【時計関係者参列し、時計の献納や舞楽の奉納】
6月10日は「時の記念日」。約1350年前、671年のこの日、天智天皇が近江大津宮に漏刻台(水時計)を設け時報を始めたとの故事に因む。天智天皇を祭神として祀る近江神宮(大津市)で10日、時計メーカーなど関係者が参列するなか恒例の「漏刻祭」が開かれた。
祭典が始まったのは午前11時すぎ。王朝装束を身に着け“漏刻博士”などに扮した3人の時計関係者や、采女役のびわ湖大津観光大使の女性ら奉仕者が列をつくって拝殿の石段を上ってきた。
修祓(しゅばつ)に続いて網谷道弘宮司による本殿の御扉開き、祝詞奏上┄┄。神事が粛々と進む。この後、いよいよ見どころ時計の献納だ。
先頭は献納目録を捧げもつ”漏刻博士“。その後ろに采女4人が続く。献納台に載っているのは最新の腕時計や置き時計など。
采女たちはやや緊張の面持ちで本殿の石段を上っていった。観光大使の2人は4月に就任したばかり。2人とも大津市在住の立命館大学の学生さんだ。
この後、本殿と拝殿の間に設けられた仮設舞台で舞楽が奉納された。拝殿では招待者の後ろ側に一般の参拝者が詰め掛け、立錐の余地がないほど。
“時の祖神”を祀るだけに、境内には様々な時計が設置されている。最も注目を集めていたのが「古代火時計」(ロレックス社寄贈)。龍の背で巨大な線香が煙を上げていた。銅球が等間隔で糸で吊り下げられており、線香の火が糸を焼き切ると、銅球が落ちて下のドラが鳴る仕組みだ。球の落下はおよそ2時間おきとのこと。
「時計館⋅宝物館」のそばには漏刻の模型も。こちらは1964年に日本⋅スイス修交100周年を記念して、オメガ社の総代理店から贈られた。
「時計館⋅宝物館」は漏刻祭のこの日、入館無料だった(通常大人300円)。1階の時計館には古い大名時計や高松宮家寄贈品などとともに、過去3年の漏刻祭での献納目録と献納時計も展示されていた。
帰り際、びわ湖大津観光大使と遭遇、早速写真を撮らせてもらった。右が片山桃花さん、左が平良優さん(この春高校を卒業し大学生になったばかり)。お二人とも大役を終えた安堵からか、笑顔満開の柔和な表情が印象的だった。