く~にゃん雑記帳

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<奈良市写真美術館> 「入江記念写真賞受賞記念展」開幕

2019年02月24日 | 美術

【受賞者の真鍋奈央さんや審査委員長らによる記念トークも】

 奈良市写真美術館(同市高畑町)で「第3回入江泰吉記念写真賞受賞記念展」が始まった。この写真賞は奈良市出身の写真家入江泰吉(1905~92)の功績を称え、2014年に若手写真家の発掘を目的に設けられた。2年ごとに開かれており、3回目の今回は応募作95点の中から、大阪府高石市在住の真鍋奈央さん(31)の『波を綴る』(100枚組)が大賞に当たる記念写真賞に選ばれた。記念展初日の22日には授賞式に続き、真鍋さんや審査委員長の写真評論家飯沢耕太郎氏、同美術館館長の百々俊二氏らによる記念トークが開かれた。

 

 真鍋さんは徳島県池田町出身で、中学卒業後米国の高校で2年間学び、帰国後はビジュアルアーツ専門学校大阪写真学科に入学。現在は同校で講師を務めている。『波を綴る』はハワイの日常の風景や日系人の日々の姿を撮影したもので、「目の前に現れた眺めを、先入観を排したピュアな眼差しで見つめ、その鮮度を保ち続けたままパッケージにしていく能力の高さ」(飯沢審査委員長)が評価された。真鍋さんは「(ハワイは)たくさんの人々と出会い、お互いの時を重ねてきた場所。彼らと日々を過ごすうちに、いつからかハワイの島々が持つ歴史や風土がリアリティーと意味を持って自分に迫ってきた」と振り返る。審査の過程で最後まで残ったのは真鍋さんを含め女性ばかり3人の作品だったという。

 

 記念展の会場にはオアフ島、モロカイ島、ハワイ島、マウイ島の4つの島ごとに作品が並ぶ。穏やかな表情の病床のお年寄り、カラフルな衣装に身を包み杖を手に歩く日系婦人、サーフィンに興じる若者、楽しげな盆踊り……。火山の真っ赤な溶岩流や真っ黒に固まった溶岩流の先に立つ墓標など、自然の脅威と向き合った作品も含まれる。記念トークでは参加者から「被写体との程良い距離感」「透明感がある」といった賛辞が贈られた。真鍋さんは道路封鎖をかいくぐって溶岩流を間近で撮影できたのは、案内してくれた現地のアル中やホームレスの男性たちのおかげといった裏話を披露してくれた。『波を綴る』は副賞として写真集としても出版された。

 同館では同時開催として入江泰吉写真展「奈良の世界遺産」と「第3回ならPHOTO CONTEST<カテゴリー1>『ならを視る』受賞作品展」も始まった。いずれも会期は4月7日まで。


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