く~にゃん雑記帳

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<京都・祇園祭> 山鉾3年ぶりに都大路を巡行

2022年07月18日 | 祭り

【前祭の23基、豪快な“辻回し”に歓声】

 京都の夏を雅に彩る八坂神社の祭礼「祇園祭」。日本三大祭りの一つといわれ、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている。その前祭(さきまつり)の山鉾巡行が7月17日、都大路で繰り広げられた。山鉾の巡行は新型コロナ禍で2020年、21年と2年続け中止になっており、今年は3年ぶりの開催。四条通や御池通などの都大路には見物客で幾重もの人垣ができ、山鉾が交差点で90度回転する“辻回し”などに大きな拍手が送られていた。

 前祭で巡行する山鉾は計23基。その巡行順は例年7月2日のくじ取り式で決められる。ただ長刀鉾は「くじ取らず」の鉾として常に先頭を行く。このほか5番目の函谷鉾(かんこほこ)や最後尾の船鉾など4基も「くじ取らず」。先頭の長刀鉾には四条通に張られた結界を表す注連縄を、稚児が刀で断ち切るという役目を担う。午前9時すぎ、稚児が刀を振り上げ注連縄を切ると、沿道を埋め尽くした見物客からどっと歓声が沸き起こった。

 長刀鉾が「コンチキチン」のお囃子に乗って四条通を東に向け動き始めると、後に「山一番」のくじを引き当てた孟宗山、そして保昌山、郭巨山、函谷鉾などが続いた。大きな山鉾はてっぺんの鉾頭までの高さが地上から約25mもある。巡行時の重量は8.5~12トン。これを前面に乗った音頭取(おんどとり)の合図で40~50人の曳手が綱を引っ張って動かす。最大の見どころは四つ角で直角に曲がる辻回し。直径が2m近くある車輪の手前に割った竹を敷き詰め、水をかけ滑りやすくして山鉾の方向を変えていく。この辻回しの時だけは音頭取が2人から4人に増える。

 山鉾の豪華絢爛な懸装品も見応えたっぷり。古今東西の美術・工芸の粋を集めたもので“動く美術館”とも形容される。前懸(まえかけ)や見送りなどの織物には地元の西陣製も多いが、遠くペルシャやヨーロッパから伝来したものも。函谷鉾や鶏鉾、鯉山(24日の後祭に巡行)のタペストリーは約400年前にベルギーで製作されたゴブラン織といわれ、国の重要文化財に指定されている。ただ年代物だけに色落ちや傷みが激しい。このため各山鉾では復元新調の動きも進む。函谷鉾も2006年の巡行からは本物を忠実に再現した2代目を前懸として使用している(下の写真)。

 後祭では11基の山鉾が御池通→河原町通→四条通と、前祭とは逆に時計回りで巡行する。最大の見どころは何といっても196年ぶりの「鷹山」の巡行復帰だ。鷹山は大きな鉾と同じ形態の曳山だが、1826年の暴風雨で懸装品が損傷し、さらに1864年の「蛤御門(禁門)の変」による火災で焼損、以来「休み山」となっていた。だが同じように蛤御門の変で焼失し休み山だった大船鉾が2014年に復活すると、鷹山でも2015年に鷹山保存会が発足するなど復帰への取り組みが活発化。当初の目標は2026年の巡行だったが、関係者の努力と熱意が通じ4年も前倒しして実現することになった。鷹山は「くじ取らず」で、24日の後祭では最後尾の大船鉾の一つ手前10番目に登場する。

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