【朱赤色品種は初めて日本人が10年の苦心の末に作出】
キク科コスモス属の1年草。キバナコスモスは今やコスモスとともに日本の四季を代表する草花といっても過言ではない。日本の風景にすっかり溶け込んだ姿から在来の植物と思われがちだが、原産地はいずれもメキシコを中心とする中米~南米北部。キバナコスモスはコスモスよりやや遅れて大正初期に日本に渡ってきた。別名「キバナアキザクラ」。繊細な感じのコスモスに比べるとやや野性的で、繁殖力が旺盛なため世界各地に帰化している。
キバナは暑さに強いこともあって一般のコスモスより開花時期が早く、花期も夏から初秋までと長い。背丈はコスモスよりやや低く60cm前後。ただ野生種では2mを超えることもあり、園芸品種でも高性種や矮性種が出回っている。一重咲きと八重咲きがあり、花径は通常4~6cmほど。学名は「Cosmos sulphureus(コスモス・スルフレウス)」。属名のコスモスはギリシャ語で「調和」や「秩序」、種小名のスルフレウスは「硫黄色の」を意味する。
この学名の通り、花色は元々黄色だったが、今では橙や赤系統などバラエティーに富む。その品種改良に多大な功績を残した日本人の植物学者がいる。岩手県出身の故橋本昌幸さん。約10年かけ苦心の末に作出した赤色品種「サンセット」が、半世紀前の1966年、世界で最も権威のある国際園芸審査会「AAS(オール・アメリカ・セレクションズ)」で金賞を受賞した。富山県南砺市にある「IOX‐AROSA(イオックス・アローザ)」ではいまスキー場ゲレンデで「第8回キバナコスモスまつり」を開催中(9月30日まで)。