く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ヒイラギモクセイ(柊木犀)> ヒイラギとギンモクセイの交雑種

2018年10月08日 | 花の四季

【芳香のある白い小花、キンモクセイより少し遅れて開花】

 モクセイ科モクセイ属の常緑小高木で、ギンモクセイ(銀木犀)とヒイラギ(柊)の雑種といわれる。銀木犀は花色が橙色のキンモクセイ(金木犀)と同じく中国原産。いい香りを放つ樹木として人気が高いのは金木犀だが、実は銀木犀が基本種(母種)で、金木犀はその変種。そのため単に「モクセイ」というときは銀木犀を指すことが多い。一方、柊は葉に鋭い棘(とげ)があり節分の魔除けの木としてよく知られる。柊木犀は銀木犀と柊の交雑で生まれたとあって両者の中間的な性質を併せ持つ。

 花期は10月頃で、金木犀や銀木犀よりやや遅く開花し、柊よりは少し早い。葉の脇に銀木犀によく似た花冠が4裂した白い小花(径8~10mmほど)を束状に付ける。葉は厚く革質の卵状楕円形だが、柊ほどツヤツヤした光沢感はない。縁には8~10対ほど鋸歯(ギザギザの棘)があり触ると痛い。萌芽力が強く強剪定に耐えることや棘が防犯につながることから、民家の垣根などとして多く植えられてきた。鋸歯の鋭さを弱い順に並べると「金木犀<銀木犀<柊木犀<柊」となり、柊の棘は2~5対と少ないが最も鋭く尖る。ただ柊木犀も柊同様、棘のない全縁の葉が時折見られる。雌雄異株だが、日本では雄株しか見られないため、繁殖は挿し木による。

 学名は「Osmanthus × fortunei(オスマンサス × フォーチュネイ)」。属名オスマンサスの語源はギリシャ語の「芳香」と「花」から。間の「×」は雑種であることを示す。種小名は19世紀のスコットランド出身の植物採集家ロバート・フォーチュン(1812~80)の名に因む。彼は東インド会社の依頼を受けて中国を度々訪れ、大量のお茶の木をインドのダージリン地方に移植し、インドの紅茶産業の礎を築いたことで知られる。フォーチュンは幕末の1860年代初め、開港間もない日本も2回にわたって訪れた。その間の見聞録を原題『江戸と北京』(邦題は『幕末日本探訪記』)としてまとめている。


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