く~にゃん雑記帳

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〈紙半豊田記念館〉 江戸時代の古美術や工芸品

2022年07月02日 | 美術

【今井町の豪商「紙半」歴代当主が収集】 

 奈良県橿原市の今井町はかつて「大和の金は今井に七分」といわれるほど栄えた。今も古い町家が多く残っており、整然とした町並みには江戸時代の情緒と風情が漂う。約30年前の1993年には「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された。広さは約17.4ha(東西600m南北310m)。その地区内に全国の重伝建地区では最も多い約500棟の伝統的建造物が密集する。

 そのうち9棟が国指定の重要文化財。「紙半(かみはん)」の屋号で肥料や綿、油などを手広く商い、両替や近隣大名への金貸しなども営んだ豪商「豊田家」もその一つ。創家は江戸前期の1666年といわれ、代々「紙屋半三郎」を襲名し12代目まで続いた。その間に歴代の当主が収集した美術工芸品に加え、江戸時代の商売道具や文献、生活用品なども大切に保管されてきた。その数約4000点。「紙半豊田記念館」(上の写真)はそれらを一般公開するために開設された。以前今井町を訪ねたとき素通りしていたため、入館するのは今回が初めて(入館料300円)。

 入り口のそばには推定樹齢250年というカイヅカイブキの巨木。館内には書画や骨董、当時の商いや生活を偲ばせる品々が、まさに所狭しと展示されていた。大きな屏風や掛け軸、陶磁器、千両箱、小判、天秤┄┄。なかでも目を引いたのが磁器「古伊万里」の充実した品揃え。藍色の染付や鮮やかな色絵の大皿などがずらりと並んでいた。「阿吽(あうん)の鯉」という双幅の掛け軸にも注目。口を大きく開けた鯉と、口をしっかり結んだ鯉が対に描かれている。言い伝えによると、江戸中期の絵師、伊藤若冲(1716~1800)の作という。同館では春と秋の年2回展示品を入れ替えているそうだ。

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