【日中も鉦・太鼓を打ち鳴らしにぎやかに】
大阪市内最大規模のだんじり祭りといわれるのが大阪市平野区にある杭全神社の「平野郷夏まつり」(毎年7月11~14日)。約300年という長い伝統を誇る。2020~21年は新型コロナ感染対策で2年続けて規模縮小を余儀なくされたが、今年は3年ぶりに「九町合同曳行」や地車(だんじり)9台の宮入りなどが復活した。まつりの本格開催で盛り上がる町の雰囲気を味わおうと13日の日中、平野の町を訪ねた。平野は十数年前に宮入り見物のため訪れて以来。
杭全神社の参道には昼すぎにもかかわらず多くの屋台が既に営業を始めていた。中には金魚やスーパーボールすくいに興じる小さな子どもたちの姿も。拝殿には煌びやかな1基のお神輿が鎮座していた。夏まつりの期間中、この神輿にはいつもは第一本殿に祀られている素戔鳴尊(スサノオノミコト)のご神体が遷されている。拝殿に向かって右側手前には全国的にも珍しい「連歌所」(1708年再建)があり、大阪市指定文化財になっている。
中央本通商店街など繁華街には七夕飾りとともに赤い提灯なども飾られて、祭り気分を盛り上げていた。地車は日中、それぞれの地区内を中心に曳き回される。ただ商店街の西側の入り口で待っていると、次々にやって来た。「流町」「野堂町南組」「西脇組」「市町」「馬場町」……。鉦と太鼓の音がにぎやかに鳴り響く。ご祝儀を頂いたお店などの前ではお礼に商売繁盛や家内安全を祈って一斉に“大阪手打ち”で応えていた。商店街を抜け平野公園の近くまで来ると、1台の地車が子どもたちの持つ1本の長い綱に曳かれて近づいてきた。この日は平日だが、まつりのため短縮授業だったのだろう。子どもたちもみんな楽しそうな表情だった。
前日12日夜には幹線道路の南港通りで地車9台が集まって「九町合同曳行」。そしてこの日13日夜には宮入り1番町の「野堂東組」を先頭に20~30分おきに「馬場町」「泥堂町」「西脇組」と次々に国道25号線に面した大鳥居を潜って神社の境内に。3年ぶりの開催、しかも幸い雨にも降られずに多くの人出でにぎわったにちがいない。最終日の本宮14日には神輿のお渡りが行われる。神輿が1年に1度神社を出て平野郷の町中を巡って平野公園内のお旅所(三十歩神社)に向かう。夜神社に還御すると、4日間のまつりも終わりを告げる。