く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<アングレカム・セスキペダレ> 長い距を持つ〝ダーウィンのラン〟

2019年02月22日 | 花の四季

【長い口吻で蜜を吸うガの存在を予言、没後に発見される!】

 アフリカ大陸の南東、インド洋の西部に浮かぶマダガスカル島原産のラン科アングレカム属の植物。アングレカム属の仲間は200種ほどあり、熱帯アフリカからマダガスカル島などに広く分布する。樹木や岩に根を張る着生種と地面に根を下ろす地生種があり、茎の高さも10cmほどから1mを超えるものまで様々。セスキペダレは大型の着生ランで、直径15cmほどの白花は夜になると芳香を放ってスズメガを誘う。温室栽培では12月~翌年2月頃に花が咲く。

 花の形や開花時期から「コメット・オーキッド」や「クリスマス・オーキッド」の通称名があるが、セスキペダレは「ダーウィンズ・オーキッド(ダーウィンのラン)」としても広く知られる。このランの大きな特徴は花の基部から距(きょ)と呼ばれる細長い筒状の器官がぶら下がっていること。その距の中に蜜腺がある。1862年、このランの標本を見た英国の生物学者チャールズ・ダーウィン(1809~82)は、距の奥に溜まった蜜を吸うことができる長い口吻を持つ夜行性のガがいるに違いないと推測した。

 今でこそダーウィンが提唱した進化論も定説になっているが、当時は進化という概念そのものが全く理解されていない時代。ダーウィンのこの仮説は嘲笑され無視されたという。ところが、ダーウィンが没して21年後の1903年、口吻が20cmを超えるスズメガが見つかり蜜を吸う場面も確認された。彼の予言が正しかったことが証明されたわけだ。このガは「キサントパンスズメガ」と命名された。ガは長い口吻で蜜を独占でき、ランもそのガの体に花粉を確実に擦り付けることができる。両者の関係は共に進化を遂げた〝共進化〟のモデルケースとされている。

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