復帰したアメリカは50~52%減(05年比)などを目標としています。(表1)
日本も先進国としての責任を果たすにふさわしく、削減目標を5割~6割に引き上げることが求められます。



温室効果ガス削減目標の引き上げを求める若者たち=4月22日、経済産業省前

●30年度の需給
政府案は「50年カーボンニュートラル実現」を掲げ、再生可能エネルギーについては「主力電源として最優先の原則の下で最大限の導入」、原子力については「必要な規模を持続的に活用」としました。そのうえで、30年度のエネルギー需給の姿を次のように示しています。(表2)
▽電力・熱・燃料などを含むエネルギー供給は13年度比21%減。供給量の内訳は石油31%程度、石炭19%程度、天然ガス18%程度、再エネ22~23%程度、原子力9~10%程度など。エネルギー起源CO2は13年度比45%減。
▽発電量は13年度比約14%減。電源構成比は、石油2%、石炭19%、液化天然ガス(LNG)20%、再エネ36~38%、原子力20~22%など。
気候危機を乗り越え持続可能な社会をめざすエネルギー需給構造の転換では、省エネと再エネの大胆な導入、石炭火力からの撤退、原発ゼロが求められます。
(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年9月8日付掲載


「未来のための金曜日」運動に参加している若い人たちは、気候危機を自分の未来に直結する問題と。
しかし、日本政府の温室効果ガス削減目標はあまりにも低い。2050年には実質ゼロとは言うものの、2030年は13年度比46%削減。あまりにも少ない。
途上国を含む世界全体で10年比45%削減を達成するためには、歴史的に大量の温室効果ガスを排出してきた先進国には、より大きな削減が求められます。
日本共産党は、2030年度までに、CO2を50%~60%削減する(2010年度比)ことを目標とすることを提案します。それを省エネルギーと再生可能エネルギーを組み合わせて実行します。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば、50%~60%の削減は可能です。さらに2050年にむけて、残されたガス火力なども再生可能エネルギーに置き換え、実質ゼロを実現します。

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