【地中海沿岸地方原産の一年草】
アオイ科フヨウ属の一年草で、原産地は地中海の東部沿岸地方~中央アフリカ。日本への渡来は江戸時代といわれるが、それ以前との見方も。江戸時代前期の御用絵師、狩野常信(探幽の甥)が1673年に写生したものが残っており、園芸書では伊藤伊兵衛の『増補地錦抄』(1695年)に「朝露草(てうろさう)」として、貝原益軒が編纂した『大和本草』(1709年)には「銀銭花」として取り上げられている。
学名は「ハイビスカス・トリオヌム」。種小名のトリオヌムは「3色の」を意味する。草丈は30~60cm。7~9月頃、径3cmほどの白または淡いクリーム色の花を付ける。5弁花のように見えるが、基部は紅紫色で合着し、オレンジ色の雄しべが林立する。葉はスイカの葉のように深い切れ込みがあり、その形から中国では「野西瓜苗」と名付けられている。
ギンセンカといえばよく似た名前のキンセンカ(金盞花)を連想しそうだが、キンセンカはキク科で分類上は全く別物。ギンセンカの語源ははっきりしないが、一説に日本最古の貨幣といわれる銀貨で真ん中に小さな孔が開いた無文銀銭に因むともいわれる。別名のチョウロソウ(朝露草)は花の命が短くて、朝開花し朝露が消える昼前には萎んでしまうことによる。英名でも「Flower of an hour(一時間花)」と呼ばれているそうだ。