く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ハナイカダ(花筏)> これが花? 葉っぱの真ん中にちょこんと〝鎮座〟

2013年04月26日 | 花の四季

【雌雄異株、「ママッコ」「ヨメノナミダ」の異名も】

 何とも変わった植物だ。小さな花の塊が葉の中央にちょこんと乗っている。雌雄異株で、雌花は通常1個、雄花は3~5個が集まってつく(写真は雄花)。花期は4~6月。花は径2~3ミリの淡緑色の4弁で、雌花は秋になると黒い実をつける。ハナイカダという粋な名前は葉を筏(いかだ)、その上に乗った花や実を船頭に見立てて名づけられた。

 

 北海道南部~九州の山野に自生する。森林内の谷沿いなど湿気の多い日陰を好む。ハナイカダ属は中国大陸やヒマラヤなどにも分布する。仲間にリュウキュウ(琉球)ハナイカダ、タイワン(台湾)ハナイカダ、ヒマラヤハナイカダなど。風変わりな花姿は葉の基部から出る花茎が葉脈の主軸にくっ付いてできた。その証拠に葉の基部から花の所まで主脈が太くて白っぽい。

 別名に「ママッコ(飯子)」。若芽が山菜として菜飯の材料になることに因むらしい。ただ花や実を飯粒に見立てたなど他の説もある。「ヨメノナミダ(嫁の涙)」という異名も。これは嫁の悔し涙が木の葉に落ちて真珠のように輝いたという民話に基づく。江戸時代の植物学者、貝原益軒は植物解説書「大和本草」(1708年)でハナイカダを「ツキデノキ」として紹介している。

 ハナイカダといえば、散った桜の花びらが水面を覆い静かに流れていく様も「花筏」と形容される。花筏は家紋にもなっている。筏の上に描かれる花は主に桜か山吹。古典落語「花筏」も有名だ。病気の大関花筏に代わって瓜二つの提燈屋がプロ相手に負けなしの剛の者と対戦するはめに。仕切りながら「俺を投げ殺す気か」と互いに「南無阿弥陀仏」――。かつて寄席で聞いたこの落語にあやかり四股名を「花筏」に改名した十両力士がいた。「花筏蕾みぬ隈なき葉色の面(も)に」(中村草田男)。


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