仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈

歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

国会議事堂を「観」にゆく(3):休日でも「観」にゆく

2015-07-20 23:46:18 | 国会議事堂を「観」にゆく
三連休って、何の話?というわけで、昨日も今日もふつうに出勤。桓武から後一条まで90分で駆け抜けた「日本史概説」を終え、幾つか書類を作成、事務処理メールをほうぼうへ送って22:00。いつものごとくに、徒歩で国会議事堂へ向かった。

喰違見附から紀国坂を下り、赤坂のすり鉢を登って、平河町から自民党本部前へ(今夜はまったく灯りがついていない)。いつもならこのあたりで集会の反響が聞こえてくるのだが、今日は街灯に騙されて鳴く蝉の声ばかり。国会議事堂の脇へ来ても、各門を警備している警官がいるくらいでのどかそのもの、彼らから「こんばんは」と挨拶されてしまう始末だ。ふだんどおり、憲政記念館の前を曲がり議事堂正門前へ向かったが、やはり海の日は抗議行動もお休みなのか、誰も集まってはいなかった。

ふーん、こんなものかね……と思いきや、正門前交差点の街灯の下に、たったひとりだけ、「安保法制反対」の垂れ幕を掲げた若者が立っている。俯き加減で、何も言葉を発さず、ただ街灯の柱にもたれるようにして、垂れ幕を身体の前に掲げている。彼のことは、ぼく以外、誰もみている人がいない。確かに抗議行動としては、まったく意味のない行為だろう。思い切り不審者にみえないこともない。しかしぼくの目にはその姿が、マスコミや群衆の前でマイクを握り、直線的な言葉を投げかける人々より、よほど清々しく映ったのだった。彼が相対しているのは、政府でもメディアでも仲間たちでもなく、自分自身かもしれない。今夜も来てよかった。

写真は、ほとんど警備のない正門の正面で撮った議事堂。何となく、鉄格子のなかにいるようだ。
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