く~にゃん雑記帳

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〈興福寺五重塔〉 見納め! 工事用の素屋根建設本格化

2024年06月20日 | メモ

【120年ぶり大規模修理、完了は7年後の2031年春】

 奈良公園のシンボルの一つ、興福寺の国宝五重塔が素屋根ですっぽり覆われようとしている。6月19日久しぶりに訪れると、塔を囲むように鉄骨の柱が組み上がり、外観でまだ見えるのは最上層とその上に立つ相輪だけだった。(下の写真は猿沢池から)

 この五重塔は奈良時代に藤原不比等の娘、光明皇后の発願で創建された。以来、戦火や落雷により再建を繰り返し、現在の塔は約600年前、室町時代の1426年に建てられた6代目。高さは50.9mで、五重塔としては京都の東寺に次いで2番目に高い。

 本格的な修理は明治時代以来約120年ぶり。屋根瓦の破損やずれ、漆喰の剥離、木造組み物の腐朽など傷みが目立ってきたことによる。素屋根の建設は当初昨年1月着工を予定していたが、資材の高騰などで7月へ半年ほどずれ込んだ。

 それにしても驚くのは建築から600年という長い歳月をびくともせず生き抜いてきたこと。解体ではなく修理ですむのも、建物を支える心柱など基本的な構造自体は大丈夫との判断による。匠の技に改めて感服!

 素屋根は工事中の塔を風雨から守るためのもの。高さは約60m、幅と奥行きはそれぞれ約42m、37m。震度6程度の地震や強風にも耐えられる設計になっているそうだ。(下の写真左側の建物は中金堂、正面は東金堂)

 作業現場には長さ約110mという超大型のクレーン車が据えられ、しきりに鉄骨を吊り上げていた。本体の鉄骨柱の組み立てが終わると、側面はシートやサイディング(外壁材)で覆われる。このため外から全く見えなくなる。

 修理工事が本格化するのは来年度から。屋根瓦(約6万枚)を取り外し1枚ずつチェック、まだ使えそうな瓦は再利用する。最上部の相輪も下ろして修理が必要か調べる。同時に漆喰壁の塗り直しなども。総事業費は約57億円。

 素屋根が取り外されて塔が再び姿を現すのは6年後の2030年。翌31年3月の工事完了を目指している。上の写真は2時間後の猿沢池からの眺め。五重塔の最上層部右側にも鉄骨柱が組み上がっていた。

 

 この間、見学を始めてほぼ1時間後の午前11時半すぎ、五重塔真上のお日様の周りに大きな光の輪ができた。「日暈(にちうん)」。この日は青空の一方で、五重塔の上などに薄雲も広がっていた。

  

 この後、興福寺国宝館を訪ね久しぶりに阿修羅像などに対面した。

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