く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<イトラッキョウ(糸辣韮)> 長崎・平戸島に自生する日本固有種

2019年10月08日 | 花の四季

【細い茎の先にピンクの小花を数輪ずつ、まれに白花も】

 ユリ科(ヒガンバナ科とも)ネギ属(アリウム属)の山野草。草丈10~20cmで、食用として栽培されるラッキョウに比べると、背丈も花や葉の大きさもはるかに小さい。和名は葉が糸のように細いことから。10~11月頃、細い茎の先端に小さなピンク色の花を散形状に数輪ずつ付ける。花びらは上向きに平開し、長い雄しべが突き出す

 群生地として有名なのが長崎・平戸島の南西部に位置する礫岩(つぶていわ、標高287m)と呼ばれる岩山周辺。植物写真家冨成忠夫氏(1919~92)が1975年「夢見るような雰囲気の花」と著作の中で絶賛したことから、その存在が一躍全国に知れ渡ったという。一帯にはチョウセンノギクなど朝鮮半島系と日本列島系の植物が共存しており、かつて日本が大陸と陸続きだったことを示す。「礫岩の岩石地植物群落」は国指定の天然記念物で、西海国立公園特別保護地区にもなっている。  

 学名は「Allium virgunculae(アリウム・ヴィルグンクラエ)」。種小名はラテン語で「少女」を意味する。まれに花色が白いものがあり、「シロバナイトラッキョウ」や「オトメ(乙女)ラッキョウ」と呼ばれている。環境省のレッドデータによると、イトラッキョウは準絶滅危惧種。近縁の「コシキ(甑)イトラッキョウ」と「ヤクシマ(屋久島)イトラッキョウ」は絶滅危惧ⅠB類、「キイ(紀伊)イトラッキョウ」は同Ⅱ類に分類されている。

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